大型ダム建設や護岸工事が進んだ現在、国内河川ではなかなか出会えなくなったサクラマス。多くのキャンプ場抱く丹沢山から相模湾にそそぐ相模川で、フィールドを愛する有志たちによって、サクラマス復活プロジェクトが楽しく軽やかに、力強く始動。
サクラマスってどんな魚?どこにいるの?
まずはサクラマスについて、食卓どころか寿司屋でもそうはお目にかからない魚なのでご存知ない方もいるのでは。でも実はそこまで縁遠い存在ではありません。“ヤマメ”ならご存知ですよね?そうです、山の渓を泳ぐ美しきお姿のあのお方(魚)。サクラマスとは、ヤマメが自然本来の通りに成長した状態の呼称なのです。
それはヤマメが海に降りて大型化した姿
とはいえただ成長しただけではサクラマスとは言いません。ここが少々厄介なところ。現在ヤマメは山中の渓流にだけいる魚と思われがちですが、自然本来のサイクルでは、生存競争の末河川を追われたヤマメは川を下り海へ出ます。その海に降下した魚がサクラマス。
しかし現在、国内の多くのヤマメはさまざまな環境要因によって川を下ることなく淡水域で生涯を全うします。本来のサクラマスほど大きくなることはなく、サイズが大きくなっても陸封のままではやはりヤマメはヤマメ。
キャンプ天国丹沢山と相模湾を結ぶ川
多数の大型キャンプ場を有する神奈川県丹沢山。キャンパーのみなさんも愛着ある方が多いはず。丹沢をホームグラウンドとする山岳部に所属していた私も多くの自然との出会いが蘇る地です。
そんな丹沢山と海を結ぶ川には、神奈川エリアに広く水を供給する相模ダム、いわゆる相模湖があります。相模ダムが完成した1947年以降、津久井ダムや宮ケ瀬ダムができ、治水などのために堰堤の建設や護岸工事が進んだ現在、河川の環境変化により魚たちの移動が困難になりました。
丹沢キャンプ場周辺河川の現状は……
現在、魚が山から海まで向かうとなるといくつもの障害が待ち構えています。ダムや護岸工事はもちろん、私たち釣り人もその障害の一つであり、私たちキャンパーのゴミもその障害の一つと言わざるをえないのも辛いところ。結果、ヤマメは川を下らなくなりました。これは関東の川に限った話ではありません。国内のほとんどの河川で同様の状態が広がっているのが実情。
では本来の姿をしたヤマメ(サクラマス)に出会う可能性はもうゼロなのか? そうとは言い切れないのが自然の凄み、ボスキャラは突如として現れます。時としてフィールドをさ迷うアングラーたちは、勇敢な脱獄者のごときデカヤマメ(サクラマス)にエンカウントし膝を震わせるのです。