寒さも本番。キャンプで暖が欲しい季節になりました。鍋なんかも体が温まっていいですよね。
今回はそんな秋冬キャンプで欠かせないアイテムのひとつである、調理のための火器、カートリッジガスこんろを安全に使ううえで、すべての人が知っておいてほしい3つのポイントを「使用前」「使用中」「使用後」の観点からまとめてみました。
※「カートリッジガスこんろ」とは、一般にLPガスを燃料とするこんろのことを言い、アウトドアでは直結型・分離型シングルバーナーや、ツーバーナーなどのタイプがあります。
楽しく安全にキャンプを楽しむために知っておくべき3つのこと
【使用前】そのカートリッジガスこんろ「PSLPG」マークはついていますか?
キャンプ人気の高まりとともに、最近ではバラエティに富んだキャンプ道具が簡単に手に入るようになりました。
特にインターネット通販などではさまざまな種類のカートリッジガスこんろ製品をよく見かけるようになり、中にはあまり耳にしないブランドの驚くほど低価格なモデルなんかも売っていたりします。
でもちょっと待って。その製品には「PSLPGマーク」がちゃんと付いていますか?
ガス器具本体などに取り付けられたPSLPGマーク
日本国内で販売を許可されているカートリッジガスこんろは、「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法)」により国に登録された検査機関での適合性検査をクリアしたことを証明するPSLPGマークを製品に表示することが定められています。
カートリッジガスこんろは、このPSLPGマークを表示しなければ、日本国内で販売することはできません。
近年、急速にこのPSLPGマークを取得していない輸入品がインターネット上を中心に数多く出回ってしまっていることが大きな問題となっています。
検査ってそんなに必要なの?
ガス機器は思っている以上に繊細な製品です。高い性能のために複雑な構造と精密さが求められるだけでなく、ほんの少しでも製品に欠陥があるだけで引火・爆発や一酸化炭素中毒など、即、死に直結するような事故を引き起こしかねません。
そんなデリケートな道具ですから、万が一でも不具合のある製品が世に出ることがあってはなりません。
そこで日本国内で販売されるすべてのカートリッジガスこんろに義務付けられているのが登録検査機関(一般財団法人 日本ガス機器検査協会)による適合性検査です。
検査は検査機関に提出された製品の詳しい検査と、量産品からの抜き取り検査など、製品がユーザーの手元に届くまでに何度も厳重なチェックがなされます。
検査の内容は、一定時間燃焼させたときに、一酸化炭素中毒の原因となる一酸化炭素が基準値以上に出ていないかどうかチェックする排ガス検査(下写真)や、
排ガス検査では燃焼時、なべの側面を上昇してくる空気を収集し、成分を測定。
わざと製品を落としたり、1万回以上も器具栓を回してみたりする耐久検査(下写真)
耐久検査ではひたすら器具栓を回し続けたあと、破損やガス漏れがないかどうかチェック。
ガス漏れがないかどうかを水中に製品を沈めてチェックする気密検査(下写真)など、多種多様。
気密検査では水中に沈めたパーツから気泡等が上がってこないかどうかチェック。
しかもそれは開発時だけでなく、一定期間販売が行われた後にも再度あらためて検査が必要など、考えられうる限りの厳重な検査が日々行われています。
もちろん海外から輸入された製品であっても、日本の法律に基づく独自の検査基準によって隅から隅までもれなくチェックされます。
きちんとPSLPGマークがついているガス器具を購入するべし
PSLPGマークが取得されていない製品は、こうした検査(日本国内で使用するうえで必要とされる検査)を通過していないということを知っておく必要があります。
そのうえで、カートリッジガスこんろを購入する際には、PSLPGマークがきちんと取得されている製品なのかどうか、確認するようにしましょう。
最近ではPSLPGマークを取得していることをHPや通販サイト上で明示しているメーカーや店舗も一般的になりつつあります。
価格が極端に安い製品であればPSLPGマーク未取得の可能性もあるのでご注意ください。
【使用中】誤った方法で使うと、知らぬ間に大事故の危険も!カートリッジガスこんろで最も注意すべき「一酸化炭素中毒」
ガス器具はガスという危険物を燃料とする以上、たとえPSLPGマーク取得品であったとしても取り扱い方法を誤れば、最悪の場合、命に関わる危険がある道具だということを忘れてはなりません。
特にテントなどの換気の悪い室内で起こる一酸化炭素中毒は、命の危険を伴う重大な事故につながります。ガス器具を使用するすべての人は、何はともあれこの一酸化炭素中毒の危険性を知っておく必要があります。