北欧デンマークでの暮らしを始めてから、自分のやり方で、自然の中でキャンプやアウトドアを楽しんでいる、デンマークの人の姿を目にしています。
キャンプは楽しいけど、準備や計画が少し大変。SNSで色んな人が楽しそうにキャンプをしているのを見ると、ついつい比較してしまい、「自分のスタイルでキャンプを楽しむ」ことが、難しくなっていたことがありました。
ですが、デンマークの「Hygge(ヒュッゲ)」文化の暮らしで、これまでより気軽にアウトドアを楽しめるようになり、キャンプが好きな理由を再確認できたと感じています。
今回は、デンマーク流のキャンプやアウトドアについて、紹介します。
自然の中でのHygge(ヒュッゲ)の楽しみ方
Hygge(ヒュッゲ)とは、「お気に入りのモノに囲まれて、大切な人たちと過ごす心地良い時間」という意味のデンマーク語。
都市と自然の距離が近い北欧の国デンマークでは、多くの人が日常的に、自然の中でHyggeな時間を過ごしています。
ちょっとした時間に友人や家族と焚き火を囲んでお喋りしたり、景色の綺麗な場所を散歩して珈琲を飲んだりする。そんなひと時も、Hyggeの一つです。
気負わず、他人と比較せず、日常的に自分だけのスタイルでアウトドア、Hyggeを楽しむことは、デンマークの人には当たり前のようです。
デンマーク流キャンプHygge
デンマークでは多くの人が、驚くほど日常的にキャンプを楽しんでいます。
「キャンプをするぞ」と準備をするよりも、「ちょっと天気がいいし、時間にも余裕があるから」と、気軽に自然を感じながらHyggeを楽しむのがデンマーク流です。
少し時間が空いた時に、ぱぱっと焚き火を起こして、パンケーキを焼いて食べながらコーヒーを飲んで、談笑するようなデイキャンプを楽しむこともしばしば。
天気が良い時は、しょっちゅうお外ランチに誘われます。
お外ランチでは、ご飯を作っている間にお花を摘んで、机の上をデコレーション。日常のちょっと瞬間に、Hyggeな空間を作ってくれます。
手際の良さに驚きつつも、「ただランチをする」時間が、自然を感じながらのちょっとしたデイキャンプになりました。
夜も庭で焚き火を囲んでビールを片手にみんなでお喋りしていたら、話が盛り上がって「もうここで寝ちゃおうよ」と誘われたことがありました。
突然のキャンプの誘いに、正直心の準備はできていませんでしたが、テントやマットを持ってきてくれて、そのまま星を眺めながら思いつきキャンプ。
ぱぱっとテントを設営してその日は夜遅くまで喋ったり、歌ったり、楽しい時間を過ごしました。
ハイキングコースに行く途中に、スーパーで食料を買って、それからハイキング。アウトドアを満喫した後は、焚き火でワインを飲みながら、ワイワイとランチを作る、なんてこともしょっちゅうあります。
綿密に計画を立てすぎず、行きたいところに好奇心の向くまま進んでみて、ダメなら引き返して、また別のところに行ってみる。
そんなちょっとした冒険のようなアウトドアも楽しいなと、新しい楽しみ方を見つけて、子供の頃のように、はしゃいでいます。
自然の中でいろんなHyggeを楽しんでみて改めて、キャンプが好きになった理由は「自然の中で綺麗な景色を見て、鳥の鳴き声や風の音を聞いてリラックスしたいから」だったと、初心を思い出しました。
人と比べるのではなく、自分なりの方法で楽しむデンマーク流キャンプHygge。
「非日常」の娯楽だったアウトドアが、少しずつ「日常」になり、人の目を気にしすぎず、のびのびと「自分だけのスタイル」を探しながら、アウトドアを満喫できています。
キャンプをしたいけど、なかなか時間が取れない。準備も大変だし計画はしっかり練らないといけない、と気負いすぎていたのかもしれません。
デンマーク流のキャンプHyggeで、少しキャンプに対する心のハードルが下がって、「自然の中でリラックスする」というキャンプの醍醐味を、さらに満喫できるようになりました。
自然に対するリスペクト
デンマークをはじめとする北欧の国々では、「自然はみんなのもので、独り占めするものではない」という考えに基づいて、「自然享受権」という慣習法が、制定されています(「みんなの権利(Everyone’s rights)」とも呼ばれています)。
「自然享受権」は、その土地の所有者に損害を与えない限り、私有地でも国有地でもキノコやベリー狩り、乗馬やキャンプをしてもいい、みんなの自然をみんなで享受できる権利のこと。
デンマークは北欧諸国の中で人口密度が最も高いため、自然享受権に少し制限があり、「焚き火禁止」「キャンプ禁止」の表示がされていることがありますが、散歩中にテントを張っている人を見ることも、しばしばあります。
一方で、「みんなの自然はみんなで守る」意識が根付いているので、自然を破壊しないようにゴミを捨てない、無闇に植物を採取しないなど、秩序が保たれています。
キャンプのルールやマナーも、元々は「みんなの自然をみんなで守る」ために必要なもの。
自然を守り、他のキャンパーの楽しみを邪魔せず、自分なりの方法で楽しくキャンプをする。「みんなの自然をみんなで守る」心がけこそが大切なんだと、再認識しました。
デンマーク流キャンプHyggeの醍醐味
「この後フリーなら散歩して、その後焚き火でもしようよ」。
デンマークの生活では、こんな風に日常の中で気軽にアウトドアに誘われることがあります。
「じゃあ、この前行ったあそこの湖畔はどう?」「いや、森の方に行こうよ」「私、コーヒー準備するね」と、
わいわい話しながらささっと準備をして、そのままプチデイキャンプへ。
周りでは多くの人が、それぞれの方法で自然を感じていて、お互いに尊重し合いながらHyggeな時間を満喫していました。
日常の中のほんのひとときでも、自分たちのお気に入りの場所やスタイルで、他人と比較せずに気負わずに自然を感じるのが、デンマーク流キャンプHyggeの醍醐味だと思います。
デンマークでの生活で、どんなHyggeが好きなのか、どこがお気に入りの場所なのかを改めて考え直して、その中でキャンプをもっと気軽に日常に落とし込むことが楽しくなりました。
自分なりに自然に対するリスペクトを忘れずに、キャンプもHyggeなプチキャンプも楽しんでいきたいです。