夏はBBQやキャンプなど自然の中に行く機会が増える季節です。野外での活動は楽しいですが、気を付けないと事故につながることも……。
毎年自然の中で起こる悲しいニュースを目にしますよね。
落雷による事故も例外ではありません。
今回は、落雷による事故を防ぐ方法をご紹介します。
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アウトドアで過去に発生した雷事故事例
筆者撮影
昨今大人気なキャンプを含むアウトドアレジャーですが、過去に発生した落雷による事故をご存知でしょうか?公益社団法人日本キャンプ協会の発行する「安全なキャンプのために ~事故事例に学ぶ~PART7」から、実際に起きた事例をご紹介します。
2005年、長野県松川町松川高原にある青少年宿泊施設にてキャンプ場の炊事場に落雷。
小雨を避けるため炊事場にて雨宿りをしていた学生のうち、落雷を受けた柱から50cmの距離にいた生徒1人が心肺停止状態、その他、引率者2人と生徒5人が病院で手当てを受けました。
2002年、登山ガイドが同行した旅行会社企画の登山ツアー中、稜線で遠雷が聞こえたため、高さ3~4mの木の周りに集まり雨合羽を着ている最中に木に落雷。
1人が死亡し、4人が負傷しました。
2005年千葉県白子町にて、雷注意報発令後、どしゃ降りの雨が降り始め、波打ち際に落雷。
男女4人が意識を失って倒れました。
また、雨で濡れた砂浜にいた他の4人も下半身にしびれを感じ、さらに70m離れた波打ち際にいたライフセーバーの上半身にも小さな落雷。
1人死亡し、8人が負傷しました。
また、近年も落雷事故が相次いで発生しています。
2012年8月、大阪市内で開催される予定だった野外ライブに訪れていた女性2名が、開場前に激しい雷雨に遭遇。公園内の樹木の下に避難したところ、落雷に遭い死亡しました。
そして最も記憶の新しいところでは、2024年4月。サッカーの試合をしていた高校生に落雷。2名が意識不明になるなど、10名以上が搬送されました。現場にいた人によると、当日は雷注意報が出ていたものの、それまでは雷の予兆がなかったとの証言が聞かれました。
これらのように、急に雨が降ってきたら、近くにある大きな木や屋根があるだけの簡易的な施設で雨宿りをしてしまいそうですが、実はこの判断が落雷被害に繋がってしまうかもしれません…。
また、予兆がなくても、気象条件が重なってしまえば落雷は発生してしまいます。
このような落雷被害に合わない為に、どうすればよいのでしょうか?
雷の被害に合わない為にどうしたらいい?
天気の急変を見逃さない
事前に天気予報をチェックしておくことは、自然の中に行って遊ぶときの基本です。現在は雷注意報の他、発雷確率を気象情報で知ることができます。少しでも天気が急変する可能性がある場合は、そのことを念頭に置いて行動するのがいいでしょう。
何より天気が崩れる可能性が低くても高くても、山の天気は変わりやすく、実際に天気が急変することは珍しくありません。
急な大雨や雷から身を守るためには、空の変化に注意しながら積乱雲が近づくサインを見逃さないのがポイントです。
大気の状態が不安定になると、雷をもたらす積乱雲が発達しやすくなります。真っ黒い雲が近づいてきたり、急に冷たい風が吹いてきたら、激しい雨と雷がやってくるサイン!
直ぐに近くの安全な場所に避難しましょう。
お天気アプリで急変の警報を受け取る
画像引用元:日本気象協会
とはいえ、空の変化や風の吹き方だけで判断するのは難しいですし、雷鳴が聞こえてくる頃にはもうすぐそこまで雷雲が迫ってきていて危険な状態になっているかもしれません。
早い段階で情報を得るために、天気の急変を知らせてくれるアプリをダウンロードしておくと安心です。
2022年4月から利用開始になった、キャンプに特化した天気情報アプリが登場。
全国約2000か所以上のキャンプ場の天気予報に加えて、日の出・日の入り、紫外線、落雷、星空指数、熱中症アラートなどの情報を教えてくれます。
天気の急変を、プッシュ通知で知らせてくれるのも安心です。
その他、キャンプをしたいと思った日に、「雨の確率が低い」「周辺と比べて気温が高い」「風が穏やか」など、気象条件からキャンプ場を検索する機能もあるんですよ。
気になる方はチェックしてみてください。
避難場所の確認をしておく
キャンプ中に急な落雷があった場合、車の中や管理棟などの安全な場所に避難します。
車に落雷した場合、雷の電流は金属でできたボディを伝いタイヤから地面に流れます。車内には電流は流れませんので、避難する場所として利用することができます。
その他、いざという時に管理棟など屋根と壁のある頑丈な建物に逃げ込めるか、管理人に確認しておくとよいでしょう。
絶対にやってはいけないことは、木の下やテントの中、タープの下に避難することです。
雷は、高いところに落ちる傾向があります。
周りに何もないような場所では、人や木、テントのポールめがけて落ちてくる可能性があり危険なのです。傘も危険なので、閉じてくださいね。
直撃雷、側撃雷の死亡率は共に90%
気象庁のHPによると、落雷を直接受けた場合(直撃)の死亡率は約80%(処置しない場合は90%)。また、最初に紹介した「安全なキャンプのために ~事故事例に学ぶ~PART7」では、側撃雷の死亡率も90%とされています。
側撃雷とは、落雷を受けた物から別の物に電流が飛び移ることを言い、雨宿り中の木からの側撃雷は、落雷死亡事故原因の直撃に次ぐと言われています。
木の下やテントの下が危険なのは、木やポールに直撃した雷が人体に飛び移る可能性があるからです。
近くに避難場所がない場合はどうする?
安全な場所が近くにない場合は、屋外の比較的安全な場所を見つけて、低い体勢を保ちながら雷が通り過ぎるのを待ちましょう。
では、屋外で比較的安全な場所はどのように見分ければよいのでしょうか。
近くに5m以上の高いもの(例えば電柱や煙突など、ただし木はNG※))があれば、その物体の保護範囲に入り、低い姿勢を保ってください。
画像引用元:moshimo ストック「知らないと危険!雷から身を守る方法」
保護範囲とは、高いものから4m以上離れ、かつ、高いもののてっぺんを45度以上の角度で見上げる範囲のことです。
そうすることで、人よりも高いものに雷の電流が引き寄せられます。
また、側撃雷から身を守るため、高いものから4m以上離れておきましょう。
※木は、電気を通しにくい性質を持っている為、高い木の近くでは、側撃雷を受けてしまう可能性が高く、危険です。
周りに安全な場所がない場合は、出来るだけ窪地を探し、雷しゃがみの体勢をとりましょう。その後、雷の活動が止み、20分以上経過してから安全な場所に避難するようにしましょう。
姿勢を低くしようと腹ばいになってしまうと、地面との設置面積が多く危険なのでやめてくださいね。
「雷しゃがみ」とは、両手で耳をふさぎ、頭をなるべく低くした状態でかかとを付けて、つま先立ちでしゃがむ体勢のことをいいます。雷が発生しやすいアメリカ国内の学校や家庭では、この体勢を学ぶのだそう。
安全にアウトドアを楽しもう
筆者撮影
山や川、キャンプ場等自然の中は、楽しいだけでなく、危険も潜んでいます。対策をしておくことで、何かあった時に身を守ることができるかもしれません。
自然遊びをより一層楽しむ為にも、自然災害の危険性について知っておいてくださいね。