みなさんはキャンプのギアをどう選びますか。ネットに情報があふれる時代、無数のレビューを見比べて、とりあえず無難なものを購入していた筆者。いつしか実物を手に取って選ぶ機会も少なくなりました。
そんな折、何気なく立ち寄ったのが個人経営のアウトドアショップ。選りすぐりのギアや珍しいガレージブランドなど奥深い世界が広がっていました。
ネットや量販店とは一味違う魅力を放つショップを巡る連載「ふらっとショップ探訪」。第24回は、「サイクルハテナ(サイクルショップEIRIN丸太町店別館)」(京都市上京区)を紹介します。
型にとらわれない”まちの自転車屋”
京都・河原町丸太町の交差点北東角にたたずむ自転車店・サイクルハテナ。グラベルロードやツーリングバイクなどの自転車のほか、バイクパッキングやキャリアなどのアイテムも豊富に取り揃えています。
実は、サイクルハテナは独立したひとつのショップではなく、サイクルショップeirin丸太町店(以下、eirin)の別館という扱い。交差点をはさんだ斜め向かい、南西角にあるeirinでは主にロードバイクやMTBの車体やパーツの販売、修理や点検などを請け負っています。
eirinは京都市内でチェーン展開しているサイクルショップエイリングループのスポーツ車専門店として2009年にオープン。一般車の修理にもしっかり対応する”まちの自転車屋”として地元でも親しまれてきました。
そして2018年3月、「自転車×アウトドア」というコンセプトに重きを置いた別館・サイクルハテナが誕生。自転車を移動手段としてだけでなく、遊び道具として乗りこなすための、かなりエッジの利いたセレクトが魅力です。
アウトドアの一環として自転車の遊び方を提案
サイクルハテナの店内には、自転車の車体やフレームはもちろん、自転車との相性が良いバッグ、機能的なウェアやシューズなど、自転車店とは思えないほどバリエーション豊かなアイテムが並びます。
中でも注目は、自転車キャンプなどに欠かせないバイクパッキングに使えるバッグの数々。フレームやハンドル、サドルなど自転車に直接取り付けられるため、後付けのキャリアなどが必要ないのが最大のメリットです。
店内に並ぶさまざまな形状や容量のバッグ。日本のデザイナーが立ち上げた「RawLow Mountain Works(ロウロウマウンテンワークス)」、同じく国産にこだわったブランド「FAIWEATHER(フェアウェザー)」、シアトルのバッグ工房による「SWIFT INDUSTRIES(スウィフトインダストリーズ)」など。国内外を問わず幅広いメーカーのものをセレクトしています。
南部さんは「どのように荷物を積むか考えながら自分なりのバイクパッキングを構築するのも楽しみのひとつ。アウトドア業界で注目されているULギアと上手く組み合わせればよりスマートなライドも可能です」と話します。
街乗りからアウトドアまでこなせるアパレル
アパレルのラインナップも充実。街乗りでカジュアルに着こなせるものから、ロングライドを快適にする高機能なものまでそろいます。ディスプレイの一部は京都の北山や鴨川で拾ってきた朽ち木を利用してDIYで制作されています。
京都ゆかりのガレージブランドも多数展開。ハンドメイドで帽子を手がける「SANKAKUSUI(サンカクスイ)」は接触冷感&撥水加工のさらりとした触感が特徴。高温多湿の日本の気候にぴったりです。
そのほか、「HOUR(アワー)」や「KM4K(カモシカ)」の京都を拠点に作られたアイテム。南部さんは「私たちと同じ京都という環境、気候の中で生み出されたからこその使い心地の良さが感じられます。どのプロダクトも作り手の思いの詰まったものばかりです」と語ります。
オリジナル&コラボで生まれた個性的なアイテム
サイクルハテナを語る上で欠かすことのできないのがオリジナルグラベルバイク「MAJOR TOM(メジャートム)」。山と街の距離が近い京都というフィールドで生まれた一台は「グラベルバイク」をベースにしつつ、どんなカテゴリーにも当てはまらない「リベラルバイク」という唯一無二の存在です。
欧米から輸入されたグラベルバイクに比べ、起伏に富んだ日本の地形を考慮して登りやすさを重視した設計を採用。人里離れた旧道や林道はもちろん、その途上のオンロードでの走りやすさも兼ね備えます。キャンプツーリングから長距離旅行までマルチに活躍すること間違いなし!
