過熱していたキャンプブームも落ち着き、ウルトラライトキャンプやソロキャンプなどの様々なキャンプスタイルが多くのキャンパーさんに定着してきましたね。
先日、キャンプ業界とは無関係の会食の場で、20代の女性が「秋になったら徒歩移動でのソロキャンプにチャレンジしてみたい」と話すのを目の当たりにし、ソロキャンプという言葉が浸透していることを実感しました。
そんなソロキャンプ、ULキャンプに相性が良いアイテムとしてぜひ知ってほしいのが「DDタープ」です。
情報感度の高い方々なら、すでに知っている、あるいは一度は使ってみたいキャンプギアのひとつではないでしょうか?
DDタープとは?
「DD hammock(ディーディー ハンモック)」からリリースされているDDタープは、タープの中央と四辺に複数のループが取り付けられており、それを活用して様々な形に張ることができる優れもの。
“タープ”と名前が付いていますが、テントのように張ることができるので、荷物を減らしたいソロキャンプには特におすすめです。
DDタープは、3m×3m、4m×4m の大きさの他に、長方形だったり生地に使われている素材の違いなど、様々な製品がリリースされています。
筆者は、ULソロキャンプに最適な、「DD Tarp 3×3」という3m 四方のベーシックなモデルを愛用しています。
今回は、DDタープの張り方を図解で紹介し、実際にタープ泊をして感じたことを紹介していきますね。
DDタープでタープ泊ってどうやるの?
DDタープは、折紙のような要領でテント代わりに張ることが可能です。張り方のパターンも複数あるので、現地の状況や天候に合わせて、工夫する楽しさがあります。
自然の中で居住空間を作る楽しさは、子供の頃に秘密基地を作ったことのある方なら共感してもらえるのではないでしょうか。
タープ泊に適したDDタープの張り方はいくつかありますが、雨や風を凌げるだけでなく、プライバシーも守れる“フルクローズ”できる張り方に絞って、二つのパターンを紹介します。
人気!DDタープの張り方「ビークフライ」
DDタープ泊でオーソドックスな張り方が、「ビークフライ」ではないでしょうか。
ビークフライのメリット、デメリット
設営が簡単でありながら、入り口をオープンにすればテントの前室のようなスペースを作ることができ、閉めれば周囲の目線を遮るフルクローズにもできます。
地面までDDタープがカバーできるので、多少の雨であれば室内への浸水リスクも少ないでしょう。
ただし、弱点もあります。
高さを必要とする張り方なので強風に弱いのと、床面積が少なくなり狭くなってしまいます。
ビークフライの設営で必要なもの
- タープ長辺の半分の長さのポール1本
- ペグ6本
- ガイロープ3本
- カラビナ1個
- オープンで使うサブポール1本
筆者は3m四方のDDタープを使っているので、今回は150cmのポールを使います。
DDタープにはペグが付属していますが、筆者から見るとやや簡易的で力不足に感じます。
テントの形状に張る際は、ペグには“引っ張り力”がかかるので、強度があって長めのペグをおすすめします。
ちなみにペグを打つ際には、地面に対して垂直に打つと、タープを引っ張った時にペグから外れやすくなってしまいます。
ペグに力のかかる方向(引っ張られる方向)に対して、45度傾けて打つのが、DDタープを綺麗に張るコツです。
では、実際にDDタープを張っていきましょう。
【図解】ビークフライの張り方手順
DDタープには、中央に3つ、四辺に16のループが設置されています。
全てのループに番号を記入した図1を作成したので、これを使って説明していきます。
①ビークフライ張り方 図1−1
まず、真ん中の3つのループA、B、Cが取付けられている面を下向きにして、DDタープを地面に広げます。
この際、風で飛ばされないよう、四隅をペグで仮留めなどしておくと良いでしょう。
②ビークフライ張り方 図1−2
図1−1の9、13、15のループをペグダウンします。この3点でできる三角形が、床面になります。
③ビークフライ張り方 図1−3
そして150cmのポールの先端にガイロープをかけておき、3のループにかけて、13の位置にポールを立てます。
5と13を結んだ対角線上にペグを打ち、ガイロープをかけてポールが立つように張ります。
④ビークフライ張り方 図1−4
1と5のループを13のペグに引っ掛けます。この状態で、テントのような形状ができたと思います。
タープの張りが弛んでいる場合は、15と9のペグの位置を調整して、ピシッと張れる場所を見つけましょう。
⑤ビークフライ張り方 仕上げ
