体を中から温める薬膳スープ。中でも韓国の参鶏湯(サムゲタン)は有名ですが、家で作るには少し難しいかもしれませんね。今回紹介する台湾の「山藥雞湯(シャンヤオジータン)」は、参鶏湯よりも少ない材料でできる薬膳スープです。
山藥雞湯の山藥は山芋、雞は鶏肉、湯はスープの意味ですので、日本語では山芋と鶏肉のスープとなります。そこにクコの実、紅なつめ、生姜が加わります。
効能としては、山芋は胃腸を整える効果。紅なつめは胃腸を整え、体を温める効果。クコの実はビタミンやミネラルがとても豊富な食材。生姜も体を温める効果がありますので、アウトドアで冷え込む夜におすすめの料理です。
鶏の骨から出る濃いだしに、クコの実と紅なつめの滋味が広がる、味わいのぎゅっとつまった薬膳スープをぜひお試しください。
材料(4人分)
- 鶏もも肉:5cmくらいのぶつ切り 200~250g
- 手羽元:4本(約250g)
- 山芋:約300g(細めなら20cm、太めなら15cmくらい)
- クコの実:大さじ1強(約10g)
- 紅なつめ:12~15個(約50g)
- 生姜:2mmスライス 4枚(約10g)
- 荒塩:小さじ2、細塩なら小さじ2弱(10g)
- 水:1L
鶏肉は出汁のよく出る骨付きを使うのがポイント。「水炊き」などで使われる、骨のついた鶏もも肉のぶつ切りを使うことが多いのですが、今回は手に入りやすい手羽元と骨なしもも肉をあわせて使いました
山芋は、粘りが強く加熱をするとホクホクとする「大和芋」や、水分が多くシャキシャキとした「長芋」などの種類がありますが、お好きなものでかまいません。
クコの実は一般的なスーパーでも買えることが多いので、中華食材の棚を探してみてください。
紅なつめは手に入りにくいかもしれません。少し高級なスーパーにあることが多いのですが、省略してもかまいませんので手に入る材料で挑戦してみてください。
また、砂糖漬けの蜜なつめや、デーツ(ナツメヤシ)といった甘いものもありますが、今回は“紅なつめを乾燥させただけ”のものを使いますので間違えないようにしましょう。
作り方
- 山芋の皮をむき、長さ5cm、1.5角に切り分けます。
変色を防ぐために酢水(水コップ一杯に対して、酢を小さじ半分)にくぐらせるか、鍋に入れるまで水につけておきます。山芋の皮をむく前に、手を酢水につけておくとかゆみが抑えられます。
- 鍋に1Lの水を入れて火にかけ、沸騰したら鶏肉を加えます。水面が鶏肉の上1cmくらいになるように、足りなければ水を足します。
沸騰したお湯に鶏肉を入れることで、柔らかく仕上がります。
水から生の鶏肉を茹でると味がすべてスープに出てしまい、食感も固くなってしまいます。 - 火を強火にして沸騰するまでかき混ぜずに待ちます。グラグラと煮立ち、アクが水面に固まってきたら、火は弱めずアクをすくいます。
沸騰直後にしっかりとアクをとるのがポイント。
このタイミングでアクをとってしまえば、その後は取らなくても大丈夫。スープは濁らず、味にもほぼ影響しません。 - 水面にポツポツと小さな泡が上がるくらいの弱火にします。紅なつめ、生姜、塩を加えて45分火にかけます。
途中、鶏肉が水面から顔を出すようなら水を足します。グラグラと煮立たせてしまうと味が濁ってしまいますので、小さな泡が上がり水面が静かに揺れるくらいの弱火にします。
また、なるべく鍋の中はかき混ぜないようにしましょう。 - クコの実、山芋を入れます。具材が水面から顔を出すようなら、具材の上1cmまで水を足します。
火を強火にして小さな泡が上がってきたら、弱火にして15分火にかけて出来あがりです。
紅なつめは甘い独特な味がするので、食べずによけるとよいと思います。(お好きな方は食べてもかまいません)
クコの実は甘酸っぱく癖がないので、好き嫌いなく食べられると思います。
冷えやすいアウトドアの夜にぴったりのスープ
アウトドアでは寒暖差が激しく、昼は暖かいと思っていても夜になると急に冷え込むもの。このスープは飲んだ後にも体の熱が持続するため、冷え込む夜にピッタリです。
また、寒い季節だけでなく、夏の冷房や、冷たい食べ物で胃腸が弱っているときにもおすすめの料理ですので、季節を問わず作ってみてください。
【キャンプでつくる世界のレシピ】
■vol.1:塩漬け豚肉・ベーコン・ソーセージの三重奏。フランスの郷土料理「シュークルート」
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