唐辛子と花椒(中国山椒)をたくさん使った麻婆豆腐や汁なし担々麺など、本格的な四川料理を出す店が増え、麻辣風味もすっかり日本に定着しましたね。より刺激の強い料理をもとめる人も多く、真っ赤な油に花椒と唐辛子が浮かぶ火鍋の専門店も多く見かけるようになりました。
火鍋には日本では入手しにくいスパイスが入るため家庭で作るのは大変ですが、今回は唐辛子、花椒、豆板醤でできる水煮牛肉(スイジュウニュウロウ)を紹介します。
麻辣風味の辛いスープ水煮牛肉
四川料理は中国の八大料理の一つで中国では川菜と呼ばれ、辛くて痺れる麻辣風味が特徴です。インドや東南アジアなどの暑い地域でも辛い物が好まれますが、四川の夏も高温多湿で暑さが厳しいため発汗作用のある唐辛子に花椒の爽やかさを加えた、爽快感のある味つけが好まれるようです。
水煮牛肉は麻辣風味のスープに牛肉と野菜が入った汁気が少ない鍋のような料理になります。牛肉を豚肉に代えた水煮肉片(スイジュウロウピェン)や川魚をつかう水煮魚(スイジュウユイ)のバリエーションがあり、加える具材はアレンジしてもらってかまいません。日本で水煮魚を作る場合にはタラなどの白身の魚を使うとよいでしょう。
材料(3~4人分)
- 牛肉:250-300g(ランプやもも肉など、赤身の筋が少ない部分)
- もやし:1袋(200g)
- セロリ:小さいもの1本、大きいものなら1/2本(60-80g)
- えのき茸:1株(150-200g)
- ニンニク:1かけ(約5g)
- 生姜:1.5cm(約10g)
- 花椒:5g
- 唐辛子:10本(約6g)
- 豆板醤:小さじ1.5
- 醤油:大さじ1
- 日本酒:小さじ2
- 片栗粉:小さじ1.5
- サラダ油:大さじ4
- 鶏ガラスープの素:顆粒のもの 小さじ2(約8g)
- 塩:2つまみ(約2g)
牛肉は脂の多い高価なものではなく、脂の少ない安いもののほうが向いています。
やさいは好みのものでかまいません。今回は手に入りやすいものを加えましたが、豆もやしや空心菜、きくらげなどもおすすめです。
作り方
- 唐辛子の半量(3g)は2-3mmの輪切りにして、種を抜いておく。
- セロリは3mmくらいの厚さにななめにそぎ切り、葉は2-3cm幅にざく切りにする。
- えのき茸は石づきを切り落とし、3cmくらいの太さにさく。
- ニンニク、生姜はみじん切りにする。
- 牛肉は縦横5cm、厚さ5-6mmくらいに、繊維を断つようななめにそぎ切りする。
- 牛肉に醤油の半量(大さじ1/2)をからめた後、酒を加え肉に吸収されるまで揉みこむ。最後に片栗粉を全体にまんべんなくまぶす。
牛肉に水分を含ませ片栗粉でコーティングすることで、牛肉が硬くならずにしっとり仕上がります。
- 鍋にサラダ油大さじ3、花椒半量(2.5g)、丸のままの唐辛子(3g)を加え中火にかける。こまかい泡がでてきたら皿にとりわけておく。
余熱でも火が入り焦げやすいので、早めに引き上げましょう。
- 鍋にサラダ油大さじ1をひき、ニンニクと生姜を入れ弱火にかけ、こまかい泡が出てから1分炒める。豆板醤をいれてさらに1分炒める。
- 水600cc、鶏ガラスープの素、残りの醤油(大さじ1/2)、輪切りにした唐辛子(2.5g)、残りの花椒(3g)を加える。スープとしては少し濃い目の味つけになるよう、必要であれば塩をひとつまみほど加え、強火にかける。
- スープが湧いたら、セロリの芯をいれ、肉は固まらないよう一枚づつ入れる。
- 再びスープが湧いたら、セロリの葉、えのき茸、もやしいれて2分煮る。
- 「7.」で取り分けておいた油を加えて出来あがり。
水煮牛肉を食べると大量に汗をかくため、暑い季節には食後は意外にも爽快に感じます。逆に寒い季節には食べた直後は体が熱くなっていても、汗で身体を冷やしてしまうことがありますので、アウトドアなどでは少し気をつけましょう。
本格的なの水煮牛肉は、鍋の表面が埋め尽くされるほどの唐辛子と花椒が入っていますが、今回は食べやすいよう唐辛子と花椒の量を減らしています。それでも、十分刺激的な味つけにはなってはいますが、激辛好きの方は唐辛子と花椒の量を増やして、本場の麻辣を堪能してみてください。