アウトドアブームの昨今、中でも「グランピング」が注目度を上げています。「グランピング=ゴージャスなキャンプ」などと説明されますが、最近では異業種の参入も相次ぎ、「もはやキャンプとは別モノなんじゃないか?」というほどの超絶進化を見せています。とらえどころのない「グランピング」ブームの全貌を知るため、2016年8月時点での最新事情を調べてみました。
1.2015年に専門メディア「GLAMP」が創刊
2015年9月に、講談社からグランピング専門雑誌「GLAMP」が創刊されました(不定期刊行なので正確に言うとムック)。表紙には「by HotDog」と有名ファッション誌の名前が。講談社と株式会社 Glamp(淡路島のグランピング施設が母体らしい)による共同制作のようです。
思えば、このあたりから今のグランピングブームが予見されていたのかもしれません。
なお、GLAMPはWeb版も公開されています。
2.グランピング施設といえば有名なのは星野リゾート
そのGLAMP創刊号で特集されているのが、「星のや富士」です。日本初の「グランピングリゾート」とのことですが、グランピング専用に施設やサービスが設計されています。
冷暖房が整った客室に、野山の自然とアクティビティを知り尽くした「グランピングマスター」、「ワイルドライフ好きのシェフ」(
星のや富士Webサイトより)の料理などがそろいます。
1泊2食付きで5万7430円~と、お値段のほうもラグジュアリー!
3.星のやだけじゃない! 続々オープンするグランピング施設
2015年秋の星のや富士以降、2016年夏までの間に、各地でグランピング施設がオープンしています。
伊勢志摩エバーグレイズ
2016年7月9日に新しくオープンした、レイクビューのグランピングサイトは、他の宿泊者が入れないプライベートな空間。「アウトドアリビング」と名付けられたテラスのようなスペースから、直接カヌーに乗り込んで水上散歩を楽しめます。ディナーは、ビーフや海鮮付きの豪華アメリカンBBQ! 1泊2食付き1人1万6150円~。
伊勢志摩エバーグレイズ HP
WILD BEACH
2016年7月1日オープン。グランピングをテーマにした複合施設です。敷地内に設置されたグランピングテントに宿泊、ルーフトップのバーベキュースペースや国内最大級の焚き火そふぁ手ぶらでグランピングを満喫できます。観覧車も同時オープンしました。1泊食事なし1組(4人まで)1万5000円~。
WILD BEACH HP
4.レジャー産業以外からの参入&コラボ組もスゴい
グランピングブームに乗っかって、なのか、他業種からの参入も相次いでいます。ビジネス視点で見ると、グランピングは大きな資源になり得るのですね。
LIXIL&小山薫堂&隈研吾の豪華競演「メム アース ホテル」
北海道帯広の建築技術研究施設「メムメドウズ」内で、8月6日にオープンします。公益財団法人LIXIL住生活財団が、放送作家の小山薫堂氏が社長を務めるオレンジ・アンド・パートナーズらと組んでつくったグランピング施設です。新国立競技場を設計した隈研吾氏監修の7つの建物が、飲食施設などに利用されます。10月でいったんクローズしますが、日経新聞によれば来年4月から継続営業の見込みです。
出資も多数!? 農業法人が運営する「ザ・ファーム・キャンプ」
2016年8月1日にグランピング施設「ザ・ファーム・キャンプ」が開業。常設のグランピングテントは、セミダブルベッド×2にウッドのテラス付きという豪華な仕様。東洋経済オンラインの「日本最強農家の『グランピング』がスゴすぎる」という記事が話題になりました。運営している和郷園は農業組合法人。バーベキューやレストラン、収穫体験などで和郷園の野菜に触れてもらうことで、ファンを増やそうという戦略だそう。これをきっかけに、旅行社や農水系ファンドが、ザ・ファームへの出資を始めたとか。
レイバンがつくった「クラブラウンドベース(CLUBROUND BASE)」
高級リゾート地の神奈川県葉山で、サングラスメーカーのレイバンがグランピングに参入。「CLUBROUND」(クラブラウンド)”の発売を記念し、プライべートな邸宅「THE HOUSE on the beach」とのコラボレーションで誕生しました。目の前の海でSUP(スタンド・アップ・パドル)やカヤック、クルージングなどのアクティビティも。8月31日までの期間限定です。
レイバンはツイッターキャンペーンでクラブラウンドベースへの宿泊をプレゼントしています。こういう使い方もあり得ますね。
5.百貨店もグランピングに興味津々
2016年夏商戦に向けて、グランピングに力を入れた百貨店が、ルミネと伊勢丹です。
Glamp Fair 2016@伊勢丹新宿店
上記でご紹介したGlampと伊勢丹がコラボし、2016年5月9日~24日に開催されました。屋上にグランピング施設を再現し、グランピングアイテムの販売、リビングスペースでアウトドア家具の展示なども。
LUMINE GLAMPING THE CIRCUS 2016 CAMPAIGN
6.サーカスアウトドアってどんな人たち?
