「アフターコロナ」、「ウィズコロナ」の時代がやってきます。
様々な行動変容が求められ、「新しい生活様式」という新基準に合わせていくことが日常のスタンダードになっていきそうです。
このことは当然私たちのキャンプにも大きな影響を及ぼします。
緊急事態宣言が発された中多くのキャンプ場関連施設は余儀なく休業を選択せざるを得ず、苦悩の日々が続いておりました。
そこで、全国数か所のキャンプ場関係者の皆様とオンラインでお話をさせていただき、これからのキャンプ、キャンプ場運営についてどんな思いを寄せ、今現在どんな動きをされているのかを聴かせていただきました。
ここに示しますことは、どなたがどんなことを言ったではなく、みなさんのお話を聞かせていただいたことを私の編集としてまとめたものであり、私の責任の範疇での私見でありますこと事前にご了解いただけますと助かります。
ですので、公的な意味合いを持ったり、この先確定された情報ということではありません。
今現在「キャンプ場さん、キャンプ、この先どうなるんだろう」と心配されていらっしゃるみなさんも多いかと思います。そんなみなさんへ、いくばくかの参考になれば幸いです。
そして、さまざまなお知恵を授けていただいた関係者の皆様には改めまして感謝申し上げます。
あくまでも「前向きに」
みなさんさまざまなご苦労を抱えながらもとても前向きな姿勢をもたれていらっしゃいました。
休業という表向きとは別に、多くの時間は場内のメンテナンス作業、経営体制の維持、開業後の新しい対処等、先を見ての体制を整えてくださっています。
休業中だからといって何もしていないことではなく、みなさん念入りの準備を毎日してくださっているのは間違いないところかと思います。
再開の時期が難しい
これがまさに地域差となる課題です。
目安は国及び自治体から発されますが、最終的には判断が個別にゆだねられます。この基準をどう独自で展開するのか、これは実に難しいことです。
例えばキャンプ場さんが公共の場合、自治体との「手続き」が必要となったりするので独自判断だけではいかない場合もあるわけですね。
そして、「地域の旗振り」が誰でありどこであるか、これは注目です。
全員横並びとはいかないし、歩調を合わせていくことは難題ではありつつも、とても重要なポイントとなりそうです。
私が思うに、おそらくこれを率先していくのは企業形態をとったキャンプ場ではないかと考えられます。
周辺地域との関係性
再開となったとして、それが他府県からの流入である以上、周辺地域とのコンセンサスの取り方が今度は大きな問題。
これは感覚的なものがあるので地域さまざまで実に微妙なものがありそうです。
キャンプ場の立ち位置は当然市街地ではないのでそれほど人口が密してはいないところへある一定の日時に多人数を呼び込むことになります。
この時どう地元とのハレーションを生まないか、逆な意味での今までのように地元にお金を落としていく貢献もあるので、そのバランスと調整には苦労されると思われます。
これはキャンパー側もよく考える必要があります。今後キャンパーは、キャンプ場、周辺地域が望むことをできる限り理解していかなければなりませんね。
ガイドラインの必要性
ただ再開するだけではなく、そこにはある一定のガイドラインの提示が必要かもしれません。
今までとは違うキャンプ場利用の方法というのが生まれてくるでしょう。
どれが正解とかはまだ誰もわかりません。
まずはそれぞれで作っていき、その成功例を多くのキャンプ場で共有していき、ある程度の共通認識になっていくことが望ましいかもしれません。
いっぽうキャンパー側から見たらいわば、キャンプにおける「新しい生活様式」が求められるわけです。世の中全般の「新しい生活様式」を鑑みつつ、キャンプ独自の新しい認識を共通項として作っていかなければなりません。
もしそれがなければ相互の意識の違いによってまた新たなマナー問題やモラルの問題を生んでしまう可能性があります。
予約の問題
キャンパー側の思い、キャンプ場側の思い、この二つの捉え方の狭間に立ち、当面で直面する問題がこの先再開後の予約の在り方。
キャンプ場再会と予約再会にはタイムラグが当然起こります。
いつ開けるから、いつから受けるか、それをどう知らしめるのか。
ここも全国キャンプ場が統一することは無理でしょうから、かなり情報が分散することは必定です。
同時に、考えてみると5月は本来早めの夏休み予約解禁でもありました。つまり8月の予約です。状況が分かりにくいので現在はいったん予約をストップしているところもあります。
さらにいえば夏休み自体がどうなるのか、これはキャンプの話ではなく学校の在り方を中心とした世の中の動きに依存します。
今の時点で誰も読めないこの問題をどう解決するのかは本当に難しいところです。過去でいうところのハイシーズンという概念も今年は変わるかもしれません。
実はこの先力を発揮するであろうことのひとつが「電話予約」。
双方の生声による説明のやりとりは、互いの納得を経て予約を完了していけるのでその後の問題が起きにくなります。
オンラインは便利ですがニュアンスが伝わりづらいですから。
