突然ですが、みなさんはキャンプ場の、ごくふつうのテントサイトに、立派なバーカウンターがある光景を想像できますか? 私たちは、考えもしていませんでした。
ランタン編集部のオコシが、COC全国ミーティングで見つけた極上ナイトスペースをリポートします。
お金? お店じゃないからいらないよ
こちらはhiro’s BARさん。キャンプ場に唐突にバーを発見したときの奇妙な感覚。「入ってよいものか?」「おもしろそう」・・・・・・葛藤の後におそるおそるパーティーシェードをくぐります。
「お店ですか?」と聞くと「違うよ」とひとこと。
「まあ、座ってくださいよ」と薦めてくれたのは、主の田中宏昌さん。
即座に「何飲みます?」と、お店のバーテンダーさんの雰囲気で聞かれます。恐縮しながら「ハイボールをお願いします」とオーダー(?)すると、おすすめのスコッチで一杯つくってくれました。
染みる・・・・・・。1日キャンプ場を歩き回った身体にほどよく冷えた一口。いきつけの居酒屋では飲めないピーティなスコッチの風味。なにより、田中さんの温かいおもてなしが、ぐっと心に染みまてきす。
取材だからと、ごちそうしてくれたわけではありません。店ではないので代金を払うシステムがありません。というより、受け取ってくれないのです。
hiro’s BARは誰でもウェルカム。とても渋い外見の田中さんですが、とても気さくで、話しやすい方です。
夜も更ければこんな状態。
聞けば、始めは仲間同士で喜んでもらうために、お酒を振る舞ったのがきっかけだそう。それが高じて、今の状態になったのだとか。
棚やカウンター、グラスや道具類、並んでいるお酒は、基本的に田中さんの自前。カウンターは自作です。
(写真提供:田中さん)
この情熱、あくなき執念に、ため息がこぼれます。設営も撤収も、ハンパな労力ではなさそうです。
もちろん、お金儲けしているわけではありません。しかし、田中さんの負担が重なると、このステキなスペースが続けられなくなってしまいます。
気持ちを込めた寄付は受け取ってくれます。
ちなみに、田中さん、外見から想像も付きませんでしたが、ゴリゴリのアイドルファンです。
ナイトパーティのライブでは、キレッキレのヲタ芸を披露してくださいました。
隣の「トーク処」も負けずに濃ゆいぞ!
hiro’s BARさんのお隣に設営されていたのが「中村亭」さん。
主は中村友昭さん(写真中央、ストライプのシャツを着た男性)。
中村亭さんは「トーク処」です。こちらも、やってきた人たちにお酒を出してくれます。キャンパーさん、またコールマンのスタッフさんたちが、夜中入れ替わり立ち替わりやってきては、中村さんたちと語り合います。
ランタン取材スタッフも、若手を交えお邪魔しました。
そして、中村さんが繰り出すダチョウ倶楽部さんの伝統ギャグに、一晩で20回ほど(ちょっと大げさ?)参加させていただきました。
怒って足をドンと踏むと、反動でまわりのみんながジャンプする、あれです。
そんなノリで、中村亭さんは深夜まで盛り上がるのです。
左側に立っているのが、ナイトパーティでライブ出演したアーティスト渡辺 “BUBU” 学さん、右奥が通称「ジェット」さん(右手前ストライプのシャツは中村さん)。
3時間後の未来、BUBUさんとジェットさんは泣きじゃくりながら、きつく抱き合うことになります。
中村亭さんにも、代金を支払うシステムはありません。ただ、立ち寄るキャンパーさんは、食べ物など気持ちの差し入れを持参していました。
ユーザーイベントでの気持ちの交換、私たちも勉強させていただきました。
スペシャリスト集団「C.S.C」に新たなキャンプの楽しみを学ぶ
中村さんと田中さんは、C.S.C(Colemancafe Solocamp Club)のメンバーです。ソロキャンパーが集い自分の得意なことを互いに提供し合う、というチームです。
下記は田中さんが提供してくれた写真。すべて、お店ではありません。キャンパーが自主的に、もちろん商売抜きに、みんなに振る舞っています。
熱々の焼きそばに、
本格派のラーメンに、
あぶらしたたる焼き鳥まで!
もはや、キャンプ飯ではありませんね(笑)。
けれど、みんなが得意料理をひとつ磨いて、キャンプ場に集まって、互いにシェアすれば、ハイクオリティな食事がそろうのです。
もちろん、持ち寄られるのは、食事だけではなくhiro’s BARさんのようなバーだったり、中村亭さんのようにとにかく楽しい空間だったりします。「焚き火の名人」(詳細は後日レポート)といった方も、C.S.Cのメンバーにはいらっしゃいます。
一組数人のグループで楽しむキャンプとは、まったく違った楽しみ方ができる仕組み。そして、よくよく考えると、こんなふうに大人が遊べる場所に、キャンプ場ほどよい場所はないんです! (家ではこんなに集まれないし、公園では無理だし、施設を借りると資金がかかる・・・・・・)
田中さんや中村さんの温かいおもてなしの根底には、こんなC.S.Cのカルチャーがあったのです。
そして、もうお一方、私たちを優しく見守ってくださったのが、C.S.C前会長の有村哲朗さん。
強烈な個性のキャンパーさんたちに、若いランタンスタッフも伸び伸びと取材できるよう、配慮してくださいました。
皆さん、ごちそうさまでした。そして、楽しい時間を本当にありがとうございました。