リアルゆるキャン?創部50周年の北鎌倉女子学園ワンゲル部はゆるくないけど超絶ユニーク

公開日:2019 / 02 / 26
最終更新日:2020 / 03 / 30

30年前のダンロップで寝ます


テントは4人用と6人用のダンロップがメイン。6人用はなんと30年前のものを補修しながら使用中で、ヴィンテージダンロップがまさかの現役。ある意味なんて贅沢でオシャンなんでしょう。“30年前のダンロップでキャンプする高校生キャンパー”こんなかっこいいパーティー見たことも聞いたこともありません。もはや漫画を超えた激レアパーティーです。

サイドから浸水しそうなラフなフライに対して、インナーは雪山仕様のスノーフライにも対応する吹き流しタイプ。Vシリーズのようですが、純正フライじゃないのかこの時代の特徴なのか、もう渋すぎて意味が解りません。ほんとにヴィンテージキャンプスタイル記事でもとりあげたいほどの素敵さ。


テント内のシートは銀マットのみ(キッパリ)。個人マットは荷物になるからと使用せず、共有の銀マット一枚のみというワイルドさ。そのソリッドさを除けばオーソドックスな山岳幕営のスタイルです。収納サイズが大きい古いテントを運用する上で、コンプレッションバッグを使ってコンパクトにすることで対応しているそうです。

また面白いのがタープの使い方。幅広いアウトドアを経験しているキタカマワンゲルではタープを二張り使って雨天時のシェルターやリビング&キッチンを作るそうです。ちなみに私の山岳部にはタープ自体ありませんでした。この感じは現代キャンパーに近い発想で、キタカマワンゲルの柔軟なアウトドアスキルを感じます。タープがどんな幕体かは未確認ですが、おそらく激重タープを山まで上げていると推察します……恐るべし。

トレランで銭洗弁財天、校内の梅でジャムづくり


部員たちが口を揃えてキタカマワンゲルの魅力を表現する言葉が「自由な活動ができるところ」。自然や小林先生から学び、感じたことをもとに、自発的に「次はこれをやってみたい!」と活動の幅をどんどん広げてられるといいます。

その自由さと、豊かな鎌倉がベースフィールドという稀有な環境から、ほかでは体験できないユニークでイレギュラーな活動を彼女たちは楽しんでいます。


鎌倉三大緑地の一つである台峯緑地を起点にトレランと称して出発し、銭洗弁財天や葛原岡神社を散策するという世にも贅沢なランコースを設定。そして緑豊かな校内では四季折々の自然を食べることでも堪能。

春には竹林で筍を掘り、ソメイヨシノの咲いた後の小さなサクランボや梅の実を集めてジャム作り、夏にはヤマモモの実もジャムレシピにくわわります。秋には渋柿で干し柿作り、さらにドングリを集めてドングリクッキーを焼いたりという恐るべき“野外充”ぶり。

登山や釣りで特定の里山に通っていると、地元のアウトドア達人のお爺ちゃんと出会って仲良くなることがあります。キタカマワンゲルの身近な自然に培われたスキルは、そんな達人たちに匹敵するといっても過言ではなさそうです。


「食べることが好きでワンゲル部に入部しました」という率直な部員がいて、彼女は友人にこう言われたそうです「だったら家庭部に入れば良かったじゃない」。当初はその問いに対して明確に返せなかったようですが、今ではカンでワンゲルを選んだことが正解だったと深く実感しているようです。

季節の食材由来の料理に親しむことは、食べ〇グとかのレシピを繰り返すこととは根本的に違います。“季節と地のもの”という点はやはり自然に親しむ領域の武器。
ちなみに取材当日には自家製梅ジャムをパンケーキにトッピングしてお召し上がられていました。もう何部なんでしょう、bil〇s七里ガ浜もびっくりですね。
「鎌倉で季節の食材で調理」なんて、おしゃれなライフスタイルマガジンのテーマかよ、と思わず書いている媒体を間違えそうになります。でもこれは間違いなくアウトドア界隈に存在する人たちのお話。

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アウトドアライター&クリエイター夏野 栄

山岳部出身のアウトドアライター。数多くの紙面やWEBなどの媒体で活躍。湘南の牛舎ガレージのアートディレクション廉プロデュース担当も務める。自転車ビルダーでもある。

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