お酒好きにとって、寒い季節の燗酒はたまらないものがありますよね。居酒屋やご自宅で“熱燗”を楽しむ人も多いのではないでしょうか。
そんな熱燗を中心とした“燗酒”、キャンプでも既存のキャンプ道具を使って簡単に楽しむことができるんです。
焚き火で湯煎しながらお燗をしたり、アウトドア用に徳利やおちょこなどの酒器を集めたりするのも面白そうですし、冬キャンプでは冷え切った体もポカポカになりそうです。でも、実はキャンプで燗酒を楽しむメリットはそれだけじゃないんです。
LANTERN編集部では焚き火で実際にお燗をしてみましたので、その様子をお伝えしつつ、キャンプで燗酒を楽しむメリットもお伝えします。
さらに最後には各アウトドアメーカーから発売されている燗酒用のアイテムもご紹介しますので、そちらもぜひチェックしてみてくださいね。
キャンプで燗酒ってどうやるの?
ご家庭で燗酒を楽しむ場合、徳利やちろりに日本酒や焼酎を入れて、鍋などを使って湯煎するか、あるいは同じく徳利に日本酒を入れて電子レンジでチン、という感じで気軽に楽しめますよね。
さすがにキャンプでレンジ、というわけにはいきませんが、湯煎ならキャンパーの皆さんが普段使っている道具で何とかなりそうです。
今回私たちは、湯煎用にメスティンと深型シェラカップを用意。徳利に日本酒を入れて楽しんでみます。
燗酒に必要なもの
【必ず用意するもの】
・お酒(日本酒・焼酎など)
・湯煎用クッカー(メスティン・深型シェラカップなど)
・徳利やちろり
・おちょこ(マグカップやシェラカップだとちょっと雰囲気が出ないので)
・焚き火台・グリル・コンロ・バーナーなどの熱源(ご自身のキャンプスタイルで)
【あるといいもの】
・温度計
・お水(チェイサー)
お酒はせっかくなので少し贅沢に純米大吟醸をチョイス。湯煎用の道具は古いメスティンと深型シェラカップを用意しました。お湯を温める熱源は焚き火台を使用します。今回はユニフレーム(UNIFLAME)の薪グリルです。
後述しますが、燗酒は温度によって味わいが異なります。温度計を用意すると自分の好みの温度で楽しむことができます。調理用の温度計はリーズナブルな価格で手に入りますので、味にこだわりたいキャンパーさんは手に入れるといいと思います。
手順
1,メスティンまたは深型シェラカップにお酒の入った徳利をセット
2,メスティンまたはシェラカップでお湯を温める
3,泡が出てきたらお湯の温度がおおよそ60℃を超えている状態
4,好みの温度になったら燗酒を楽しみます
基本的にお酒の入った徳利やちろりなどを湯煎で温めるだけです。とても簡単ですよね。
ただし、味わいはお酒の温度によって大きく変わってきます。
あまり熱しすぎるとアルコールやお酒の風味が飛んでしまい台無しなんてことも。今回のようにいいお酒をお燗するなら、なおさら温度管理が必要です。
知っておきたい燗酒の種類と温度
一口に「燗酒」と言っても、実は温度によって呼び名が変わります。燗酒を出しているお店などによって異なる場合もありますが、一般的な種類を知っておきましょう。
熱燗(あつかん)50℃~55℃
「本醸造酒」「普通酒」と呼ばれるタイプのお酒の適温が熱燗です。熱燗という名称なので、お茶やコーヒー(70℃前後)のような温度で出すのだろうと勘違いする人がいますが、50℃~55℃くらいが適温です。
上燗(じょうかん)45℃から50℃
「本醸造酒」「普通酒」に加えて水と米だけで作られた「純米酒」の適正温度が上燗です。
ぬる燗(ぬるかん)40℃~45℃
「本醸造酒」「普通酒」「純米酒」に加えて、フレッシュで華やかな香りが楽しめる「吟醸酒」は、ぬる燗で楽しみましょう。
人肌燗(ひとはだかん)35℃~40℃
「本醸造酒」「普通酒」「純米酒」「吟醸酒」に加えて、香りがより高くライトな口当たりの「大吟醸酒」は人肌燗で楽しみましょう。
今回私たちが用意したお酒は純米大吟醸。より香りを楽しむために「人肌燗」で楽しむことにしました。
おつまみも食べたい
日本酒と言えば、するめ。せっかくなので焚き火で炙って“酒のアテ”にしましょう。
でも、これだけだと物足りない。というわけで、袋詰めのおでんを調達して温めます。
こちらも日本酒にぴったりの食材です。グループキャンプでは大きなお鍋にたくさんの具材を入れて、おでんを楽しむ姿を見掛けることもありますが、今回は少人数ですから、このくらいの量でしっぽり楽しみます。
冬のキャンプなのに、心も体もポカポカになりました。
燗酒はキャンプにぴったり?
