危ない行動 火器使用編
テントも設営して一段落したらいよいよ待ちに待った野外料理です。選りすぐりのキャンプ道具を使ってみんなでわいわい行なう調理は掛け値なしに楽しいもの。
しかしここで注意したいのが、ガスコンロなどの便利な火器の使い方。使い方を間違えると大事故につながる道具のひとつです。便利だからといって危険な使い方をしていないかチェックしましょう。
1.テントや室内でガスコンロを使用する
ガスコンロやランタンなど、ガス器具を使用する際に、何よりも気をつけなくてはならないこと、それはテントなどの換気の悪い室内で起こる一酸化炭素中毒。アウトドアに限らず、毎年日本中で事故が起こっています。ガス器具を使用するすべての人は、何はともあれこの一酸化炭素中毒の危険性を知っておく必要があります。
一酸化炭素は「無味無臭」であり、一酸化炭素中毒の自覚症状は初期の場合で「頭痛、吐き気、めまい、集中力の低下、嘔吐、眠気」など、一般に風邪(インフルエンザ)の症状によく似ているため気づきにくいのが非常に厄介であるといわれています。濃度にもよりますが、数分から数十分で中等度または重度にまで進行し、手足のしびれや意識障害によってそこからは自力で動くことができなくなり、手遅れとなってしまいます。
【対処法】
一酸化炭素中毒にかからないようにするためには「一酸化炭素が発生するような状況をつくらない」ことに尽きます。外が寒いからといってテントやクルマ、その他密閉された屋内ではガス器具を使っては絶対にいけません。
2.劣化したOリングのまま使用する
ガスカートリッジとバーナーの接続部分にはガス漏れを防ぐため「Oリング」と呼ばれるゴム製の環状パッキンがついています。ゴム製のため損傷することもあれば、使っていなくても年月とともに劣化する部品です。
【対処法】
シーズン初めなどは特にですが、点火する前にはこのOリングがささくれていたり、切れていたり、縮んでいたり、ひび割れたりしていないか確認しましょう。そのうえで、ストーブとガスカートリッジを接続してみて、接続部分に漏れや損傷、ごみや砂などが付着してないかチェックしましょう。
Oリングは5~7年程度での交換が推奨されています。劣化するとゴムに切れ目・ささくれ・ひび割れなどのキズが見られるだけでなく、ゴム自体が全体的に硬化したり縮んだりします。Oリングの交換は決して自己流で作業せず、各メーカーや販売店の指示された方法で交換するようにしましょう。
3.不安定な場所に置く
ガスコンロを傾斜のある場所や、石・砂利の上などの不安定な地面の上で使用すると、ガス器具が横転して突然大きな炎が燃え上がったり、上に乗せた鍋がこぼれて大やけどしたりと非常に危険です。
【対処法】
ガス器具を使用する際には平らで安定した場所を選びましょう。
4.ガスカートリッジを熱源の近くや高温になる場所に放置する
ガスカートリッジは異常に熱せられると、中の圧力が急激に上昇し破裂する危険があります。
【対処法】
調理中のガスコンロや焚き火の側、炎天下の砂浜・河原・舗装道路、直射日光の当たる車内など、高温になる可能性がある場所に放置しないように気をつけましょう。
5.2台以上のガスコンロを並べて使う
狭い場所で複数のガスコンロを並べて使ったり、1つの鍋を2台のガスコンロで加熱したりすると、互いのストーブから出る熱や鍋底からの輻射熱によってガスカートリッジが過熱され、破裂する危険があります。
【対処法】
1つの鍋は必ず1つのガスコンロで温め、ガスコンロを複数使う時は必ず距離をあけて使用しましょう。なおツーバーナータイプは、熱源や鍋とガスカートリッジ本体が安全に区分けされている構造のため安全に使用できます。
6.風防などでガスコンロの全面を囲う
風が強いときには風防を使うなどして風よけをします。そのこと自体は問題ありませんが、全体を囲みすぎると風防内に熱が滞留し、その結果ガスカートリッジが過熱されて破裂する恐れがあります。
【対処法】
風防の使用方法は各メーカーによって異なるので、風防を使用する際には各メーカーの注意事項を確認しましょう。
7.ガスコンロで炭火を起こす
炭火を早く起こしたいからといって、ガスコンロで炭火起こしするのはNG。炭火は輻射熱が大きいため、ガスカートリッジが過熱され、破裂の危険があります。
【対処法】
炭火を起こすなら着火剤やガストーチなど、別の方法で行うようにしましょう。
8.焼き網や鉄板などの輻射熱の大きな調理器具を使う
鉄板・焼き網・セラミック付き製品といった輻射熱の大きい調理器具をガスコンロの上で熱し続けるとガスカートリッジが過熱され、破裂の恐れがあります。
【対処法】
ガスコンロの上に底面が広いものをのせて使用するのはやめましょう。
まとめ
自然のなかで遊ぶキャンプは楽しい半面、気をつけなければならないこともたくさんあります。十分な知識と心構えのないまま行動すると、時として思わぬしっぺ返しを受ける危険があることも事実です。
自然のなかで行動する最低限の知識と備えを忘れずに、みんなで安全にキャンプを楽しみましょう。
監修 一般社団法人日本ガス石油機器工業会
http://www.jgka.or.jp/gasusekiyu_riyou/index.html