こちらはKM4Kとのコラボで誕生した三角形のバッグ「PASS HUNTER BAG(パスハンターバッグ)」。小物を収納できるバッグの機能に加え、自転車を担ぎやすいショルダーパッドを配しています。
この手のデザインは1980~90年代、自転車で道なき道をアタックするアドベンチャーサイクリストらの間で人気を得ていたものの、時代とともに姿を消していったそう。
南部さんは「あえて現代に復活させたことで、鴨川の飛び石や歩道橋の上り下りなど、むしろ活躍するシーンに広がりが見られるのも面白いですね」と話します。
店長のおすすめ3選
Tiny by pep cyclesの「TiNY Table(タイニー テーブル)」
自転車でも気軽に持ち運べる軽量・コンパクトなソロ用テーブル。収納時のサイズは170mm×95mm、厚さわずか4mm。重量はアルミ製の天板のもので100gとミニマルな設計となっています。使用時のサイズは190mm(30mmの拡張可能)×170mmとソロなら十分なスペースを確保できます。
南部店長の一言メモ
「超コンパクトなのでフレームバックやハンドルバーバックなどバイクパッキングにもしっかり対応します。自転車でのソロキャンプやコーヒーライド、キャンプ、登山など幅広いシーンで活躍してくれます」
RawLow Mountain Works(ロウロウマウンテンワークス)の「Bike’n Hike Post Bag(バイクンハイク ポストバッグ)」
バックパックにもなる大型のサドルバッグ。ロールトップ式で容量が8~10Lに可変し、荷物の出し入れもスムーズに行えます。テールライトなどを取り付け可能なギアループ、ちょっとした荷物を固定するのに便利なドローコードなど、細部まで丁寧に作り込まれています。
底面に収納されているショルダーストラップでバックパックに変身。輪行の際にバッグを外して背負って移動できたり、ツーリング先で街歩きやハイキングをしたり、自転車遊びがより自由になるアイテムです。
南部店長の一言メモ
「背負えるサドルバックというコンセプトは他のメーカーにはなかった斬新なアイデア。豊富なカラーや生地のバリエーションでコーディネイトを楽しめるのも魅力的です」
JACK(ジャック)のフロントラック「Jack The Bike Rack」
工具なしで取り付けできる万能フロントラック。一般的なラックはネジで固定するものが多いですが、これなら初心者でもポン付けして気軽に扱えます。
取り外しも簡単なので車体への載せ替えも自由自在。お手軽なのに耐荷重は5kgとタフさも備え、付属のショックコ―ドで固定すれば大きな荷物も運べます。
南部店長の一言メモ
「ゆるくバイクパッキングを実践できるイージーさが魅力のアイテム。私も試しにパックラフトとパドルを積載してみましたが問題なく持ち運べました。シンプルでモダンなたたずまいで自転車もカッコよく決まります」
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まとめ
サイクルハテナでは日曜サイクリングと題し、毎週日曜日のライドイベントも積極的に開催されています。京都のサイクリングやグラベル環境を知りたい人はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。新しい自転車遊びの扉が開けるかもしれませんよ。
「サイクルハテナ」基本情報
所在地:京都府京都市上京区河原町通り丸太町上がる桝屋町367
営業時間:月曜〜日曜 12:00~20:00、水曜定休
TEL:075-585-5955
「サイクルショップEIRIN丸太町店」基本情報
所在地:京都府京都市上京区高島町338-2
営業時間:月曜~土曜 11:00-20:00、日曜 12:00~20:00、不定休
TEL:075-231-3598
公式ホームページ:https://www.sports-eirin-marutamachi.com/
公式インスタグラム:https://www.instagram.com/eirinmaru/
公式ツイッター:https://twitter.com/eirinmaru?lang=ja