北欧の国、アイスランドは火山と氷河が作り出す島で「火と氷の国」と呼ばれています。他の北欧の国々と同じく寒冷な気候と乾燥した空気に加え、苔むした溶岩や低い樹木が生えた大地が広がっているのが特徴です。
このように農業には厳しい気候・地形であるものの、暖流である北大西洋海流と北極海から流れてくる寒流がぶつかる潮目が近くにあるため、世界有数の漁場を持つアイスランド。そのため、昔から漁業が盛んで、鱈(タラ)やハリバット(オヒョウ)、サーモンが多く獲れました。その為、かつては漁業権を巡ってイギリスなどと「タラ戦争」を起こしたこともあります。
火山が活発で温泉があちこちにあり、漁業が盛んなアイスランドは、どことなく日本と共通点が多そうです。
今回はキャンプで簡単に作れる旬の鱈の味を活かした、アイスランドの家庭料理のレシピを2つ紹介します。
魚とじゃがいものグラタン「プロックフィスクル(Plokkfiskur)」
直訳すると「砕けた魚」という意味のプロックフィスクル。茹でた白身魚(主に鱈)とマッシュしたじゃがいもに、バターと牛乳を混ぜて作ったグラタンのような料理で、余り物を食べ切るために考案されたのが始まりだそうです。
今ではアイスランドの定番料理で、グラタンともシチューとも訳されるプロックフィスクルは,家庭によってさまざまなレシピがあります。今回はキャンプで簡単に再現できるように、レシピを少しアレンジしてみました。
材料(2~3人分)
じゃがいも:中2~3個
玉ねぎ:中1/2個
鱈:100~150g
牛乳(または生クリーム):40cc
小麦粉:小さじ1
塩胡椒:お好みで
バター:炒める用に使う分
*下準備として、玉ねぎと鱈は切っておく。じゃがいもは茹でてマッシュし、小麦粉を和えておいたものをジップロックに入れて持っていくとキャンプでの調理の手間が省けます。
作り方
- ダッチオーブン、もしくはフライパンをプレヒーティングする
- 鍋にバターを入れて玉ねぎを炒める
- 玉ねぎがしんなりしてきたら鱈を加え、火を通しながら細かく割いていく
- マッシュしたじゃがいもを加えて全体を混ぜ合わせる
- 牛乳(もしくは生クリーム)を加える
- 塩胡椒で味を整える
小麦粉と牛乳(もしくは生クリーム)の量を調節すれば、トロトロとしたシチューのような食感にできます。
今回私たちは、もったりとしたグラタンのような食感にしてみました。お好みに合わせて調理してみてくださいね。
アイスランドでは、プロックフィスクルは黒パン(ライ麦パン)と一緒に食べるのが一般的なので、パン屋さんでハード系のライ麦を使ったパンを買ってきて、付け合わせにしてみました。
鱈の旨味が全体に行き渡って、シンプルながらあたたかくて美味しいプロックフィスクル。旬の鱈を使って簡単に作れるので、ぜひ冬のキャンプで味わってみてください。
伝統的な魚のスープ「フィスキスーパ(Fiskisúpa)」
ハリバット(オヒョウ)やサーモン、鱈などを使って作られるアイスランドの伝統的な魚のスープで、魚と野菜の旨味、塩胡椒、トマト缶と生クリームで味付けするシンプルなスープです。
日本の肉じゃがのように家庭ごとにレシピがあるフィスキスーパ。今回は日本でも簡単に手に入る野菜や鱈を使って作ってみました。
材料(2~3人分)
長ネギ:1本
玉ねぎ:中1個
細ネギ:ひと掴み
鱈:150~200g
しめじ(もしくはマッシュルーム):100g程度(しめじ1/2株分程度。好みに応じて量は調節してください)
トマト缶:1缶
水:1L
白ワインビネガー:大さじ3
白ワイン:大さじ3
生クリーム:1パック
塩胡椒:お好みで
バター:お好みで
サラダ油(もしくはオリーブオイル):炒める用に使う分
*下準備として、玉ねぎと長ネギ、鱈は切っておく。しめじや細ネギも切ってもっていくのがおすすめですが、今回はカット済みのものを用意しました。
好みに合わせてセロリやじゃがいも、ニンジンを追加してもよさそうです。
作り方
- ダッチオーブン、もしくはフライパンをプレヒーティングする
- 鍋にサラダ油(もしくはオリーブオイル)を入れて玉ねぎと長ネギを炒める
- 野菜がしんなりしてきたらしめじ(もしくはマッシュルーム)、トマト缶、水を加える
- 沸騰してきたら火を弱めて鱈を加え、10分ほど煮込む
- ワインビネガーとワイン、生クリーム半パック加え、その後15分ほど煮込む
- 塩胡椒、バターで味を整える
- 器にスープを入れ、生クリームを少量追加で加える
でき上りました。
具材の旨味とトマト缶に生クリームや塩胡椒のシンプルな味付けでいただきます。もし物足りないようなら、コンソメを好みで足してみてください。
家庭によってさまざまなレシピがあり、鱈だけでなく、エビやサーモンを加え、生クリームをココナッツミルクに置き換えるレシピもあるそうですよ。どれも美味しそうですよね。
スープに入れる野菜も、好みや旬に合わせて変えてみるといいかもしれませんね。
フィスキスーパの現地流の楽しみ方は茹でたじゃがいもを付け合わせにして食べること。今回のキャンプではじゃがいも以外でよく食べられている組み合わせ、肉の串焼き、黒パンと一緒にいただきました。
ワインにも合うので、冬キャンプの凛とした空気の中、満天の星空や焚き火を眺めつつ、キャンプディナーを楽しんでみてくださいね
旬の鱈を使ってキャンプでアイスランド気分を!
北大西洋に浮かぶアイスランドは、北欧の国々の中で最も日本より遠い国です。しかし、火山が活発で温泉が親しまれていること、漁業が盛んで魚料理が好まれていることなど、共通点が多いです。きっと同じようにキャンプディナーを楽しめるのではないでしょうか。
寒くなってくるこれからの季節に、キャンプで旬の鱈を使った身も心もあたたまるアイスランド料理を楽しみながら、北欧の国アイスランドに思いを馳せてみませんか。