椅子はキャンプのくつろぎを大きく左右する大事な存在。浅草橋のこだわりキャンプ用品店キャンプオンパレードの水山裕文さんに、選び方のポイントを聞きました。
1.キャンプの椅子は自然の素材で
私たちのように都会で生活する者にとって、日常を離れ、自然を楽しむのがキャンプの醍醐味。「そこで使う道具も、自然の素材や手作りにこだわりたい」と水山さんは言います。
「椅子ならば、アルミやパイプではなく、ウッドの椅子。ウッドの素材にもいくつかありますが、選べるなら、一番シックなウォールナット(クルミの木材)など、渋いのではないでしょうか」(水山さん)
座面や背もたれには、ファブリック(布)や革が張ってありますが、そこも肌触りなどの好みだと水山さん。
2.座面35cmを目安に椅子の高さを判断
キャンプの椅子を選ぶときに、基準になるのが座面の高さです。昨今、ロースタイルのキャンプが流行しているように、低い椅子はリラックスできます。反面、低すぎると立ち座りがしにくいので、動きの多いキャンプには不向き。
水山さんの目安は座面の高さ35cm。立ち座りを重視するなら35cm以上の高さ、焚き火のそばでリラックスしたいなら35cm以下の高さの椅子を選びます。
3.深めの角度はくつろぎ重視、フラットなら機動性重視
もうひとつ、チェックしておきたいのが座面の角度です。例えば、大人気のカーミットチェアは、座面の高さが約30cmで、さらに深く座れるよう角度が付いています。お尻に比べて膝の位置が上がり、背もたれにどっぷり寄りかかるスタイル。焚き火の前などに座ったら、もう動く気力がなくなってしまいます(笑)。
ローチェアの中でも、座面に角度がついている椅子は、特にくつろぎ重視のつくりだと言えるでしょう。
4.食事は高いチェアで食べたほうがおいしい
「テーブルで食事をするなら、ディレクターズチェアのような 座面が高い椅子を選びます」と水山さん。水山さんは、イタリア料理店のオーナーでもあるだけに、食へのこだわりも生半可ではありません。
テーブルの高さにもよりますが、やはり座面の高さは35cm以上が目安。テーブルにお皿を置いて、アウトドア料理をじっくり味わうなら、こんな椅子がおすすめです。
Ocho Camp(オーチョキャンプ)のTAPETE CHAIR(タペテチェア)4万6440円。高さはおよそ40cmで座面はフラットです。
5.湖畔でくつろぐならカーミットチェア
写真は水山さんお気に入りの駒出池キャンプ場。こんな風に静かな水面の前でじっと座るなら、座面30cmのカーミットチェアは最高のアイテムです。夜の焚き火も、やはりくつろげるローチェアのほうが、心と身体を解放できるでしょう。
水山さんのインスタグラムより
6.荷物を減らすならいいとこ取りチェアを探す
では、おいしいキャンプ料理を味わいつくし、とことん湖畔でくつろぎたいならどうするか? 椅子をひとり2脚持って使い分けある手もありますが、スペースやお金の問題があります。そこで、水山さんは、2種類をいいとこどりする椅子を設計し、職人に依頼して商品化しました。
座面の高さ約35cm、やや背もたれが低く傾いています。座面の角度は推定7度。カーミットチェアほどではありませんが、どさっと背もたれに身をゆだねる感覚があります。かと思えば、座面はさほど低くないので、立ち座りも格段にしやすいのです(カーミットチェアと比べて)。また、背中を起こすのが特段苦しくもなく、テーブルでの食事も問題なさそうです。
水山さん入魂の「ウォールナットFDチェア」(2万7000円)は、浅草橋のキャンプオンパレードさんで購入できます。
7.寝床までたどり着けない超ローチェア
いいとこ取りとは反対に、さらにシチュエーション別に椅子を掘り下げていくなら、ひとつの選択肢になるのが超ロースタイルのチェア。水山さんのお気に入り&おすすめがM.D.Camp Factoryの「SL-Chair」(6万4800円)。
地面すれすれの高さで、さらに座面の角度がついています。「焚き火のための椅子」「寝落ち必至」「寝袋までたどり着けない」と、水山さんがあらゆる言葉でリラックスを表現するのもうなずけます。
8.重さ、大きさを覚悟してリクライニング
汎用性が高いのは、角度を変えられるリクライニングチェア。当然、ディレクターズチェア、カーミットチェアと同じ座り心地ではありませんが、気分により好きなスタイルで使えるのがメリットです。
デメリットは重くてかさばること。扱いづらさは飲み込んで、リッチな気分に浸るのも一興です。