Bのループにガイロープをつけ、横方向にペグを打って外側に引っ張ることで、弛みが無くなり、室内も広く使えます。
2と4のループをカラビナで止めると、入口を塞いだフルクローズができます。
オープンにすると前室としても使える
フルクローズから、13のペグにかかっていた5のループを外し、サブポールの先に掛けてガイロープで張ると、前室のように使えます。
開口部もしっかりあり高さも十分ですね。
この張り方は筆者の一番のお気に入りなので、今日もこれで一泊します。
カッコいい!DDタープの張り方「ステルス張り」
DDタープ泊の張り方の中で、設営方法は難しいですが、多くの愛好者から「カッコイイ」と言われている張り方です。
ステルス張りのメリット、デメリット
メリットはビークフライの弱点である風にも強く、床面積も広く取れることです。余裕をもって過ごせます。
一方で床面はカバーされないので、シートが必要だったり、室内高が低いこと。さらに入口を閉めても若干下の方が開いてしまう点が弱点です。
開口部が狭く熱がこもりやすいので、冬場におすすめの張り方です。
ステルス張りに必要なもの
- 120〜125cmのメインポール1本
- ポールエンドボール(なければ手袋やタオル等で)
- ペグ8本
- ガイロープ4本
- カラビナ2個
- 室内を広くするならサブポール70cm位低いもの1本
- 床面がないので、必要ならシート
メインポールは、タープの大きさに合わせて選びます。
3m 四方のタープなら120cm 前後、4m 四方なら150cm 程度のポールが良いでしょう。
ポールの長さを調節できるものもあるのですが、そちらは後に述べます。
また、この張り方ではメインポールの先端でタープの内側を押し上げる為、ポールの先端でタープ生地を痛めないように工夫する必要があります。
手袋やタオルなどで、ポール先端を保護する事もできますが、ポールエンドポールを準備するもの良いでしょう。
筆者の場合、100円ショップで売っている孫の手に付いているゴム製のゴルフボールを取り外して使っています。
では、ステルス張りの張り方の手順を説明していきます。
【図解】ステルス張りの張り方手順
ビークフライ同様、ループに番号を記入した図で説明していきます。
①ステルス張り 張り方 図2−1
まず、画像の中央にあるA、B、C 3つのループが上面になるようにDDタープを広げます。
図2-1のようにループ2、4、6、10、12、16の6カ所をペグダウンします。
②ステルス張り 張り方 図2−2
ループ10、12のペグから、それぞれループを外し(ペグは打ったまま)そのペグにそれぞれ10のペグに9のループを、12のペグに13のループを掛けます。
③ステルス張り 張り方 図2−3
Pの位置にポールを下から建て、Cのループ位置を内側から押して広げます。
この際、ポール先端が幕にダメージを与えないよう、「ポールエンドボール」を付けておくことをオススメします。
④ステルス張り 張り方 図2−4
11のループにガイロープを取り付け、11の延長線上にペグを打ちガイロープで引っ張って固定。
そうすると、三角のテントらしい形になると思います。
⑤ステルス張り 張り方 図2−5
入口になる10、12のループにそれぞれガイロープを取り付け、10は6のペグへ、12は16のペグへ取り付け。それぞれ自在金具で引っ張ります。
すると、兜のような入口が成形できると思います。
⑥ステルス張り 張り方 図2−6
仕上げに4と6、2と16を結んだ辺を、それぞれ内側に折り込みます。
⑦ステルス張り 張り方 図2−7
Aのループにガイロープを取り付け、Dの位置にペグダウンをして後方に引っ張ることで、室内を少し広く使えます。
このガイロープの間に低めのポールを建て、Aを少し上方に引っ張ることで、更に室内の背面の高さが上がり、荷物が結露で濡れるのを防げます。
ちなみに今回は、低いポールを持参しなかったので、不恰好ですがポールを1継ぎ分外して、写真のように設営しています。
クローズで使う
続いてステルス張りをクローズさせていきます。
入口の10、12のループからのガイロープを、それぞれ6、16のペグから外します。
そして10、12のループをメインポールの外側でカラビナで止めるとクローズの形状ができます。
筆者は大きめのカラビナを使いましたが、小さなカラビナでは届かない場合もあるので、その際はカラビナを2つ繋ぐなどの工夫も必要です。
今回使った3m四方のDDタープでは、幕に余裕がない為、入口の下の方まで閉めることはできませんでした。
DDタープに最適なポールとは?
