いまや空前のキャンプブーム。自転車キャンプを楽しんでいる方も多いと思います。自転車キャンプには悩みがあります。それは、車ほど自由にギアを持ち運べない、ということ。
そんな自転車キャンプに私がおすすめしているのは、登山用の軽量ギアです。
今回ご紹介するのは、日本のテントメーカー「ヘリテイジ」の山岳テント「ハイレヴォ」です。元来、山岳テントは軽量コンパクトにできていますが、その中でもこのハイレヴォは、群を抜いて軽量です。
↓ こちらもオススメ ↓
【50代からのソロキャン】ソロ用キャンプギアを背負って自転車で40キロ走ったらわかったこと
ヘリテイジってどんな会社?
ヘリテイジは、長野県安曇野を拠点とする山岳ギアメーカーです。東京で創業後、アイデアを素早く形にするため、1997年に安曇野に移転しました。
安曇野といえば北アルプスの登山拠点のひとつ。公式HPによれば、その安曇野でサンプルを作っては社員自ら山でテストして性能を確かめているそうです。つまりヘリテイジは、社員自らが登山家でもある、山岳テントのエキスパート集団、とも言えるでしょう。
わずか総重量1kg未満の衝撃!
ハイレヴォのような山岳テントには、大きく分けるとシングルウォールとダブルウォール、さらに自立式と非自立式の組み合わせで4通りがあります。
シングルウォールテントは、1枚の布で作られたシンプルで軽量のテント。ダブルウォールテントは、2枚の布(本体+フライシート)で構成され、外気の影響を受けにくく、結露や風に強いテントです。
そして、自立式はテント単体で自立し、非自立式はペグダウンして張り綱で引っ張らないと張れないテントです、
このような分類の中でハイレヴォは、自立式のダブルウォールテントに属します。
ダブルウォールテントは、ここ数年で目覚ましい進歩を遂げ、軽量化が進んでいますが、主要なテントメーカーの自立式のダブルウォールテントは、1500g前後です。しかしその中で、ヘリテイジのハイレヴォはなんと約1000g未満です。(公式にはペグ抜きで960g)圧倒的な軽さを誇るのです。
ハイレヴォの軽量コンパクトの秘密は、とことんそぎ落としたスリムなパーツと、工夫にあります。まずはパーツについて見ていきます。
構成パーツ
パーツは、以下から構成されています。※写真は筆者が所有する、ハイレヴォ2(2人用)です。
本体
生地は15デニールという、極薄なもの。撥水加工がしてあり、耐水性があります。
ポールを通すスリーブ部分がくり抜かれており、極限まで軽量化されています。
レインフライシート
レインフライシートは20Ⅾデニールの生地でできており、耐水圧2000mmというしっかりとした耐水仕様。
張り綱をペグで固定するメーカーが多い中、簡略化と軽量化(ペグの本数を減らす)のため、フックで本体に取り付ける仕様になっています。
ポール
ポールはアルミ合金で、7.5mm径の極細タイプ。有名なモンベルのステラリッジは8.5mmです。
ペグ
ペグはアルミ合金のVペグで、軽量なうえに頑丈です。
張り綱
張り網に使用されている素材は、直径2mmという細さで、100kgfの強度がある軽くて丈夫なものです。
スタッフバッグ
スタッフバッグには、テント本体とフライシートが収納されています。
グランドシート(オプション)
オプションのグランドシートです。テント本体の底面保護のため、テントの下に敷きます。
画像引用元:ヘリテイジ公式サイト
初めてでも大丈夫!簡単に設定できる工夫
ハイレヴォは、設営と撤収が素早くできるような工夫が施されており、進化を遂げています。
それでは、実際の設営方法を見てみましょう。
1、テント本体を広げる
底面を下にし、テントを広げます。この際、ポールを通すスリーブをなるべく直線にしておくとスムーズです。
2、ポールを組み立て、スリーブに通す
ポールはショックコードと呼ばれるゴム状のものでつながっているので、簡単に組み立てられます。
ポールを組み立てたら、スリーブにポールを通します。この際、交差するところで詰まったら無理に押さず、詰まったところの布を丁寧にほぐすと、テントが痛みません。
3、ポールをテントのポール受けに差し込む
ポールをポール受けに差し込みます。両方差し込むと、テントが立ち上がります。
4、テンションアジャスターを調整する
2か所あるアジャスターで、たるみを調整します。引っ張りすぎに注意。
5、レインフライシートを本体に被せる
フライシートをテント本体に被せ、4隅にあるフックをテント本体に引っ掛けて固定します。
6、張り綱をペグで固定する
張り綱と、各辺の中央にあるゴムをペグダウンします。張り綱は、テンションを調節することができます。
これで完成!
快適な室内
軽量なハイレヴォですが、室内が広いのも魅力的です。
1人用テント(ハイレヴォ1)の場合、広さは203cm×93cmで、一畳強の広さがあります。
2人用テント(ハイレヴォ2)の場合では、広さは203cm×123cmとなり、横幅にゆとりがあります。
高さは1人用で100cm、2人用で115cmとなっており、こちらも2人用のほうが若干ゆとりのある設計です。
筆者が所有するのはハイレヴォ2ですが、室内は十分な広さがあります。子供が中に入っても、この通り。余裕のある広さです。
また、換気対策もしっかりしており、入口側に上下2か所のベンチレーター(換気口)、反対側にも1か所ベンチレーターがついており、湿気がこもりにくい構造になっています。
実際に使用している筆者の感想
筆者はこのテントですでに北アルプスの山中で5泊以上の時間を過ごしていますが、とにかく快適です。
また、秋の北アルプスといえば、朝方にはフライシートの外側に霜が降りたりするほど寒いですが、中は快適な温度です。
底面のシートは薄め。100均のクッションシートでカバー
どのようなテントでも共通のことですが、底面の生地はとても薄いため、そのままで使用すると下の石がゴツゴツして痛いです。そのため、何かしらのシートを敷くと快適さが向上します。筆者は100均で売っている、アルミがコーティングされた薄いクッション性のあるシートを敷いています。
山岳テントなら自転車キャンプにも使える
登山の場合は、荷物の重さを数10グラム単位で重量を削り、スリムアップしてきますが、積み荷に制限がある自転車キャンプもスリムアップは重要な課題です。その中でもテント、シュラフなどはかさばって重いものが多いため、軽くコンパクトなものに置き換えると、容量がぐっと抑えられます。
山岳テントは価格の高さから敬遠されがちですが、軽量テントを導入することで、快適な自転車キャンプを楽しむことができます。自転車キャンプの荷物が重くて困っている。そんな方は、導入を検討してみてはいかがでしょうか?
「HERITAGE HI-REVO(ヘリテイジ ハイレヴォ)」製品概要
※1ペグとオプションのグランドシートを除く
※2オプション