非常にかさばるキャンプギアの一つに、シュラフがあります。
筆者はキャンプ専用のギアとしてシュラフを2つ持っていましたが、収納時にかなりのスペースをとってしまっていました。
しかし、登山を始めるようになり、新たに登山用にシュラフを買ってみたところ、非常に驚きました。軽い!小さい!これで本当に暖かいのか、と疑ってしまうほどのコンパクトさ。
もちろん、とても軽くて小さいのに、とても暖かいのです。
今日は、そんな山岳用のシュラフから、シートゥサミット(SEA TO SUMMIT)の「スパーク」をご紹介します。
登山用シュラフの特徴
そもそも、登山用のシュラフとキャンプ用のシュラフには明確な境目はありません。しかし、登山においては、キャンプよりもギアに性能と携帯性の良さが求められます。そこで、登山用とされるシェラフでは、形状と素材の組み合わせで使い分けがされています。
形状
形状には、封筒型とマミー型といわれるものの2種類があります。
封筒型は、読んで字のごとく、長方形で封筒のような形をしているシュラフです。キャンプでも多く利用されています。
一方マミー型は、頭まですっぽり入る形状のシュラフです。
登山においては、無駄をそぎ落としたマミー型が圧倒的に多く使用されています。
素材
素材ですが、こちらも2種類あります。それは、ダウンと化学繊維です。
ダウンは、コンパクトで保温力が高く、寝心地もよいのですが、水に弱く湿気を含みやすいうえ、乾きづらいという特徴があります。また、価格は化学繊維に比べ高めです。
化学繊維はダウンに比べ、保温力が低くてかさばり、寝心地も劣りますが、水に強く湿気をため込みません。価格も安めです。
素材については、登山の目的やスタイルによって選択が分かれます。
軽くて暖かい!シートゥサミットの「スパーク」シリーズ
そんな登山用のシェラフですが、今回ご紹介するのはオーストラリアのギアメーカー、シートゥサミットのシュラフです。
シートゥサミットは、社名の通り「海から山頂へ」を表しており、海からスタートしてエベレストの山頂に無酸素で登頂した、創業者の大胆なチャレンジに由来しています。
こだわりぬいた各種様々なギアは、軽くて機能性に優れ、耐久性を兼ね備えています。
そんなシートゥサミットが誇るシュラフが、「スパークシリーズ」です。
スパークシリーズ ラインナップ
外気温にあわせて、スパークSp0からSp4まで5つの商品ラインナップがあり、真夏から厳冬期の山岳登山まで、目的に合わせて幅広く対応しています。それぞれ「コンフォート温度(快適温度)」「リミット温度(限界温度)」「エクストリーム温度(極限温度)」が設定されており、目的に応じて選ぶことができます。
なお、「コンフォート温度」は寒さに耐性のない人が寒さを感じることなく過ごせる温度、「リミット温度」は寒さに耐性のある人がなんとか寝られる温度です。そして、「エクストリーム温度」は、女性が膝を抱えるほど丸まって、6時間まで耐えられる、とされる温度です。
スパークシリーズのラインナップは、以下の通りです。(重さはレギュラーサイズ)
- Sp0:コンフォート温度14度、リミット温度10度、エクストリーム温度-2度、重量225g
- Sp1:コンフォート温度9度、リミット温度5度、エクストリーム温度-9度、重量350g
- Sp2:コンフォート温度4度、リミット温度-2度、エクストリーム温度-18度、重量505g
- Sp3:コンフォート温度-2度、リミット温度-8度、エクストリーム温度-26度、重量665g
- Sp4:コンフォート温度-8度、リミット温度-15度、エクストリーム温度-36度、重量880g
筆者が持っているのはSp3で、秋の北アルプス(朝は氷点下)でも暖かく眠れる性能です。地域にもよりますが、真冬にキャンプをしなければSp2でも十分なスペックだと思います。
コンパクトであたたかい!その性能の秘密
“羽毛ふかふか”をキープする収納袋
スパークシリーズには収納袋が2つあり、普段はこの黒く大きい袋に入れて保存します。こうすることで、羽毛をふかふかの状態をキープすることができます。
黒い収納袋に入れた状態の大きさは、30cm × 45cm × 15cm ほど。車なら問題ありませんが、自転車で携帯するには少し大きいです。
上の画像の下に敷かれているグランドシートは123cm × 203cm なので、かなりの大きさがあることがわかります。(筆者の持つこのSp3 は、183cm の身長まで対応するレギュラーサイズです)
