食中毒で“死亡例”も。キャンプでの肉・魚・野菜の取り扱い方法を知ろう

公開日:2024 / 07 / 04
最終更新日:2024 / 07 / 04

一年中発生する食中毒ですが、特に梅雨から夏の高温多湿の時期は細菌が増えやすく、被害が起きやすいことが知られています。

「食中毒と言ってもお腹壊すだけでしょ」と思い込んでいる人が多いかもしれません。しかし怖いのは、食中毒になると腹痛や下痢、発熱をおこすだけでなく、場合によっては後遺症が残ったり、死亡したりするケースもあることです。

そこで今回はキャンプ飯でも調理することの多い、肉・魚・野菜の取り扱い方法を解説します。

バーベキューをはじめ、キャンプ飯で調理されることの多い食材といえばやはり肉です。

牛肉以外にも、豚肉、鶏肉、最近では鹿肉や猪肉、さらには熊肉といった「ジビエ」を道の駅などで手に入れて、キャンプ場で調理することもあります。

それらの肉について、食中毒が起きにくい調理法を知っておきましょう。

豚肉・鶏肉

多くの人が認識している通り、豚肉や鶏肉はしっかりと火を通さないと食中毒になる危険があります。

豚肉や鶏肉を調理する時は、“食材の中心温度”を75℃で1分間や、63℃で30分間を保つ必要があると食品衛生法で定められています。

鶏肉は刺身など生食をする習慣がありますが、新鮮なものであっても食中毒を起こす可能性は否定できません。ニワトリは飼育時点で食中毒の原因となるカンピロバクター菌を持っており、“新鮮だから”、“この地鶏は大丈夫”と言われてもリスクがあります。中心が“生”の状態のササミやレバーも同様に考えておいた方がいいでしょう。

ましてやキャンプ場では、衛生管理が飲食店と同様の環境に保つことは極めて難しいので、肉の調理の際はきっちり火を通す、ということを忘れずに行いましょう。

ちなみにジビエについてですが、野生動物である場合、E型肝炎や寄生虫の感染リスクがとても高くなります。こちらも豚肉、鶏肉と同じように、中心までしっかりと加熱することが大切です。

牛肉

牛肉では、食中毒の原因となるサルモネラ属菌やO157などの腸管出血性大腸菌は、肉の表面に付いていることが多く、かたまりの肉であれば中心がレアの状態でも食べることができます。

ただし、ひき肉などの加工肉や調理のために串や刃を入れた部分には細菌が入り込むため、中心まで加熱する必要があります。

なお、レバーなどの内臓には内部まで菌が入り込みますので、こちらも必ず加熱する必要があります。

キャンプでは刺身などの生食は温度管理や衛生管理を厳密に行っていない限りは避けた方がいいでしょう。しっかりと鮮度が保たれることは最低条件です。

しかし、鮮度が保たれていても、腸炎ビブリオ菌やアニサキス症による食中毒の恐れがあります。

腸炎ビブリオ菌の予防策

腸炎ビブリオ菌は、常温で急速に増殖するという特徴があります。適切な温度管理の難しいキャンプでは、特に注意が必要です。また、真水に弱いという特徴もあるので、調理をするときにはエラと内臓を取り除いた後、真水で魚全体をしっかり洗い、ぬめりを洗い流す必要があります。貝類も同様で、生で食べる場合には真水でしっかりと洗う必要があります。

また、調理に使った包丁やまな板、そして手についた菌もすべて洗い流す必要があります。

このように、魚を生食しようとすると大量の真水が必要になります。キャンプサイトで流すことのできる多くの真水を用意することが難しいケースも多いと思いますので、キャンプでは十分な加熱を前提とした料理を考えるといいでしょう。(中心温度が100℃で数分、60℃で10分以上の加熱が必要)

アニサキスへの対処法

アニサキス症は、アニサキスの幼虫が、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどに寄生していて、食べると幼虫が胃や腸に噛みつき、みぞおちの激しい痛み、嘔吐、腹痛を起こします。また、アレルギーを起こす人もいるので注意が必要です。

酢漬けや塩漬け、わさびでもアニサキスの幼虫は死なないので、しっかりと取り除けない限りは、こちらも中心温度が70℃以上になるような十分な加熱調理することが必要です。

なお、アニサキスの幼虫は-20℃で24時間以上冷凍すれば死滅させることができますが、家庭用の冷凍庫ではそこまで温度を下げることができません。生食する場合には、必ず刺身用と書かれた加工済みのものを購入しましょう。

加熱する場合も気を付けたいヒスタミンによる食中毒

ただし、魚を加熱する場合でも気をつけたいのが、ヒスタミンによる食中毒です。

マグロ、カジキ、カツオ、サバ、イワシ、サンマ、ブリ、アジといった赤身の魚を常温でおいておくと、ヒスタミンが生まれます。それにより、舌がピリピリする、顔が赤くなるほか、じんましん、頭痛、嘔吐、下痢などを引き起こすことがあります。

ヒスタミンは加熱しても分解されないため、常温でおいておく時間をできる限り減らしたり、ヒスタミンを作る菌が多くあるエラや内臓をすぐに取り除くなど、調理前の魚の取り扱いに十分注意しましょう。

特に香辛料などを使っていない調理で、魚を食べたときに舌がピリピリとしたら、食べるのをやめましょう。

野菜

採取した野草やきのこの注意点

前提として、いわゆる野草類やキノコ類は、有毒なものと食べられるものの見分けがつきにくいことがあります。誤って食べてしまった結果、死亡例も報告されているので、十分に知識のある人が、確実に食用であると判断したもの以外は食べないようにしてください。

市販野菜の取り扱いのコツ

市販されている野菜を調理する場合は、サルモネラ属菌やO157のような腸管出血性大腸菌がつくことがあるので、特にサラダなどの生食をする場合や、浅漬けなどの調理をする場合も、しっかりとそれらを洗い流す必要があります。また、事前に自宅で下ごしらえしたものも、クーラーボックスなどで十分に温度管理をするようにして、早めに食べ切るようにしましょう。

キャンプ場で調理をする場合は、こまめに調理器具を洗浄するのが難しいこともあり、生食用の野菜に、加熱前の肉や魚を掴んだ器具が触れてしまうことも考えられます。どちらかは事前に下ごしらえし、調理器具が互いに触れてしまわない工夫をするのも大事ですね。

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調理前後の手洗いと調理器具の消毒はマスト

調理前後の念入りな手洗いは必ず行いましょう。手のひらはもちろん、手の甲や指の間、手首まで、しっかりとせっけんなどで洗い流してください。

また、調理器具は菌やウイルスが付着するので、都度洗ったり、熱湯などで殺菌しましょう。また、肉・魚・野菜で調理器具を分けたり、あるいは食材を自宅で下ごしらえして、キャンプ場ではお皿に盛りつけるだけ、あるいは火にかけるだけという状態にするのも食中毒を予防するのに有効でしょう。ただし、クーラーボックス内で正しく保存するなど、温度・衛生管理はしっかりと行ってくださいね。

高温多湿の夏は食中毒が起きやすい季節です。もちろん、夏以外も食中毒を起こす原因があり油断はできません。

食中毒を起こさないように細心の注意を払いながら、キャンプを楽しんでくださいね!

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