作ってみたいなと思っても、なかなか手を出せない料理の一つに「乞食鶏(こじきどり)」というものすごいネーミングの料理がありました。
なぜ、二の足を踏んでいたかというと
- 丸鶏を用意する
- 蓮の葉でくるんだ後、泥で包む
- 泥の塊ごと火で焼き上げる
という謎工程!
泥ってどうやって調達するの?家で作るとなると泥をオーブンに入れて焼く?
さすがに無理だな~という想いとともに、記憶を封印していたのですが……
先日、横浜中華街を散策していると蓮の葉を発見。乞食鶏はさすがにやらないけど、中華ちまきをでも作るかと蓮の葉を買ってきました。
すると、後日タイミングよく会社の同僚からキャンプのお誘いが、しかも直火OKのキャンプ場!
いろいろと条件がそろってしまったので、いよいよ覚悟を決めて乞食鶏に挑戦することに。
(しかし、この後、さまざまな困難が…)
※乞食鶏のレシピは記事の最後に掲載しています。
未知の調理法。乞食鶏
乞食鶏は中国の料理。中国語で乞食は叫化となるので、乞食鶏は叫化雞(ジアオホワジー)になります。乞食という名がよい印象でないことから、香港では富貴鶏(フゥグワイガイ)とも呼ばれることもあるそう。
一説には、乞食が盗んで手に入れたニワトリを食べようとしたところ、鍋が無いため泥を塗って焚き火で焼いたことが始まりとされる料理です。
レシピを調べてみると、泥の代わりに小麦粉を水で練った生地を使うことや、泥でくるんだ鶏をオーブンで焼くこともあるようなのですが。やはり、ここは乞食鶏の起源に想いをはせて、泥でくるんで焚き火で焼くのがロマンじゃないですか。
でも、インターネットで調べた限りだとそんなことしてる人いないんですよね。もしかしたら、中国にはいるのかもしれないけど、日本では見つからない。
ということで、とりあえず700gの丸鶏2羽と陶芸用の粘土を4kg買い(重い!)、鶏の中に詰める具材を仕込んで、キャンプ当日をむかえます。
ちなみに、粘土は「美濃粘土 テラコッタ(はにわ粘土)」を買いました。
キャンプ当日、調理開始
キャンプ地は、奥多摩の氷川キャンプ場。綺麗な清流のほとりで過ごせる自然豊かなキャンプ場です。
こちらは、テントを立てた目の前の景色。水は澄み、渓谷の岸壁が絶景でした。
事前に調べたオーブンやバーベキューグリルを使ったレシピでは、調理時間は1kgの丸鶏でおおよそ3時間。今回は鶏が700gと小さく、直火で焼くので最低2時間くらいは必要なはず。
今回は子どももいるので、夜ご飯が遅くならないよう昼過ぎから準備を開始します。
まずは、鶏肉に甘辛醤油味の具材を詰め、事前に水につけて柔らかくした蓮の葉1枚。オーブンペーパー2枚で鶏を包みます。
オーブンペーパーで包むのは、土の香りを鶏につけない効果があるそう。
さらに、2枚の蓮の葉で包みます。
これは、火のあたりを弱くする効果があるのかな?
タコ糸が無かったので、細長く切ったさらし(染めていない手ぬぐい)で縛ります。
ぺたぺた、ぐいぐい……
粘土が全然足りない!
丸鶏は全長20cmくらいで小さいものを用意したのですが、蓮の葉とオーブンペーパーで膨らんでしまい、全体を包み込むのに3kgほど必要でした。
2匹を包める量が無かったので、1匹はダッチオーブンで焼くことにします。
ここからは子供にも手伝ってもらって、飾り付け。丸鶏を包んだニワトリの完成~!
原始的で素朴な表情がいいですね。
予め火をおこしたかまどの中に投入、焼き始めます。
「ちゃんと焼けるか不安!」という周りからの声に、自分もだんだん不安に……
炭になった薪をニワトリにのせて、上からも加熱します。
火にかけて1時間、首がポッキリ折れてしまったニワトリ。
焼きあがった乞食鶏を開けてみる
火にかけて1時間30分。このころには首も尻尾もなくなり、ニワトリはただの岩に……。
全体に大きな割れ目が入り、露出した蓮の葉が焦げているのが見えています。
予定では最低2時間を予定していましたが、中の丸鶏が黒焦げになってしまうのでここで終了。耐火グローブを使って取り出しました。
ちゃんと火が通っているのか…?
予定では焼きあがった粘土を叩き割る予定だったのですが、かまどから取り出すだけで自壊。アツアツの塊から蓮の葉をはがしていきます。
しかし、大きな葉っぱで包まれる肉って、子どものころテレビでみて憧れましたよね。僕はもう大人ですが、いまだにドキドキします。
そして、憧れの存在が今ここに。
オーブンペーパーをはがすと、中は蒸らされているからか蓮の葉のいい香り!
ドキドキ……
できあがり!!!
しかし、包丁で肉を切ってみると、厚みのあるモモの部分に少し赤い血がにじんでいました……
まだできあがっていなかったので、蓮の葉で包みなおし、フタをしたフライパンで蒸し焼きして完成となりました。
※なお、焼けた粘土は土に還らないため、拾い集めて持ち帰りました。
乞食鶏の味は?
気になる味は、鶏肉は(フライパンで)よく蒸されて、蓮の葉の香りが漂います。
中の詰め物は、豚バラ、筍、シイタケ、ウズラの卵、春雨などを、オイスターソース、醤油、砂糖で甘辛く味付けしたもの。春雨が食材の味を吸ってこれだけでご飯が進みます。
いつもは食が細いという子供たちも、勢いよく食べてくれました。
本当は焚き火の状態で完全に火を通したかったものの、前例の見つけられない中での挑戦としては、まずまずではないですかね?
今回やってみた結果をふまえて、次に挑戦するときには
- 途中で粘土が割れて中身が露出しないよう、丸鶏700gに対して粘土4kgに増やす
- それでも割れたらホイルで補修する
- ニワトリの顔やしっぽの飾りつけはしない
- 火に入れて1時間くらいで、一度上下を返す
- 2時間30分くらい加熱する
といった工夫をしてみようと思います。
なお、始めからダッチオーブンで焼いた方はしっかりと火が通り、焚き火で作ったものと変わらず美味しかったのですが、次回作る場合にも粘土で作ると思います。
なぜなら楽しいから。
それでは最後に、新たなる挑戦者のためにレシピをおいておきますね。
続きはこちら⇒【作るのが楽しくて、味は美味しい一石二鳥「乞食鶏レシピ」】