ルミネのグランピングイベントにコラボしたのが「Circus Outdoor(サーカスアウトドア)」というミステリアスな集団。「東京にある秘密の森に、世界一美しいアウトドアフィールドを作る」ことを目的としたプロジェクトです。
もう少し詳しく知りたいと、サーカスアウトドアに直接聞くと、こんなコメントをいただきました。
弊社は東京にあり、秘密の森に世界一美しいアウトドアフィールドをつくるため、日々研究をしている組織です。
グランピングは、その研究のごく一部で、『普段アウトドアに興味が無い人』がどのような仕掛けで興味を示すのかを研究しています。どのような色と世界観で、どの年齢層に、どれくらいの金額設定なら興味を持っていただけるのか? グランピングのワードのみが一人歩きし、乱用されている現在の日本で、本物のグランピングをどう表現していくべきかも研究対象です。
現在、フィールドの用地確保やコンテンツ開発などを行いつつ、研究して4種類のイベントを不定期で開催しています。
グランピングイベント『Generalprobe(ゲネラルブローブ)』
https://hyakkei.me/articles-039
https://hyakkei.me/articles-155
考える子どものテント『Wonder Garden(ワンダーガーデン)』
アウトドアラウンジ『Nutty Camel(ナッティーティーキャメル)』
https://hyakkei.me/articles-071
アウトドアアクティビティ『Breathing(ブリージング)』
https://hyakkei.me/articles-066
次回はGeneralprobe chapter 3 を10月に企画しているそうです。
7.ちなみにギャルもグランピングは好きらしい
こちらはオリジナルではなく、日刊SPA!のネタです。2016年のギャル文化予測を「grp by CROOZ」編集長・安部舞紗さんが答える中で、
「感度の高い人たちは、オシャレでゴージャスなキャンプを楽しむ『グランピング』に移行する動きが加速しそう」
と紹介されています。
8.もう何が何だかわからない「ベランダグランピング」
写真はイメージ(提供:PIXTA)
日経トレンディの「2016年ヒット予測ベスト30」の8位に、「ベランダ・グランピング」が挙げられました。ベランダでグランピングする・・・・・・要するに、リッチなアウトドアの遊びをベランダでやってしまおうというわけです。
記事によれば、「ベランダごはん」のキーワードがインスタグラム上で目立つこと、アウトドア料理に対応する家電が増えていること、などが背景に挙げられています。
9.ここまでくればキャンプ用品メーカーも黙っていない
キャンプ用品メーカー大手のロゴス(LOGOS)は、グランピング向けの製品開発に着手しています。その名も「ロゴス グラマラス(LOGOS GLAMORUS)」シリーズ。2016年秋のデビューと、公式サイトでは告知されています。リゾート施設やキャンプ場へ、レンタルする構想があり、そうなればますますグランピングが一般的になりそうです。
10.こんなところでもグランピング!?
まだまだあります! 巷のグランピング。一挙ご紹介しましょう
自宅の屋上でグランピング
大阪市のイノベーションが、木造住宅専用の屋上リビング「プラスワンリビング」を開発。都市緑化の分野で実績がある親会社の経験を生かし、自宅でいつでもグランピングが楽しめる環境を実現しています。
イノベーション プラスワンリビング
お風呂でグランピング!?
2016年9月、埼玉県熊谷市にオープン予定の「おふろcafé bivouac(ビバーク)」。なんと、グランピングをテーマにした温浴施設だそうです。ボルダリングウォールや人工芝が、日帰り温泉施設に現れるのだとか・・・・・・。恐るべし、グランピングブーム!!
グラマラスな海の家・・・
テレビ東京のワールドビジネスサテライト(WBS)では、グランピングをテーマにした特集の中で、
贅沢なアウトドアニーズが高まる中、今年注目なのが、グラマラス=魅惑的な「海の家」。従来の「海の家」のイメージとは異なる豪華でおしゃれな海の家です。
[予測]ユーキャン新語・流行語大賞に「グランピング」がトップ10入り!
大いに盛り上がっているグランピングブームですが、この夏から本格稼働する施設が多数。さらにブームが燃え上がるのはこれからです。
そうなれば、年末の流行語大賞の有力候補になる! というのがランタン編集部の読み。年間大賞は「ポケモンGO」、リオ五輪で生まれるであろう名言など強敵に譲り、トップ10には入るのではないかと、勝手に予測しています。