木を観ることからはじめよう
さっそくハンモックキャンプを体験していきます。
まず、ハンモックの設置場所を決める為に、清水さんと木々を眺めながら、キャンプエリアを散策します。
ハンモックを吊るという目的があると、普段何気なく見ている林立する木々の一本一本を、注意深くしっかり見ることになります。日常の中で、ただ漠然と森林浴と称して散歩する時より、「木」そのものの存在が大きく感じられました。
適度な間隔の木を選び、いよいよハンモック体験をしていきます。
ハンモックって木に悪いの?
木にストラップをかけ、ハンモックを吊るしていきます。ただハンモックを吊るすだけなら、5分もあれば十分です。
しかし今回は最低気温0度の予報だった為、防寒用のダウンの入ったインシュレーション(断熱材)を取り付け、タープも設置。もう少し時間が掛かりました。慣れれば10分で設置可能なのだそうです。
ところで気になるのが、「木への負担がどうなのか?」と言うこと。
インターネットやSNSを見ていると、ハンモックが木に与える影響についての話が散見されます。
ENOでは、樹木医監修の「自然に寄り添うハンモックの使い方」と言う小冊子を作成、配布しているのだそうです。
ENOのサイト内のこちらでも、ご紹介しています。
ENOのストラップは幅が広い仕様になっていて、木への負担を極力減らす工夫がされているそうです。
「自然の中に人間が足を踏み入れるということは、どうしても自然へ負担をかけてしまいます。負担をゼロにすることは難しいのが現状です」
「しかし、ハンモックを使うことで、「木」を良く見るようになり、「木」に関心を持つ機会が増えることが、結果的に木を大切にすることになると思います」
清水さんとハンモックを設営しながら、そんな貴重な話をうかがうことができました。
思った以上に暖かい!ハンモックキャンプ
いよいよハンモック体験をしていきます。
ところで、ハンモックキャンプは未体験の筆者。しかしハンモックに横たわること自体は以前より体験しており、あの独特の浮遊感の魅力は理解しているつもりでした。
ただ、やはり宙に浮いたハンモックは、最低気温0度近い冬のキャンプには不向きなのではないか、という不安は拭えません。
そんな思いを抱えたまま、防寒用のインシュレーションを取り付けたハンモックに潜り込んでみると……何とも言えない包み込まれるような心地良さを感じます。
さらにじっとハンモックの揺れに身を任せていると、じわ〜と背中に暖かさを感じるようになりました。
考えてみれば、ハンモックにダウンの入ったインシュレーションを被せ、それを宙に浮かしているので、背中の部分のダウンが体重で潰れることなく体を包んでくれています。
通常、極寒時のテント泊では、地面からの冷気に悩まされますよね。
どんなに高性能な寝袋も、背中部分は体重でダウンが潰れ、空気の層が無くなるので、地面からの冷気で体温が奪われます。それを防ぐために高性能なマットやコットを使用するのですが、その分荷物が増えていくことになるのです。
ハンモックキャンプなら、荷物が最低限で済む。これは筆者の愛するULキャンプとの相性抜群です。これまでハンモックキャンプを試したことがない、徒歩や自転車でのキャンプを愛する皆さんもきっと試したくなるはずだと思いました!
そして快適な理由がもう一つ。ハンモックキャンプをする際は、ぜひタープを一緒に張ることをおすすめします。若干の風や雨などからハンモックを守ることで、より暖かさが感じられるはずです。