知らなかったではすまされない「一酸化炭素中毒」の危険とは?
室内や車内、テント内などの換気が悪い場所でカートリッジガスこんろを使用すると、酸素不足によって不完全燃焼が起き、一酸化炭素が発生します。
それを吸い込むことによって引き起こされるのが一酸化炭素中毒です。
厄介なのは、一酸化炭素は「無色無臭」であり、危険な状況にあるのかどうか簡単には判別がつかないことです。
また一酸化炭素中毒の自覚症状も、初期の場合で「頭痛、吐き気、めまい、集中力の低下、嘔吐、眠気」など、一般に風邪(インフルエンザ)の症状によく似ているため気づきにくいともいわれています。
濃度にもよりますが、数分から数十分で中等度または重度にまで進行し、手足のしびれや意識障害によってそこからは自力で動くことができなくなり、手遅れとなってしまいます。
アウトドアで「一酸化炭素中毒」を防ぐために
このように、危険な状況かどうか・自覚症状のどちらにも気がつきにくい一酸化炭素中毒を防ぐためには、何よりも換気が十分ではない場所では使用しないことが重要です。
換気が悪い場所での器具の使用は厳禁!
カートリッジガスこんろは必ず屋外で使用し、外が寒いからといってテントやクルマ、その他屋内ではガス器具を絶対に使ってはいけません。
万が一カートリッジガスこんろを使用中、上にあるような症状がみられ「おかしい」と思ったら、すぐに使用を止め、新鮮な空気のある場所に移動しましょう。
【使用後】器具の故障チェックと日々のメンテナンスのポイント。シーズンはじめは要注意!
忘れてはならない最後のポイントは、カートリッジガスこんろを使用した後から次に使用するまでにチェックしておくべきメンテナンスについてです。
正しく使っていても交換が必要なOリングの劣化には要注意
カートリッジガスこんろを構成する部品のうち、使っていても、いなくても、年月とともに劣化していく部品があります。
ガスカートリッジとカートリッジガスこんろの接続部分にある、ガス漏れを防ぐための「Oリング」と呼ばれるゴム製の環状パッキンがそれです。
シーズン初めなどは特にですが、点火する前にはこのOリングがささくれていたり、切れていたり、縮んでいたり、ひび割れたりしていないか確認しましょう。
そのうえで、ガスカートリッジとカートリッジガスこんろを接続してみて、接続部分からガス漏れの音や異臭がしていないかチェックしましょう。
Oリングをよく見て、ささくれ、切れていたり、縮んでいたり、ひび割れたりしていないかチェック!
Oリングは5~7年程度での交換が推奨されています。劣化するとゴムに切れ目・ささくれ・ひび割れなどのキズが見られるだけでなく、ゴム自体が全体的に硬化したり縮んだりします。
Oリングの交換は決して自己流で作業せず、各メーカーや販売店の指示された方法で交換するようにしましょう。
ヘッドが汚れていないかも忘れずにチェック
カートリッジガスこんろのヘッドに付いたスス汚れや細かいごみは、燃焼に影響してしまうことがあります。
それを防ぐため、使用した後は汚れやホコリをブラシなどで優しく落とし、目詰まりを取ります。繊細な部分ですので、無理に擦らず、傷つけないように丁寧に作業しましょう。
詳細なメンテナンス方法はメーカーにより異なることもありますので、詳しくは各販売店、もしくはメーカーに問い合わせるようにしましょう。
ヘッドの目詰まりはブラシなどで優しく除去。
最後にきちんと点火装置が働くかも念のためチェック
点火装置は外見からは分からなくても、何かの拍子で内部が故障したり、錆びたりしてしまうかもしれません。
スイッチを押してきちんと点火するかチェックします。万が一動かない、火花が起きない場合は各販売店やメーカーに問い合わせ、修理などの対処を行いましょう。
なお点火装置は高所などの環境によって使用できない(点火しない)ケースもあります。
その時のために、念のためライターなどを携帯しておくようにしましょう。
現地で着火しなかったからといってすぐに故障と断定せず、戻ってからあらためて確認してみてください。
まとめ
キャンプ道具の日々のメンテナンスや安全への気配りはどうしても億劫になりがちですが、カートリッジガスこんろは特に正しく使わないと思わぬ事故につながる可能性のある器具であることを忘れてはなりません。
愛着のある道具を長く使うことは素晴らしいことですが、大事に使っていたとしても、ゴム製パーツをはじめ、使用状況によっては金属疲労や摩耗などさまざまなパーツの劣化は避けられません。
劣化が無視できない程度になってしまう前に、日進月歩で進化している新しいカートリッジガスこんろへの買い替えを検討しましょう。その際はPSLPGマークの確認をお忘れなく。
購入前の確認や、定期的な点検・メンテナンスを欠かさず、安全で楽しいキャンプライフを!
監修:一般社団法人 日本ガス石油機器工業会