初夏の八ヶ岳縦走計画…のはずがまさかの事態に!“名物の山小屋ステーキ”と“絶景登山”を楽しむ1泊2日は無事終えられるのか【登山レポート】

公開日:2024 / 08 / 04
最終更新日:2024 / 09 / 10

夏の陽気が少しずつ漂い始めた5月下旬、テント泊で八ヶ岳のひとつ、硫黄岳に登ってきました。

今回参加するメンバーは登山歴13年の筆者と中学時代の後輩。メンズ2人のデュオ登山です。

一緒に行くきっかけになったのは、元々後輩から山に行こうと誘いをもらっていたこと。実はこの後輩とは6年前に北アルプスの燕岳(つばくろだけ)に登ったことがありました。当時彼は登山経験があまりなかったのですが、その登山以降、様々な山に登り経験を積んできたそうです。

そこで今回の登山は、難易度を上げて1泊2日の行程で硫黄岳~横岳~赤岳~阿弥陀岳の縦走登山とする計画に。宿泊も山小屋でなくテント泊をすることにしました。

このコースは鎖場・ハシゴなどもある岩稜帯で、ヘルメットも必要になる初心者には厳しいと言えるコース。しかし後輩はやる気満々。筆者もワクワクしながら計画を立てました。

ところが……まさかの事態が発生。”ある事情”により登山は硫黄岳だけとなりました。

果たしてどんな山行になったのでしょうか。

メンバー

【筆者】
近郊の低山から厳冬期の北アルプスまで幅広く山を楽しむLANTERN編集部員。好きな山は鹿島槍ヶ岳。今回の硫黄岳~横岳~赤岳~阿弥陀岳の縦走登山は経験あり。

【中学時代の後輩】
馬力には定評がある長野県民。最近は、筆者の勧めでクライミングを始めた。好きな山は黒斑山。今回の硫黄岳~横岳~赤岳~阿弥陀岳の縦走登山は経験なし。

装備

共同装備は無く、各々衣食住を背負います。

装備一覧

・雨具(上下別)
・ウィンドブレーカー
・救急用品
・ヘッドライト
・行動食(羊羹やクッキーなど)
・朝ごはんの材料
・水分(3L)
・クッカー
・シングルバーナー
・コーヒー
・モバイルバッテリー
・シュラフ
・テント
・マット
・着替え
・保温着
・サンダル

今回使用するザック

48Lと40Lのザックを使用。ただ、お互いそれ以上に詰め込んでいますね。

というのも、今回裏テーマ「極上の眠り空間を作ろう」を設定していたので、寝具が増えてしまいました。

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行程

1日目

美濃戸口登山口からスタート。

こちらの登山口は、駐車場を完備していることから、車でのアクセスに便利です。なお、駐車料金は800円/日です。

続いて、登山届を提出します。

長野県では登山届の提出を必須としているので、必ず提出しましょう。

【10:00】
準備運動を済ませて、さぁ出発!

左から後輩、筆者。

【10:20】
空は気持ちよく晴れていますが、樹林帯なので日陰が続きます。体力の消耗が思ったより少なくて、足取りは軽く楽しく歩いています。ちなみにその時の温度は28度を記録していました。

【11:20】
コース最初の目的地、赤岳山荘に到着。ここでトイレ休憩を兼ねて少し休みます。

トイレの利用は100円/回。ここに限らず登山道にあるトイレは利用料が必要な場合が多いため、コインケースに100円玉を数枚入れておくと安心できますよ。

【11:35】
トイレ休憩を済ませ、再び登山開始。

北沢と南沢の分岐点に到着。

今回は南沢を選択しました。

【12:00】
山小屋である赤岳鉱泉・行者小屋を目指します。

【12:15】
赤岳鉱泉・行者小屋に到着しました。1日目はこちらで1泊します。

今回は山小屋内での宿泊ではなくテント泊を選択。チェックイン時に受付にて2000円/人を支払います。

チェックインを済ませた筆者と後輩。それぞれテントを設営します。

筆者が作業をしていると、後輩が悲しげな顔でこちらを見てきます。

「買ったばっかりのテントだから設営方法がわからない…手伝って。」

話を聞いてみると、なんと3日前にメルカリで購入したものだそうです。

そりゃ、設営方法が分からないわけだ…。

筆者が手伝いながら後輩のテントを設営し終えると、いよいよお昼ご飯の時間です。

赤岳鉱泉・行者小屋には野外カフェが併設されています。本日はここでお昼を注文しました。

筆者はカレーとレモネード、後輩はもつ煮とライスを注文。

マムートのロゴが入ったジョッキがかっこいいですね。

2人で美味しくいただきました。

続いて赤岳鉱泉名物のひとつ、天然温泉に入浴します。

受付横には、昔懐かしい男女に分かれた暖簾が下がった入り口。温泉感がとてもいいですね。

ちなみに入浴料は1000円/回。

実はシャンプーやボディーソープは使用禁止。汗を流してリフレッシュします。

さっぱりした後は明日の登山に思いを馳せながら、夕飯まで各々自由時間を過ごします。

【17:30】
事前に予約しておいた夕飯を食べに小屋へ。

そう夕食は赤岳鉱泉名物のステーキ!

