みなさんはキャンプのギアをどう選びますか。ネットに情報があふれる時代、無数のレビューを見比べて、とりあえず無難なものを購入していた筆者。いつしか実物を手に取って選ぶ機会も少なくなりました。
そんな折、何気なく立ち寄ったのが個人経営のアウトドアショップ。選りすぐりのギアや珍しいガレージブランドなど奥深い世界が広がっていました。
ネットや量販店とは一味違う魅力を放つショップを巡る連載「ふらっとショップ探訪」。第31回は、「unite(ユニテ)」(大阪府箕面市)を紹介します。
箕面のトレイルにほど近いショップ
阪急電鉄箕面線の終着駅、箕面駅に隣接するビル2階にあるトレイルランニング専門ショップ「unite(ユニテ)」。シューズやウェア、ザック、補給食などトレラン装備を中心に、デイリーユースにも使えそうな機能的で洗練されたギアがセレクトされています。
ショップは2020年4月にオープン。歩いてすぐの場所には箕面市北部山地の自然公園が広がっています。標高約100~600mの低山岳地帯に張り巡らされたトレイルは、コース次第で初心者から上級者まで楽しめるのがポイント。トレランの拠点としてショップを利用することもできます。
代表の田所伸太郎さんは生まれも育ちもここ箕面市。箕面の山々は子どもの頃から昆虫採集や山菜取りをした身近な遊び場。30歳から趣味でマラソンを始めましたが、仲間の勧めもあり数年でトレランにシフト。再び山に入る機会が増えていくようになりました。
「どうしてもタイムを意識しがちなマラソンより、シンプルに走りを楽しめるトレランが自分には合っている気がしました。目の前の景色がどんどん変化するし、路面のバリエーションも豊富で飽きが来ないのがいいですね」と話します。
元々は吹田市のアパレルメーカーに勤務していたものの、「なにか地元に貢献できる仕事ができないか」と考えていた田所さん。そこで思いついたのが、トレランショップを軸としたコミュニティづくりでした。以来、フィールドが近いという好立地を活かし、定期的なグループランを開催するなど、人と人のつながりを大切にしながらトレランの魅力を発信してきました。
幅広いニーズに応えるシューズやウェア
店内に入ってすぐ右手の棚にはシューズがズラリ。幅広甲高な足型の多い日本人にも人気の「TOPO(トポ)」や「ALTRA(アルトラ)」、クッション性が特徴的な「HOKA(ホカ)」、トレランの王道的な存在の「Salomon(サロモン)」など、種々様々なブランドをラインナップ。田所さんを含めてスタッフ全員がランナーなので、一人ひとりの経験やニーズに沿った提案をしてもらえるのもうれしいポイントです。
ウェアはトレランを快適に楽しむための機能性だけでなく、デザイン性に優れたものを多数展開。中でも、ランナー兼デザイナーが手がける箕面発のブランド「STAMP RUN&CO(スタンプランアンドコー)」は、他店では見られないほど充実の品揃え。グラフィカルなデザインの速乾Tシャツやショーツ、キャップなどはどれも魅力的です。
レジ後方の壁一面にディスプレイされているのは、アメリカ発のサステナブルなブランド「Cotopaxi(コトパクシ)」のバックパックやアパレル。他ブランドが使い残した布を上手く組み合わせているため、ひとつとして同じ配色がない一点ものばかり。数あるデザインの中から自分好みのものを探してみるのも楽しそうです。
オーナーのおすすめ3選
TOPO(トポ)の「Terraventure 4(テラベンチャー 4)」
トレラン業界で注目度の高いTOPO。中でもバランスの良い人気シリーズとして知られるのがこのテラベンチャー。ドロップは3mmと低めの設定で、ナチュラルで軽快な履き心地。Vibram(ヴィブラム)社のアウトソールが採用され、岩場の多いテクニカルなトレイルでもグリップ力を発揮します。
田所さんの一言メモ
「こちらは初心者から上級者まで万人にはまりやすい一足。前作よりもクッション性能が向上し、長い距離にもしっかりと対応しています。トレランだけでなく軽登山にもおすすめですよ」
CIELE(シエル)の「VNTJacket」
とにかく軽くて通気性の高い本格派のウィンドシェル。ポケットに収納できるパッカブル仕様で持ち運びも楽々。視認性を高めるリフレクト素材が使用され、日没後や日の出前のランでも安心です。
田所さんの一言メモ
「シエルと言えばキャップが有名ですが、最近はウェアも豊富に展開されています。各部に施されたメッシュで通気性をしっかり確保し、ダブルジップで湿気もすばやく換気可能。細部にわたる工夫で体温調節しやすいのが魅力的。この夏イチ押しのアイテムです!」
STAMP RUN&CO(スタンプランアンドコー)のTシャツ各種
トレイルランナー兼デザイナーの2人がタッグを組んだ箕面発のガレージブランド・STAMP RUN&CO。前面は吸汗速乾性に優れた高機能生地を、背面は通気性のいいメッシュ生地を採用。サラッとした着心地のランTシャツです。
田所さんの一言メモ
「一着一着のデザインにこだわったランニングウェア。ボーダーと水玉のユニテとSTAMP RUN&COのコラボで実現したオリジナルのデザインTシャツ。ほかにはない独特のデザインが人気のブランドです」
まとめ
店名のuniteは建築家ル・コルビジェ代表作のひとつ、南仏マルセイユの大型集合住宅「ユニテダビタシオン」に由来しているそう。住まいのほかに商店や郵便局、レストラン、幼稚園が併設されているユニテダビタシオンは、田所さんたちが目指すショップやコミュニティ、その先にある街作りのイメージと重なる象徴的な存在ともいえます。
トレランの拠点として人が集まる場づくりのため、店内には出発前に荷物を預けられるロッカー(小:200円、大:400円)、汗を流せるシャワー・洗面(有料300円)を設置。毎週、近隣のトレイルで開いているグループランはどんどん仲間の輪が広がっているそう。様々な出会いをもたらすショップ・ユニテにぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
「unite(ユニテ)」基本情報
所在地:大阪府箕面市箕面1-1-45箕面阪急セブン2F
営業時間:平日12:00〜19:00、土日祝9:00〜18:00
公式ホームページ:https://www.unite-shop.net/
公式インスタグラム:https://www.instagram.com/unite_minoh/