今はいったんオンライン中心を離れて、電話でコミュニケーションするという伝統的な予約方法が、気持ちよくキャンプを行える良好な手段になるかもしれません。
どのキャンプ場がいつ開けるか、みなさんも大変注目されていると思います。
我慢を重ねたなか再開への気持ちが昂ることでしょう。しかし、そこはできるだけ落ち着いて、焦ることなくキャンプ場側とのバランスを十分に取られてほしいです。
おそらくスタート時は予約数が絞られる可能性もあります。その狭き門に躍起にならず、緩やかに、場所や日時に多くの候補を持つなどをして、できる限りのフラットスタートに貢献してはいかがでしょうか。
キャンプ場でどういうことが起こるのか
まずチェックイン。これこそ密状態になりやすいシーン。
もしかしたら車待機の「スマホ(電話)呼び出し制」という対策もありうるかもしれません。
ただ、エンジンかけっぱなし、駐車場の渋滞、そういうった問題もありますが。時間差チェックイン(アウト)という設定も出てくるかもしれません。
それと全く新しい非接触チェックイン、これは場合によっては今後現実的になるかも。ビジネスホテルではすでに数年前から採用されています。
考えてみれば空港そもそもそうでした。ただしこれはコストの問題があります。
もし既存のキャンプ場予約サイトと連携出来たら、ある程度コストを抑えた形で一気に普及できる気もするのですが。
キャンパー側からもチェックイン渋滞の回避をしていく意識がこの先は必要となっていくでしょう。
いち早くキャンプ場に入りたい気持ちは痛いほどわかります。しかし今後はゆったりとした計画と気持ちを持ってキャンプ場と協調していきましょう。
レンタル品の取り扱い、コテージほかの建物にメンテナンス、これは大いに苦労しそうです。
このあたりもやはりガイドラインが示されることで事前の納得や了解が生まれ、トラブルが起きない基になるのではないでしょうか。
そしてサニタリー。
これは公衆衛生ですのでとても重要。
きっとキャンプ場側も様々な対策をとってくださるとは思いますが、もうこれからはキャンプに限らず自らが除菌グッズなどを持ち歩くなりして、自身で積極的な対策を講じていく必要があるでしょう。
受動的にも、能動的にも対策を重ね合わせていく、それがスタンダードになっていくかもしれません。
「アウトドア」なんだから、という気持ちのおおらかさは保ちながら、施設関係の利用に関してはより注意深く衛生やエチケットに関しての意識を高めていく必要があると思われます。
この気持ちの切り替えはウィズコロナ時代ではとても重要になっていくのではないでしょうか。
平日キャンプが進む?
いくらソーシャルディスタンスをキープしやすいキャンプ場だとは言え、ブーム時のような満杯状態にならないためには・・。
そう、新しい時代のキャンプに必要なのは「平日キャンプ」かもしれません。
もちろんすべての人に可能ではありません。特にお子さんがいらっしゃる家庭では。実はすでに「平日ソロ」は少しずつ増加傾向ではありました。
これをさらに増長していくことで「ある程度週末はファミリーに譲ろう」という雰囲気ができたりしたらいいですね。平日であればよりゆったりキャンプができます。
元々平日キャンプはキャンプ場にとっての大きな課題でした。
もし今回のことを経て平日キャンプが一歩進めば、キャンパー、キャンプ場双方にとってメリットになっていくでしょう(もちろんデメリットの部分もあります。
平日は平日の作業もありますし、スタッフのお休みもありますから。
それでもある程度の規模になってくればメリットの方が多いはずです。)
苦労したキャンプ場さんを支援したい、その気持ちが強い方も多いでしょう。
ぜひ平日キャンプという選択肢も考慮してみてください。生活の変容によって休みの取り方が変わった時に。
まさかのオーナーセルフキャンプ!
これは余談です。
なんとこの休業期間に、誰も来ないなら自分で自分のキャンプ場でキャンプをするオーナーが!(笑)
この目的が面白くて、全体の中で「やや人気がないサイト」がどうしてそうなのだろうと、自分でキャンプしてみて実証するということなんだそうです。
これは過去にはないユニークな試みですね。おもしろい!
まさに、こんな時だからこそできたことなのでしょうね。
東日本大震災、台風被害を乗り越えて
この春は昨年の台風被害を乗り越えた多くのキャンプ場がそれぞれ復活を果たすはずでした。あの苦労の後、このようなことが起こるとは思ってもみなかったでしょう。
重ねての苦労に心痛みます。ただその経験があったからこその新たな困難時の様々な対処ができたという方もいらっしゃいました。
そして忘れてはならない9年前の日本の苦難。
その経験を経た某オーナーの重みのある言葉です。
「新型コロナウィルスによる休業は本当に大変。でも、個の力では長期間どうしようもできなかったあのときに比べたら、今度はみんなで力を合わせればいち早く乗り越えていけるはず。前を向いてみんなで頑張ていきましょう!」
アフターコロナ、ウィズコロナの新しい時代に相応しいキャンプのカタチや意義、キャンプの作法や所作のスタンダードづくり、この歩みをキャンプ場さんと共に協調しながら創り上げていきたいですね!