みなさんはキャンプに行った時にどんな風にコーヒーを楽しんでいますか?
インスタントでお手軽に淹れるもよし、豆から挽いてこだわり抜くのもよし。コーヒーの楽しみ方は種々様々です。そんな中でも、今回はあまり聞き慣れない「フィールドコーヒー」というスタイルを紹介します。
その実践法はいたってシンプル。やかんに挽いた豆を入れて煮出すだけ。なんでも北欧で猟師などの山仕事をする人々の間で親しまれた飲み方だそうです。
最近では、フィールドコーヒーを現代に復活させたコーヒーブランドが登場し、国内の輸入代理店が販売するなどして注目されています。
「せっかくのキャンプなら美味しいコーヒーが飲みたい。でも道具を一から揃えるとなると費用がかさむし、豆から挽くのも憧れるけど手間が掛かりすぎるな…」
そんな方には特におすすめです。筆者も手元にあるアウトドア用品を使ってフィールドコーヒーを淹れて飲んでみました。記事の後半で紹介しているので参考にしてみてください。
「フィールドコーヒー」とは?
キャンプで主流となっている淹れ方はドリップコーヒーです。でも実はフィールドコーヒーの方が古い歴史があります。
ドリップコーヒーが誕生する1960年代よりも前、スウェーデンでは水を入れたやかんに粗挽きの豆を入れて煮出すフィールドコーヒーの文化がありました。かつて野外で仕事をする人々の飲み方で、各家庭によっても作り方は様々だったようです。
現代では軽量でコンパクトなアウトドア向けのコーヒー用品が数多く存在します。お気に入りのミルやドリッパーで手間暇かけて仕上げる一杯もいいものです。一方でフィールドコーヒーは基本的にやかんだけで完結します。シンプルではありますが飾り気のない無骨さもまた魅力的です。
現代に復活
現在ではほとんど見られなくなったフィールドコーヒー。それを復活させようと試みたのがラップランド(スウェーデンの北極圏)のコーヒーブランド「レンメルコーヒー」です。国内ではアウトドア用品の輸入代理店UPIが取り扱っています。
ブランドサイトではレンメルコーヒーの淹れ方の作法が紹介されています。
必要最低限の淹れ方が簡潔にまとめられていますね。豆の分量や煮出す時間は具体的には触れられていません。あくまでもそれぞれの好みやスタイルに任せる懐の深さも魅力の一つです。何はともあれまずは都会を離れて自然に身を置くことから始まるのです。
ちなみにサイト内では、三人の愛好家がオリジナルの淹れ方を実演する動画が紹介されています。多めにコーヒーの粉を入れて好みの濃さにしたり、ひとつまみの塩を加えてコーヒーの香りを引き立たせたりと、まさに三者三様のこだわりが感じられます。
物は試しということで、筆者も自宅を飛び出してフィールドコーヒーに挑戦してみることにしました。
実際に淹れてみた
あらかじめ用意したのは水、コーヒー豆、ケトル、マグカップ、焚き火台です。豆はコーヒー屋さんで粗めに挽いてもらいました。
手順
1、まずはケトルに水を入れます。
2、焚き火台にケトルを乗せます。
3、水が沸騰する直前でケトルを火から離してコーヒーの粉を入れます。
濃い目が好きなので目分量で多めに投入してみました。
4、ケトルを焚き火台に戻し、表面が泡で覆われたら再び火から離します。
5、ケトルにフタをしてしばらく待ちます。
6、粉が底に沈んだ頃合いでそっとマグカップに注ぎます。
7、香りを楽しみながらいただきます。
飲んでみた感想
一口含んだ瞬間にガツンとコーヒーの苦みが脳を直撃しました。飲み込んでみると濃厚なコクが鼻から抜けていきます。フィルターを通さず煮出しているせいか野性味のある味わいに仕上がっています。
特に感じたのは焚き火との相性の良さです。焚き火の炎をぼうっと眺めながらコーヒーを傾けていると、自然との一体感が増していくような気分になります。
あえて反省点を挙げるとすれば、飲み干す直前に粉っぽい後味が出てしまったことです。マグカップに注ぐときに勢い余って豆が入ったのでしょうか。私はそこまで気になりませんでしたが、ある程度時間をかけて豆を底に沈殿させてから、慎重に注ぐように意識すれば最後までスッキリと飲めるのかもしれません。
フィールドコーヒーで自然と戯れよう
いたって原始的なのに奥深い魅力があるフィールドコーヒー。都会を離れ、火を熾し、煮出す。この簡単なルーティンさえ覚えておけばすぐに実践できます。慣れてくれば自分なりにこだわりのスタイルを模索していくというのもワクワクしませんか。
コーヒーの淹れ方も少し工夫するだけで自然と戯れる遊びに変わります。興味を持った方はぜひ挑戦してみてください。