コロナ禍により密を避けられるキャンプなどのアウトドアレジャーやアクティビティが人気になりました。それに伴い登山やハイキングなどの山レジャーに挑戦してみたい、という人が増加しています。
そんな初心者の方の多くが疑問に思うこと、それはリュックサック(バックパック)の大きさや装備などの持ち物のことではないでしょうか。
そこで今回は、「普段使っているリュックでも登山に行ける?」「どんな装備が必要なの?」「日数によって荷物の量はどのくらい違うの?」などの疑問に答えるべく、登山用品メーカーで勤務経験のある登山歴13年のLANTERN編集部員が比較・検証してみました!
普通のリュックと登山用リュックの違いって?
登山に挑戦するにあたって、リュック選びは重要です。登山初心者の方は「普段使いのリュックに荷物を入れて行けば良いかな」と思ってしまいますよね?
ちょっとしたハイキング程度の山登りであればそれでもいいかもしれませんが、しっかりと登山を楽しみたいのであれば、身体への負担が考えられた登山用のリュックがおすすめです。
今回は、無印良品のリュックと各メーカーの登山用リュックでその違いを比較してみます。
肩ひもの調整ベルト
用意したのは、無印良品のリュック(20L)とカリマーのリュック(25L)です。
まずは肩ひもの調整ベルトを比較します。
基本的にどんなリュックにも、ショルダーハーネスの末端に高さを調整するベルトがついているのですが、登山用リュックにはそれに加え、肩部分に肩ひもの調整ベルトが付いています。
2か所のベルトで自分の体格にあわせて細かい調整が可能になります。これにより、リュックの位置がお尻の方に下がらず、重さや疲れを感じづらくすることができます。
腰ベルト
登山用のリュックには腰ベルトが付いています。
こちらは先ほども使ったカリマーのリュック(25L)です。小さめで日帰り登山やハイキングにちょうど良いサイズのリュックなので、腰ベルトも細めとなっています。
今度はより大きな容量のカリマーのリュック(55~75L)と比較してみましょう。
大きなリュックにはしっかりとした幅広の腰ベルトがついています。
宿泊を伴う登山やテント泊をする際は荷物が多くなり、その分、重さも増します。そのため、リュックのサイズが大きくなるほど、腰ベルトもしっかりとした大きさになっています。
体への密着度
まず、こちらが普段使いの無印良品の20Lのリュック。
子供たちとのお出かけや、仕事用のパソコンなどを入れて持ち運ぶなど、日常使いにはピッタリで大活躍のリュックです。しかし、荷物の重さで肩に負担がかかっています。
こちらが登山用品メーカーカリマーのリュックです。腰ベルトと背中に沿うような作りのおかげで、しっかりと背中に密着していますね。
肩・背中・腰の3点に荷物の重さを分散することで、長時間歩く際も体への負担を軽減します。
ハイドレーション
登山をしながらの給水を楽にするために、登山用リュックの多くには給水チューブを通すための穴が開いています。
バックパック内にハイドレーションパック(水のバッグ)を入れてこの穴からチューブを通すことで、立ち止まることなくいつでも給水が可能になります。
普段使いのリュックと登山用のリュックの違いについて、確認してきました。
大きな違いは、身体への密着度。
普段使いのリュックは主に「肩」に負担がかかる構造となっていますが、長時間重い荷物を背負って歩き続ける登山で使用されることを想定して作られた登山用リュックは、「肩・背中・腰」の3点で負担を分散する構造になっていました。
登山用のリュックには、肩ひもの調整ベルトと腰ベルトがあるものを選ぶようにしましょう。
余談ですが、普段から「リュックに重い荷物を入れて背負っていると、肩への負担で頭痛がする」という方は、登山用リュックを正しく背負うことによって、問題が解決されるかもしれません。
登山スタイルに合ったリュックの容量
登山にチャレンジするのであれば必須の登山用のリュックを、容量別に3種用意しました。
左から
・カリマー 55~75L
・グレゴリー 48L
・カリマー 25L
日帰り~宿泊を伴う登山まで、荷物の量に合わせてバックパックを選択します。荷物の量は人によって様々ですが、目安として
【日帰り・ハイキング】15~25L
【日帰り~山小屋1泊】25~35L
【冬の小屋泊~荷物が少ないテント泊】35~45L
【テント泊】45~65L
【長期縦走】65L~
ほどの容量のリュックを選びましょう。
実際に身長169cmの編集部員が背負ってみました。
カリマー/25Lのリュック
こちらがカリマーの25L。日帰り登山にちょうどいいサイズのリュックです。
グレゴリー/48Lのリュック
こちらがグレゴリーの48L。1泊の山小屋泊やテント泊登山で使用します。
日帰り登山に使用した25Lのカリマーに比べると、腰ベルトが太くなります。
サイドに小物収納がついているので、すぐに取り出したい物を入れて持ち運べるようになっています。
カリマー/55-75Lのリュック
こちらがカリマーの55-75L。夏の縦走テント泊や冬のテント泊などで使用します。
沢山の荷物を入れていますが、大きな腰ベルトで腰を包むように支えるので体へのフィット感がとても高く、荷重が分散され、しっかりとした背負い心地です。
重要!リュックを身体に合わせる順番と位置
リュック選びも大切ですが、適切な位置で背負うことも身体への負担を軽くするためには重要です。
①腰骨の部分(ポコッと出ている小さい骨)に腰ベルトが当たるようにします。
②緩めておいたショルダーハーネスの末端を両手で引き、ベルトを肩に合わせます。
③トップスタビライザー(肩ひもベルト)を引いて、リュックの重心をより身体に密着させるようにします。
※トップスタビライザー(肩ひもベルト)を引かないと、リュックの重心が後ろにかかるため、バランスが悪くなり怪我や疲労の原因に繋がります。
④チェストストラップを締めてリュックの左右のブレを抑えます。
※位置は鎖骨から指2本分ぐらい下にするのが理想です。
大容量のリュックは、片手で持ち上げるとずっしりとした重さを感じましたが、各種ベルトを正しい位置で調整することによって、身体へのフィット感が増して、重さをあまり感じませんでした!
登山用リュックで“大は小を兼ねる”はオススメできない理由
「将来テントを背負って高い山に挑戦するかもしれない」という理由で最初から大きなリュックを買うのはあまりオススメしません。
大きなリュックに少ない荷物を入れるとリュック内の下部で動いてしまい、背負い辛くなります。
とはいえ、スタイルとリュック容量を最初から完全にぴったり合わせて買うのも大変なので、まずは行く頻度の多そうな登山スタイルをもとに、余裕を持つ意味で少しだけ大きめのリュックを選びましょう。
続きはこちら⇒【初心者が知りたい登山に必要な持ち物をスタイル別に紹介】