実はこれを目当てに来る登山者も多いのだとか。

ご飯とポトフはお代わり自由なので、翌日に備えてたくさん食べました。

【19:00】
夕食を食べ終え、満たされた気持ちでテン場(テントを設営するエリア)からのきれいな夕日を堪能。

寝る前に担いできたお酒とおつまみで乾杯。幸福度が倍増しました。

明日の登山に備えて、いい気分のまま就寝しました。

2日目

【4:00】
登山に備えて起床します。ここで事件が起きました。

後輩を起こしに彼のテントへ。すると、なんとこれまで見たことがないくらい泣いています。

驚いて理由を聞くと、なんと今日の行程である赤岳の岩稜帯を歩くのが急に怖くなって、一睡もできなかったそうです。確かに鎖場・ハシゴ・ザレ場などがある岩稜帯のコースは、滑落や落石の危険もある初心者には難しいコース。気持ちはわかりますが、登山の行程を決める時には自信満々の様子だった彼はどこに行ってしまったのか……。

しかし、自信のないまま無理に歩を進めるのはよくありません。泣きながらお腹を鳴らす後輩を見て、とりあえず朝食を摂りながら予定を立て直すことに。

サンドウィッチとリンゴを齧る彼と相談した結果、硫黄岳の頂上から八ヶ岳連峰を眺める山行へと変更することにしました。

【5:00】
硫黄岳の頂上までは比較的優しい行程のため、必要な物だけをサコッシュに詰めて赤岳鉱泉を出発!

【おやつタイム】
少し歩くと急に小腹が空いてきました。

筆者は登山中に何だか血糖値を上げたくなる瞬間がやってきます。思えば、朝から恐怖で涙する後輩をなだめ、新たなと行程を練り直したので脳が疲れたのかも。

せっかくなので用意していた焼き芋のお菓子をいただきました。画像にはありませんが、他にも柿ピーや羊羹なども食べました。どれだけ疲労していたのでしょうか、筆者の脳は……。

もちろん登山により歩き疲れた状態でもあるので、甘いものを摂取すると体に力がみなぎってきます。「あぁ、身体が生きてるんだぁ」としみじみ感じてしまいました。

【6:00】
森林限界を超え、ついに稜線に出ました。

稜線歩きが大好きな筆者。後輩によると、筆者の顔が歩いている間、終始にやけていたそうです……。

高い山に登って周りの山々を見渡すと、日本は山で形成されているんだとつくづく実感します。

小学校の頃、社会科の授業で地図帳見ながら「奥羽山脈はこんな形で~、赤石山脈はこんな形だ!」などと言っていたのを思い出しました。

ポイント!
突然ですが、ここで夏の稜線歩きのワンポイントアドバイス。

稜線に出ると風がとても強いので、夏登山でもウィンドブレーカーは必須!

寒がりな人だったらダウンジャケットのような薄手の保温着があるとさらに安心です。

【6:30】
ついに硫黄岳山頂に到着しました!

八ヶ岳連峰や遠くには槍ヶ岳も見えます。目の前に広がる絶景に感動し、早くも次の山行はどこにしようかと考えてしまいました。次から次へと次の計画が浮かんできて早くも迷ってしまう筆者。山頂で頭を悩ませてしまうのも、登頂した後の楽しみですね!

早朝に泣いていた後輩もすっかり元気に。赤岳を眺めた彼は、「次こそはリベンジする」と笑顔で言っていました……!

疲労を考慮し15分程昼寝をして体を休め、硫黄岳を後にしました。

【8:30】
赤岳鉱泉に戻ってきました。

少し休憩をして、テントを片付けました。

【10:00】
こちらは赤岳鉱泉・行者小屋とYETIGELATOがコラボしたミルク味のジェラートです。

大人気のこれを楽しみに山を下っていたので、口に入れた時の幸福感が堪らなかったですね……

後輩から黒ゴマ味も分けてもらい、こちらも美味しくいただきました。

【11:00】
赤岳鉱泉を出発し、美濃戸口登山口まで下山開始。

どこか海外のトレイルを歩いているかのような気分でウキウキしながら下山しました。

歩いているととても暑いので、日焼け防止を兼ねて冷感素材の白色のパーカーを着用しました。

【12:30】
美濃戸口登山口に帰ってきました!無事に下山です。

山で過ごす時間は本当に楽しい

山で過ごす時間が何よりも好きな筆者。アクシデントはありましたが、久しぶりの旧友との登山は会話も弾み、良いコミュニケーションができてとても楽しい時間になりました。

ちなみに今回登った硫黄岳は初心者でも比較的挑戦しやすい2000m級の山です。登山に興味のある方はぜひ一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

筆者はまた別の登山計画を立てたいと思います。次回の登山レポートもお楽しみに!

赤岳鉱泉・行者小屋について

今回利用した赤岳鉱泉の詳細は下記URLを確認してくださいね。
赤岳鉱泉公式HP

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