通常のタープのように、日除、雨避けを目的とした張り方であれば、ある程度の長さのポールを用意しておけば良いでしょう。
しかしDDタープをテント形状に張ろうとすると、その張り方に合った長さのポールが必要になります。
この記事では2種類の張り方をご紹介しましたが、実際には何種類もの張り方があります。
その様々な張り方に合わせて、何本もの長さのポールを準備するのは大変ですよね。
そこで筆者がおすすめするのが、伸縮式のポールです。
3〜4本に分解できるポールは、その継ぎ手でしか長さを調整できません。
また今回の説明で使っているポールのように、ポール内部にゴムが通っていて継ぎ手を外して使うことのできないタイプもあります。(そもそもタープのポールではないので当然ですが……)
伸縮式のポールであれば、微妙な長さ調整が可能なので、DDタープとの相性は抜群です。
伸縮式のポール選びの注意点
固定方法に注意
伸縮式のポールは、継ぎ手式のポールに比べて重さに弱く、伸縮の固定方法に注意が必要です。
殆どの伸縮式ポールは、物干し竿のように伸ばして金具を締めて固定するのですが、たまにポール自体を回して固定するものがあります。
些細な違いに思えますが、実際にタープを張って使うと大きな違いが出てしまうので注意が必要です。
ポール自体を回して固定するタイプですと、タープの重みがかかったり風や雨の力がかかった時、ポール本体が回ってしまいやすく徐々に緩んで縮んでしまう可能性があります。
風や雨の力でタープのポールが縮むと、タープやガイロープが緩み一気に崩壊することにもなりますので注意しましょう。
金具を回すタイプでも、緩む可能性があるので、設営後も適度に確認することをおすすめします。
収納の長さに注意
タープのメインポールとして使うには、ソロキャンでも最大に伸ばした長さは200cmくらいは欲しいですね。
しかし伸縮式のポールでこの長さの物を探すと、最短長(収納長)が80cm位のものが殆どだと思います。
ソロキャンでULキャンプの場合、可能であれば50cm以内に収めたいのですが、なかなかありません。
重さにも注意
伸縮式のポールは、継ぎ手式のものに比べて、構造上重くなります。
ポール上段になる程ポール径が細くなるので、強度を得るために材料が重くなりやすいことと、固定金具の数が多くなる為でしょう。
少しでも荷物を軽くしたいULキャンプでは、気になるところです。
内部に水分が入り固着しやすい
伸縮式は継ぎ手式と違って、分解できません。
中に雨などの水分が入った時、サビや水垢で動きが悪くなる場合もあります。そのまま保管しておくと、使う際に固着して使えないなんて事態も。
下部の石突を外せて、中に溜まった水分を抜けるタイプありますので、伸縮式ポールを選ぶ時の参考にしてください。
おすすめの伸縮式ポール
上記のように、伸縮式ポールはタープポールとしてはネガティブな部分が多いのが正直な所です。
しかし、DDタープとの相性は良さそうだし、使ってみたいのが本音です。
DDタープの販売元であるDD HAMMOCKSのWEBショップに、最適なポールがありました。この辺りはさすが本家ですね。
カーボン製で軽量、長さが43cmから160cmと若干短いように感じますが、DDタープで使うには良いでしょう。
筆者は既にカーボン製の伸縮式ポールを持っているので、こちらの製品は手にしていませんが、ユーザーの声は良好です。
ただし、カーボンは電気を通しやすい為、雷の時には使用を控えるなどの注意が必要です。
筆者はAmazonで見つけたカーボン製の伸縮ポールを以前から愛用しています。長さは伸縮時が58cmで170cmまで伸びます。
若干、収納時にも長さがありますが、上記の注意点は概ねクリアしているので、気に入っています。
これから揃えるのであれば、本家で揃えるのもいいと思いますよ。
続きはこちら⇒【実際にDDタープ泊をしてみた!結局使いやすいと感じた張り方は?】