終わらない開拓
山の中に土地を買って開拓するなんてすごく大ごとな感じがしますよね。実際、私もそう思っていました。しかし、父曰く、長い目で見れば何度もキャンプ場に行くより安く済むそうです。
地方の別荘地には、破格で売っている土地がある。維持費もそんなに高額ではない場合が多い。そんな場所をいつも父はどこからか見つけてきて、自分で開拓していく過程を楽しむのです。
電気があって、お湯の出る水道があって、きれいなトイレやシャワーがある。非日常でもありながら、不便を感じない。今、多くの人からキャンプ場にそれらが求められてるように思います。
しかし、不便を楽しむことも時には必要なのかもしれません。それはどこでも生きていける力をつけることにもなります。
私も今でこそ便利な生活にどっぷり浸かっていますが、この父の下で育ったので、幼少期から不便を楽しむ経験を積みました。
それはどちらかと言えばアウトドアよりサバイバルのそれに近いかもしれませんが、そのせいか「まあ、なんかどこでも生きていけるな」という謎の自信があります。
どんな薪が割りやすいのかの目利きや、薪割りに自信もあるし(それらが何の役に立つわけではないかもしれませんが)そんな経験も、今の自分に生活に活かされているように思います。
楽しみに終わりの見えない父
小屋ができて、整地がある程度済んでも、まだまだ父の中ではやりたいことが溢れているようです。
「冬になる前にやることがあるんだ!」
と、忙しそうに休日にひとりで(たまに仲間と)山に向かっていく父。子供たちが巣立ち、身体が動く限りは続けていきたい、唯一の楽しみなのかもしれないですね。
この記事を書きながら思い出したことがあります。それは幼い頃、父とスペイン・バルセロナにあるサグラダ・ファミリアの映像を見た時に言われた一言。
「これを見ろ!ずっと昔に作り始めたのに、まだ作り続けているんだ!すごいよな~!」
楽しそうに笑う父。実はそんなサグラダ・ファミリア、建築技術の発達で完成がもうすぐそこまで来てるんだそう。父のキャンプ場と、どちらが先に完成するでしょうか。
父のキャンプ場づくりは、まだしばらく続きそうです。