キャンピングカーと一口に言っても、実際には様々な種類のキャンピングカーがあります。今回、私が紹介するのはトラキャンと呼ばれるタイプ。ピックアップトラックの荷台に載せるタイプのキャンピングカーです。
普段は都会を走る車が、休暇になるとキャンピングカーに大変身。トラキャンの良さは、なんといってもそのコンパクトさ。一般的なキャンピングカーに比べると小さく、トレーラーと違って牽引する必要もないので、運転も駐車もほとんど普通の車と同じように行うことができます。
機動性と居住性、相反する2つの要素を備えるトラキャンは、まさに旅人にとって夢のアイテムです。
実際に買ってみた
日本では、トラキャンと言われてもあまり馴染みがないかもしれません。しかしキャンピングカー大国アメリカでは、実はとても一般的なアイテム。中古で安価なものは、クレイグスリスト(オンラインコミュニティサイト)やフェイスブックのマーケットプレイスなどのインターネット掲示板で、頻繁に取引されています。
今回私が見つけたのは、1970年代製のトラキャンで、お値段たったの“4万円”。
「普通のアパートの家賃より安い!!」
アメリカでは都市部の家賃高騰が社会問題化していて、例に漏れず私も毎月の家賃が痛いところ。
なので私は、このトラキャンを買って、職場である剥製工房の裏庭に置かせてもらい、実際に家として住んでみることにしました。
トラキャンの購入は、私にとっては家を買うのと同じ。つまり24歳にして、初めて家を買いました。
納得できた4万円の理由
トラキャンは、ピックアップトラックの荷台に乗せて使うもの。キャンプ時の居住空間として使うための箱です。イメージとしては、キャンピングトレーラーを荷台に乗せて使うバージョン。
トラキャン自体にエンジンなどは取り付けられていないので、ピックアップトラックなしでは走行することができません。
しかし、いくらキャンピングカー大国アメリカと言えど、4万円は破格のお値段。それもそのはず実はこのトラキャン、訳ありなのです。
お伝えしたようにトラキャンは、本来ピックアップトラックの荷台に載せて使うもの。四隅にある支柱を地面に下ろして、トラキャンを浮かせて、ちょうどピックアップトラックの荷台部分に収まるようにする必要があります。
ところが、支柱が1本壊れていて3本足状態なのです。グラグラして不安定。とてもじゃないけど浮かせることができません。
この状態から一体どうやって車に積んで帰れば良いのだろうかと考えていると、売主のおじさんが大型のジャッキを持ってきて、手慣れた手つきでトラキャンを持ち上げてトラックに載せてくれました。
しかし問題は、積み下ろし。売主のおじさんはもういないし、周りの人に聞いても3本足のトラキャンの積み下ろしなんて、みんな未経験です。
またまた頭を抱えていると、同僚がこう声をかけてくれました。
「トラキャンって、実は見た目より軽いんだぜ」
なんと彼は、人力で持ち上げようと言うのです。
職場のみんなで集まって「ワン、ツー、スリー、ゴー!!」。
あっさり持ち上がりました。まさか人力で積み下ろしするなんて。
普通に旅行やキャンプ用にこの三本足トラキャンを利用する際は、一人が故障していない三本の支柱をジャッキで下ろし、もう一人が壊れている方の支柱を手で支える、という二人一組の連携で車から積んだり降ろしたりできるそうですが…。やっぱり大変なので、支柱を修理しないと旅行には持って行けそうにありません。
現在このトラキャンは、旅行用ではなく完全に地面に置きっ放しで、家として住んでいます。
次のページでは、意外なほど整っていたトラキャンの設備をご紹介します。