「海の中を歩いて島へ?!」北欧デンマークのユニークなアクティビティ“島ハイキング”

公開日:2024 / 05 / 11
最終更新日:2024 / 05 / 11

北欧特有の暗くて寒い憂鬱な冬が終わり、太陽が顔を覗かせる春。暖かくて明るいこの季節は、多くの人がハイキングをはじめとしたアウトドアを楽しみます。

北欧の国の一つであるデンマークは、バルト海と北海に囲まれ、ユトランド半島と1,000以上の島で構成された海洋国家。春から夏にかけて離島でのハイキングを気軽に楽しむことができます。

デンマークでは船や橋を使わず、“海の中を歩いて”離島に渡ってハイキングを楽しめるユニークなスポットがあるんです。

今回はそんなデンマークのユニークな「島ハイキング」の魅力を紹介しましょう。

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海の中を歩いて島まで渡ろう

フュン島の北部にある島「Æbelø(エベロ)」。英名ではapple-islandと呼ばれるこの島は、沿岸から1.5kmほど離れた位置にあり、遠浅の海が広がるデンマークの中でも特に水深が浅いエリア。潮が引いている時間だと膝下程度の深さしかなく、40分ほど“海の中を歩いて”島へ渡れます。島の大きさは2Km平方メートル程度なので、上陸してからのハイキングは半日ほどあれば、じっくり楽しめます。

「エベロ」へは、フュン島の北部の沿岸にある駐車場「Parkeringsplads Ebbevej til Æbelø」までを車や自転車で、駐車場からは“海の中を歩いて”島へ渡ります。

駐車場の近くの公衆トイレ以外、島にはトイレも水場もないので、ハイキングには水や携帯トイレを持参していきましょう(いざという時はネイチャートイレ*を利用する人が多いそうですよ)。

駐車場までは、「人魚姫」や「マッチ売りの少女」などで有名な童話作家アンデルセンの生まれたデンマーク第三の都市で、アンデルセンの生まれ故郷「Odense(オーデンセ)」の街から車で30分ほど。オーデンセには観光客でも利用できるレンタカーショップがいくつかあるので、気軽に利用できます。

また、エベロの最寄りの小さな港町「Bogense(ボーゲンセ)」は夏の間、観光が栄えています。この街で宿を取りレンタサイクルで向かうのも良さそうです。ちなみにボーゲンセから駐車場までは自転車で30分程度です。

エベロでのハイキングでは海の中を歩くため、ウォータープルーフに対応した服装を準備しておきましょう。筆者が島ハイキングに挑戦した時は、足元は踵付きのサンダル、上はTシャツ、下は水着で挑みました。

北欧デンマークは日本に比べて夏でも海水温が低く、最初は足を着けるのに躊躇してしまいますが、日差しによる暖かさもあって段々と気持ちよくなってきます。きっとすぐに慣れるので、勢いよく最初の一歩を踏み出してしまいましょう。

水の中をザブザブ歩いて島に渡るという独特の体験がユニークなこのアクティビティ。沿岸からエベロまでは、海に目印のポールが立っているので、迷うこともほとんどありません。

ポールに沿って約40分。海の中を歩く時間を楽しみながらエベロへ渡りましょう。

*ネイチャートイレ:森や茂みのそばでそっと用を足すこと。公衆衛生の観点より、川や湖などの水場を避けることが望ましい。意外と女性もネイチャートイレを利用しています。

いろいろな景色を楽しめるエベロの島ハイキング

海の中を歩いて40分、陸地に上陸します。そこからはしばらく左右を海に囲まれた細い砂浜の上の小道を歩いて、エベロ本島へ向かいましょう。

しばらく進むと草原が広がる場所に出ます。そしてその向こうに「トロールの森」と呼ばれる原生林が見えてきます。

ここから先のハイキングコースは、森の中を縫うよう整備されています。エベロにはかつて40人ほどの住人がいて、林業や農業が営まれていましたが、1960年代以降は無人島となりました。しかし50年以上たった今も家屋跡などの人工物が残っています。

今では自然保護区となっているため、森の中で野鳥の鳴き声を聞いたり、運が良ければ鹿の群れを遠くに見ることができます。

海岸沿いの木々が滑り落ちてできた崖に注意しながら、森の中のハイキングコースを歩いていると。木々の間から青い海が見えてきます。格別に綺麗な景色なので、つい見惚れてしまいました。

他にも、カヌーでエベロに向かう人がいます。海岸から手を振ってエールを送り合う人たちをしばしば見かけます。

海の中を歩くだけでもユニークな体験なのに、島の中でもいろいろな景色を楽しむことができるエベロでのハイキング。

半日かけて島をぐるっと周るので、サンドイッチなどお弁当を持参して、景色のいい場所でゆっくりランチを楽しむこともできます。

おすすめは、エベロに向かう途中のベーカリーでお気に入りのパンを買っていくこと。素朴なランチが格別な美味しさになります。

エベロの島ハイキングで守るべきルール

海の中を歩いて島へ渡れるエベロの島ハイキング。ユニークな体験ができますが、安全や環境保全のために、いくつかルールが定められています。

  • ハイキングは朝6時から日没までの間に終えること。暗くなると危険なのでハイキングは禁止。安全上の理由で島でのキャンプなど夜を越すのも禁止
  • 9月中旬から5月中旬までは風の強い期間にあたるので、海の中を歩いて島へ渡るのは低体温症や遭難の危険が伴うので控えること
  • 3月1日から7月15日までは鳥の繁殖期なのでエベロに近接する「ドライト島(Dræet)」への立ち入りは禁止
  • 島でのハイキングは整備されたルートを歩くこと。動植物保護のためルート外を歩くのは禁止
  • ボーゲンセ周辺の潮の満ち干や天気予報を事前に確認し、ハイキングの計画を立てること
  • 島からの植物や石などを持ち帰るのは禁止
  • バーナーを持参してランチを作るのは可能だが焚き火は禁止

参考:Visit nordfyn

 

北欧デンマークならではの島ハイキング

“海の中を歩く”だけでも楽しいのに、島でのハイキング自体も満喫できるエベロ。

北欧デンマークに観光する際、時間に余裕があれば、エベロまで足を伸ばしてユニークな島ハイキングを楽しんでみてはいかがでしょうか。

もし1人で行くのが不安であれば、街のツーリストインフォメーションでガイドを紹介してくれるので安心ですよ。

観光ツアーでは体験できない北欧デンマークならではの島ハイキング。気になる方はぜひ、挑戦してみてくださいね。

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みう

キャンプ、登山、ハイキングやスキーが趣味の元エンジニア。週末に車中泊仕様の愛車ジムニーに乗ってあちこち出かけています。

北欧の国デンマークで1年間、現地流アウトドアを現地の学校で学びながら満喫。

Instagram:@miu_jn3tbz
ブログ「デンマーク徒然日記」:https://note.com/miu945

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