アウトドア料理はもちろん、家庭料理向けにも、ぜひお伝えしたい料理術。コールマンのCOC全国ミーティングで出会ったBBQ名人・中川亮さんの簡単&リッチな朝食と、お肉がやわらかくなる秘伝の技を取材しました。
BBQ名人の朝ご飯
朝6時台、中川さんのサイトにお邪魔しました。さくっとつくった朝食がこちら。
- バゲットサンド
- ホットサンド
- ポトフ
- シーフード煮物
- 前日のBBQ
調理時間は20分ちょっと。なかなかに多彩な朝食です。
コールマンのホットサンドメーカー。ランタンの焼き印を付けるところがにくいです。
「スキレットがひとつあると便利」と、中川さん。ベーコンをあぶり、肉汁を残したままシーフードの煮込み料理の鍋に。
名人がキャンプ料理のコツをアドバイス
特別な食材があるわけではなさそうだけれど、ひとつひとつがウマい。そして、キッチンまわりがすっきりと美しい。
キャンプ料理のコツを、中川さんにいくつかお聞きしました。
家でできる作業は家で
中川さんは、あらかじめキャンプ料理の食材を用意しており、ほとんど現地調達をしません。食材を切ったり、下味を付けるなど、下ごしらえは家でします。
キャンプ場での作業は、できるだけ減らすのが得策です。ゴミの削減にもつながります。
食材を凍らせて保冷剤代わりに
特に2泊以上のキャンプになると、クーラーボックスの氷が溶けないようにすることが、大きなテーマとなります。凍らせられる食材は、事前に冷凍しておけば、ボックス内の温度を下げることができます。
残り物を入れられるスープは必ず用意
いろんな食材が、少しずつあまっている・・・・・・キャンプ場のキッチンでは、特にありがちな状況です。ポトフなどのスープ料理は、いろいろな残り物をじゃんじゃん入れて、おいしくいただけます。
牛、鶏、豚、シーフード、野菜をバランス良く
BBQといえば、やっぱりお肉。しかし、肉だけに食材が偏ってしまうと、脂っこかったり、胃もたれしたりと、せっかくのアウトドアでの食事を長く楽しめません。何事も、バランスが大事なのです。
ちょうどよいボリュームにするために
同じ食材でできるメニューをいくつかイメージしておくと、「もうちょっと食べたい!」と家族や友人が言ったときでも、簡単に料理を追加できます。また、パンを用意しておくと、アヒージョに付けたりシーフードと焼いたりと、何かと応用が利きます。
奇跡のスモークチキンのブライン液、その割合は・・・・・・
実は、朝食をいただく前日、夕食時にもお邪魔していました。そのときいただいたのが、こちらのスモークチキン。
取材班は衝撃を受けました。
まず、やわらかい。ただやわらかいだけでなく、みずみずしく弾力があります。
塩気や甘みなどの味付けは、さほど濃くないように感じます。
絶妙の加減、といえば簡単ですが、噛むほどに旨みが染みだしてきて、後を引きます。
左が中川さん。右の編集部オコシがおいしくいただきました。
高価な鶏肉を使っているのか? と思いましたが、そんなこともないようです。
「秘密はなんですか?」と中川さんに聞いてみると・・・・・・
「研究を重ねてつくった秘伝のエキスに漬けているんです」と中川さん。
こっそり教えてくれたレシピがこちら。
水に対して3%の塩と0.5%の砂糖、好みのハーブを入れて混ぜる
以上です。
簡単すぎて拍子抜けしますが、塩と砂糖の水溶液といえば、今話題の「ブライン液」を思い出します。肉がやらかくなる、と評判です。
本来、スモークチキンは、塩漬け→塩抜き→乾燥→燻製、というプロセスを経てつくりますが、この中川さん流ブライン液に漬ければ、塩抜きも乾燥も必要ありません。キャンプ場で燻製機でいぶして、仕上げにグリルで焼き上げればOK。
簡単なようですが、塩と砂糖の割合を間違えると、絶妙のスモークチキンはできません。塩3%、砂糖0.5%は、「慣れない方でも失敗の少ない黄金比」だと中川さんは言います。
好みもありますが、塩分濃度が強いと浸透圧の影響で、肉の水分も出てしまいます。ジューシーに仕上げるには3%くらいがちょうど良いように思います。
また、食材の種類や、漬け込みできる時間によって加減してOKです。鶏肉の大身は3%がちょうど良く漬かりますが、豚バラのブロックなどは、ゆっくり塩気が入るので、私は4~5%にする場合もあります。
ただ、3%の場合、漬かりすぎても塩辛くなることはありません。肉そのもの味を感じることができ、焼き上がりの味に安定感があります。これが、私が3%を黄金比と考えている理由です。味が薄いと感じたら、食べるときに塩を振ればよいのです。(中川さん)
漬け時間は、写真のような鶏の大身なら1~2日、丸鶏なら4日間ほどかかります。保存は利かないので、キャンプの直前に仕込んでください。
また、柔らかく仕上げるには、炭火の特徴を上手く使って、ちょうど良い温度で焼きあげるテクニックが必要。肉のたんぱく質は高温になると、たちまち硬化します。
素材の中心部への火の通りが、少し甘いぐらいで加熱を止めて、食材の余熱で仕上げることが極意です。
中川さんはおいしいアウトドア料理の伝道師
中川さんは、実はBBQのプロ。
京都府南丹市にある道の駅スプリングスひよしの駅長にして、JAPAN BBQ COLLEGEの京都キャンパス校長なんです。敷地内のBBQガーデンで、アウトドアクッキング教室も開催しています。
中川さん流ブライン液は、スモークチキンだけではなく、鶏の唐揚げ、焼き鳥、ムネ肉を使って棒棒鶏やチキンハムの漬け込み液にも使えます。また、生鮭などのムニエル、杉板焼きなどの味付けにも、中川さんは薦めてくれました。また、豚の薄切り肉を付けておくと、炒め物が美味しく仕上がります。
家庭でも大いに応用できるブライン液。ぜひ、お試しください!!