鋳鉄製の黒い万能鍋、ダッチオーブン。長く使うためには鉄ならではの特性を理解し、使用後のケアを行うことが重要です。
今回は、ダッチオーブンの管理や使い方をキャプテンスタッグ企画開発室・若槻太郎さんが教えてくれました。
手間を惜しまなければ一生もの!シーズニングの手順
まずはシーズニングの手順から紹介します。
ダッチオーブンは鉄製のため、購入直後は表面に錆止めのコーティングが施されています。
まずはこの薄いコーティングを焼く作業=シーズニングが必要です。
1、ワックスやシリコンオイルの匂いを落とす
食器用洗剤で丁寧にこすり、洗い終わったら洗剤を落とします。
2、水気をとばす
タオルなどで水気をとり、自然乾燥させます。
3、無塩の油でなじませる
乾いたら、オリーブオイルなどの塩分を含まない油を鍋全体に塗ります。鍋の外側、フタの表、裏も忘れずに。余分な油は焦げの原因になるため、ふき取りましょう。キッチンペーパー等で薄く伸ばしながらふきとるのが効果的です。
4、火にかける(3、4の作業を4~5回ほど繰り返す)
煙がでてくるまでは中火。煙が出てきたら弱火にし、煙が出なくなるまで焼き続けます。鍋の熱を冷まして、オリーブオイルを塗る。この作業を4~5回ほど繰り返します。この工程を経ることで、鉄に油が染み込み、鍋が酸化しづらくなります。
シーズニング完了!若槻さんの「ブラックポット」は思わず欲しくなる仕上がり
この作業が終われば、少々荒い使い方をしてもダメージを受けません。
繰り返すたびに黒く、強い鍋へと変化していき、この状態を「ブラックポット」と呼びます。
シーズニング前後を比べてみてもシーズニング後のブラックポットの方がかっこいいです(笑)。
仕上げのシーズニング作業
購入後のコーティングを落とし、ブラックポットの状態になったら、次は野菜くずを炒めて鍋に付着した鉄の匂いを消しましょう。
1、野菜くずを入れて炒める。
ブラックポットの状態で、ネギ、しょうが、ニンニクといった香りの強い野菜くずを炒めます。
2、ふたも同様に野菜くずで炒める。
調理法が多様なダッチオーブンでは、フタもフライパンとして使うため、鍋同様に野菜くずで炒めます。
3、最後に油を塗る
野菜くずを捨てたら、油を薄く塗ります。本体の外側、フタの裏にもしっかりと。自然に熱を冷ましたら完了です。
この手間こそが、ダッチオーブンの楽しさ
ダッチオーブンを購入してから、数々の手間をかけて、ようやくオリジナルのダッチオーブンが完成。ただ、これは第一歩にすぎません。料理のジャンルや調理後のお手入れ次第でもっと深みのあるダッチオーブンへと仕上がっていきます。今はシーズ二ング済みの鍋が増えていて、こういった工程を経なくてもダッチオーブン料理を楽しめます。ただ、この手間がキャンプの楽しみのひとつだと、私は思うのです。
オリジナルのダッチオーブンを育てる感覚に共感していただける方は、ぜひチャレンジしてみてください。
ダッチオーブンの注意点
①熱がある状態で水をかけない
急な温度変化で割れてしまいます。
②洗剤を使わない
シーズニングしてできた脂の膜がとれてしまい、錆の原因になります。
③作り置きして放置しない
水や残りを入れたままにせずに、残った料理はすぐに移しかえましょう。錆の原因になります。
④湿気の多い場所で保管しない
錆の原因になります。
⑤定期的に使用する
一度だけ使用して、長期間放置するのも錆の原因になります。
ダッチオーブン ビギナーセット〈30cm〉
ダッチオーブン30cm、リッドリフター、ダッチオーブン用収納バッグ、スリーウェイダッチオーブンスタンド、アウトドアレザーグローブ、ダッチオーブンクックブック(A5版 36ページカラー4色印刷)と必要な道具が一式そろったセット。
特に「ダッチオーブンクックブック」には管理方法やダッチオーブン料理が詳しく書かれているので、合わせて購入しておくと便利です。
ダッチオーブン ビギナーセット