なお、スパークシリーズは番号によって少しずつ形状が異なりますので、購入前に必ず確認しましょう。
このシュラフには、「850+フィルパワー ウルトラドライプレミアムグースダウン」という羽毛が使用されています。
「フィルパワー」とは羽毛のかさのことで、この数値が大きいほど空気を多く含み、復元力・反発力が高くなります。850という数値はかなり高く、良質な羽毛を使った軽量なシュラフであることがわかります。
ダウンには撥水トリートメントがされており、羽毛が苦手とする湿気をほとんど排除してくれるという優れもの。羽毛の性能の欠点をうまく補っています。
軽い素材と冷気シャットアウト・温度調節機能
このシュラフは頭まですっぽりかぶれるマミータイプで、さらに開口部の大きさを紐で調節するドローストリングが付いているため、冷気の侵入を許しません。
また、生地は軽量化のため、表生地は超軽量で高性能な極薄10デニールナイロンを、裏地はさらに薄い7デニールの生地を採用しています。実際に見てみると、中の羽毛が透けて見えます。
シュラフの側面にはファスナーがあり、足元まで開けられます。楽に出入りできるうえ、暑ければ開けることで中の温度を調節することもできます。筆者はこの夏の北アルプス遠征で、掛布団のように利用しました。なお、このファスナーも軽量化のため、YKKの#3という軽い素材を使用しています。
チャックの上部にはボタンが付いているため、意図せずファスナーが開いてしまい冷気が侵入する、ということがないように配慮されています。
チャックの内側には、ドラフトチューブと呼ばれる耳がついており、冷たいジッパーが体に触れることのないように配慮されています。(Sp2~4のみ)
コンパクトな収納
さて、このシュラフがコンパクトで軽量なうえに暖かい、高性能なシュラフである、ということを解説してきました。しかし、収納袋に収めなければ持ち運ぶことはできません。
その収納袋がこちらです。
シュラフに対して収納袋の大きさの小さいこと……。入る気がしないかと思います。私も最初、そう思いました。
案の定、シュラフを畳んで入れてみるも、うまく入りません。
押し込んでみます!本当に行けるのか……
……まだ半分以下。
残り1/4……まさか……
入った!驚くことに、まだ余裕があります。
実はこの収納袋、「コンプレッションバック」と呼ばれるもので、蓋をかぶせてベルトを引くことで、さらに圧縮できます。
圧縮前は35cmほどあったものが……
なんと、10cmも小さくなりました!
恐るべし、850+フィルパワーのダウンです。まさかここまでコンパクトになるとは、最初は思いもしませんでした。
実際に使っている感想
筆者はこの夏、北アルプスの山岳地帯でこのシュラフを3泊使用しました。
まず感じたのが、以前使用していた別メーカーのフィルパワー650のシュラフに比べ、圧倒的にコンパクトで軽量ということ。それは、バックパックに収納した際に、すぐに実感することができます。
登山や自転車キャンプなど、荷物の容量に制限がある環境において、軽さ、コンパクトさは正義です。
収納が想像以上に簡単なのも非常に強く感じました。コツなどもいらないため、撤収がかなり楽になりました。以前は撤収のスケジュールに「シュラフを収納する」時間を計算に入れていましたが、このシェラフならゆっくり収納しても数分で完了できます。
実際の寝心地ですが、肌触りが秀逸です。シルクのような肌触りはとても寝心地の良いものです。
8月初旬の北アルプスは10度台前半まで下がりますが、冬用シュラフはそのままだと暑すぎます。しかし、ジッパーを開け、掛布団のように使うと快適に過ごせました。
平地のキャンプで使用する場合は、真冬にキャンプをしないのであればSp2、夏にしかキャンプをしないのであればSp0でも十分に耐えられます。というのも、少し寒いくらいなら、中に着込むことで対応ができるからです。
Sp0から4までは羽毛の量が異なり、重さも値段も変わりますので、使用する時期に合わせてどれを選ぶか決めると良いでしょう。
快適でコンパクトな「シートゥサミット スパークシリーズ」、ぜひ検討してみてください。
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「シートゥサミット スパークシリーズ(レギュラー)」のラインナップ比較表
【製品スペック比較表】
「シートゥサミット スパークシリーズ(レギュラー)」販売情報
シートゥサミット スパーク Sp0 レギュラー
※詳細のスペックは、メーカーホームページなどをご確認ください。