熱燗などの燗酒をキャンプで楽しむことのメリットは体が温まるだけではありません。
酒造メーカーや燗酒を出す居酒屋の店主によると、燗酒は冷酒に比べて温かい分、すぐに体に吸収されると言われています。つまり、酔いを感じるまでの時間は、冷酒に比べて燗酒のほうが早くなるそう。酔っていることに気付いたときにはお酒を飲みすぎている、という状態を防ぐことができるというメリットがあるんです。
また、日本酒業界では近年「和らぎ水」と称して、日本酒を飲む合間にチェイサーとして水を飲むことを推奨しています。ビールなどの低アルコール飲料はたくさんの量を飲んでしまうため、合間に水を飲むのも難しいですが、チビチビと楽しむ日本酒なら、時々「和らぎ水」を口に含んでもお腹が水分で膨らむことはないですよね。
人間は酔うと自然に声が大きくなったり、気持ちが大きくなって、知らず知らずのうちに周囲に迷惑を掛けてしまうような行動をとってしまうことがあります。静かに過ごしたい方や家族連れのキャンパーさんが多くいるキャンプ場では当然マナー違反。
また、泥酔して眠るのも危険です。特に冬は寝袋などでしっかり体を保温しないと、低体温症の恐れがあるのがアウトドアの怖いところ。近年、実際にそういった事故も報告されています。
酔い過ぎる前に、ちょうどいいタイミングで晩酌を打ち止めできるのも、すぐに酔いを感じられる燗酒ならではのいいところです。
参考:月桂冠公式サイト
まとめ
いかがでしたでしょうか。
冬の厳しい寒さの中でアウトドアを楽しむには、どうしても暖をとりたくなります。焚き火、ストーブ、防寒着、ホットコーヒー、温かなキャンプ飯など、準備がたくさん。今度はぜひ、その中に「燗酒」を加えてみてください。
身も心も温まって、気持ちよくキャンプの夜を楽しめますよ。
キャンプで使える熱燗グッズ紹介
キャンプで燗酒を楽しむために、アウトドアメーカーから様々なグッズが発売されているのはご存知でしょうか?
最後にその一部をご紹介します。
DOD ちろりちょこちょこ
純銅製の「ちろり」と「おちょこ」二つをセットにしたアイテムがDODから発売されています。
熱伝導率の高い純銅製のちろりは、日本酒を飲み頃の温度まで素早く温めることができます。熱源にDODの焚き火台「めちゃもえファイヤー」、湯煎用に「シカクッカーS」を合わせて使うと、より使い勝手がいいですよ。
デザインも渋くてかっこいいので、思わず手に取ってみたくなりますね。
LOGOS 携帯・アウトドア熱燗セット
LOGOSから発売されている徳利、燗ポット、おちょこ2個、専用ケースが付いた「携帯・アウトドア熱燗セット」の特徴は、割れない素材を使っているということ。
そして、徳利を湯煎できる燗ポットは、直接お酒を入れれば「ちろり」になります。
便利なセットは、キャンプだけでなく普段使いもできますね。
笑’S B-6君専用 ステンレスメッシュ カン(燗)グリル
アニメ・実写化された人気キャンプマンガでも取り上げられ、根強い人気を誇るコンパクト焚き火グリル「B-6君」に、専用のステンレスカン(燗)グリルが人気です。
ステンレスメッシュと穴にすっぽりと嵌まるステンレスカップをセットにしたアイテム。ステンレスカップは湯煎用使います。徳利やちろりをセットして燗をしてもいいですし、缶コーヒーなどのホットドリンクを温めることもできます。
メッシュスペースはグリルとして使えますので、好きなおつまみを調理したり、温めたりしながら、ゆったりと燗酒を楽しむことができます。