リアルゆるキャン?創部50周年の北鎌倉女子学園ワンゲル部はゆるくないけど超絶ユニーク

公開日:2019 / 02 / 26
最終更新日:2020 / 03 / 30

武家の古都、そして日本を代表する観光地である鎌倉に北鎌倉女子学園は1940年創設されました。
鎌倉幕府には地の利があったといわれるように「三方を山でかこまれ、一方は海にのぞむ」アウトドアに恵まれた環境の北鎌倉女子学園に誕生したワンダーフォーゲル部(以下、キタカマワンゲル)は、2019年に創部50周年を迎えます。

その歴史を守り続ける熱い顧問の小林先生はベテランのアウトドアマン。“レガシーと自由”どちらも残すべく奮闘中。現在の部員数は多いとはいえないものの、価値ある土地に育まれ、経験を受け継ぎ、オンリーワンの価値ある部へと発展しています。

キタカマワンゲルはその魅力をキャンプ&アウトドアなみなさまにお届けし、応援せずにはいられない、かなりユニークで素敵なアウトドアパーティーなのです。

巨大プリンも登場する柔らかい野外料理実習


ふだんの活動は体力トレーニングのほか野外料理実習と月一のハイキング。山岳ともまた違うキタカマワンゲルは、競技大会等に出場しない代わりに学園のイベントでは『SURVIVAL』というオリジナル企画を発表。サバイブ術をコンテンツとした企画で、スキルを活かした独自性を発揮。しかも先生発ではなく、部員たちの発想で形にしていったといいます。

「高校生発のサバイブ術」こんな面白いコンテンツは世に発信しなくてはと思わせるクラスタの一つ。私は高校時代山岳部でしたがこんな活動はありませんでした。もしできていたらどれだけテンションが上がったことか、型にハマらない自然好きにとっては羨ましすぎる部です。


野外料理では、山にマッチしたレシピ原則のもと、さまざまなレシピを研究し実践。ただそれはあくまで基本で、歓迎会やクリスマス等スペシャルなタイミングには名物の巨大プリンも登場します。しかも飯盒を使った本格蒸しプリン。

なんて自由で楽しそうで美味しそうなレシピ……。こうした日々の活動から、山岳部よりも柔軟かつ幅広く野山に親しんでいることが伝わってきます。

ぜんぜんゆるくないトレーニング


とはいえぜんぜんゆるくないのがキタカマワンゲルのトレーニング。地階から屋上までトータル6階分の階段を、水を満たしたポリタンクを背負子で背負って昇降する歩荷訓練がメイン。また緑豊かな学校周辺を走ることで持久力も養っています。

ここは私が所属していた山岳部となんら変わらない本気のメニューでした。さらに熱心な顧問である小林先生らしい「インターバル速歩」というプログラムも実践中。身体にローインパクトで効率よく筋力を増強できるウォーキング法なんだそう。3分毎に早足とのんびり歩きを交互に繰り返すというシンプルな方法ながら効果大らしく、ぜひ真似してみたいメソッド。


本気トレーニングを行うキタカマワンゲルですが、厳しい運動部的な空気感なのかというとそれは否。キタカマワンゲルはもっと懐の深いパーティー。

冬場には“寒いから”という理由で「ガスコンロの使い方の練習」や「野外調理実習」という大義名分をかかげ、部室でお茶をしたり、ラーメンを食べたりしてまったりと過ごすという天国モードも発生。このあたりはまさにリアルゆるキャン。校内で火器を使ってお茶やラーメンを楽しめる部なんてほかになかなかありませんよね。

私が通っていた高校では持ち物検査があり、ライター所持は一発停学でした。しかし「山岳部です」と言えば全くお咎めはなく、心の中で「どやっ」と呟いたあの強力な特権を思い出します。

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アウトドアライター&クリエイター夏野 栄

山岳部出身のアウトドアライター。数多くの紙面やWEBなどの媒体で活躍。湘南の牛舎ガレージのアートディレクション廉プロデュース担当も務める。自転車ビルダーでもある。

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