夏が旬の苦瓜(ゴーヤー)は好き嫌いが分かれる食材ですが、見るとつい手を伸ばしてしまうほど好きな人も多いのではないでしょうか。
日本では沖縄料理のイメージが強い苦瓜ですが、中国南部、東南アジア、インドなどアジア全般で馴染みの深い野菜です。
今回紹介するのは台湾の苦瓜と豚スペアリブのスープ、苦瓜排骨湯(クーグァパイグータン)。苦瓜の苦味と爽やかな香りが、夏にぴったりのスープです。
台湾の定番スープ
苦瓜排骨湯は台湾の家庭や食堂でよく食べられる、ごく日常的な料理です。
薄塩と生姜のみの味つけのため、リッチなスープに慣れた日本人には素朴で味が薄いような印象を受けるかもしれません。しかし、薄味でシンプルなスープは口の中をさっぱりとさせ、他の料理と合わせるのにはちょうどよいバランスとなります。そのため、あまり塩味は濃くせずに具材の風味を楽しんでもらえればと思います。
大ぶりに切ってよく煮込んだ苦瓜は苦さのほかに、ホクホクとした食感と甘みが感じられ、スープの香りはとても爽やか。苦瓜の新しい魅力を味わえます。
もし、苦瓜が苦手な人がいる場合には、代わりにトウモロコシを芯ごと使うと玉米排骨湯(ユーミーパイグータン)となります。こちらもとても美味しいスープですので、豚肉のアクを取ったタイミングでスープを分けて作ってみてください。
苦瓜排骨湯の材料と作り方
台湾では苦味が控えめの白い苦瓜を使いますが、日本では売っていることが少ないため、今回はふつうの緑の苦瓜を使って作ります。
苦味が強いスープになりますので、初めて作るときには苦瓜の量を1/2本にするなど調整をしてみてください。
苦瓜排骨湯の材料(4~5人分)
- 豚スペアリブ 500-600g(もしくは、豚肩ロースの塊 400-500g)
- 苦瓜 1/2~1本
- 生姜スライス 4枚
- 粗塩 小さじ1.5(細塩なら小さじ1強。約7g)
- 水 1.5L
苦瓜排骨湯の作り方
スープを作る前に豚肉を湯通ししておくと、アクが出にくくスープもにごりにくいのですが、今回はアウトドアで作ることを前提にしているため省略しています。
代わりに、下記のポイントにそってアクを取れば、透き通ったスープになりますので参考にしてみてください。
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苦瓜を縦半分に切ってスプーンでワタを取り除き、幅4cm、長さ5cmくらいに切り分ける。
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苦瓜の内側に塩(分量外)をすりこみ、5分ほどおいてから洗い流す。
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豚肉の表面の水分をふきとる。
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鍋に水を張り、豚肉、塩、生姜を入れる。
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鍋を強火にかけ、大きな泡が出てグラグラと沸騰するまで待つ。
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お湯がグラグラと沸騰して表面にアクが固まったら、火は弱めず、茶色く荒い泡のアクをすくう。
白く細かい泡のアクは少し残ってもかまわない。グラグラと沸騰して、茶色いアクが固まったところ
アクを取り終わったところ -
火を弱め苦瓜を加える。表面がゆらゆらとゆれるくらいの弱火を保つ。
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苦瓜にスッと箸が通るまで1時間ほど煮込み、表面に浮いた脂が多ければ取り除く。
塩味が足りないようであれば調整をして出来あがり。
塩は加熱時にタンパク質を固めますので、アクを固まりやすくするために先に加えます。
しっかりと沸騰したところで、茶色く荒い泡のアクをしっかりとすくい取るとスープがにごりません。その後に出てくる、白く細かい泡のアクは味やにごりに大きく影響しませんので、こまめに取らなくても大丈夫です。
ホクホクと甘く感じる苦瓜に、キレがあり爽やか香りのスープと、苦瓜の新たな魅力を感じられる苦瓜排骨湯(クーグァパイグータン)。シンプルなだけに素材の味をしっかりと味わえるスープですので、旬の時期に作ってみてください。