日を追うごとに気温が下がり、キャンプでも火が恋しい季節となってきました。みんなで暖をとりながら料理する時間は、寒いながらもより親睦を深める時間となりますね。
今回はイギリスやアイルランドの家庭で食べられるジャガイモ料理、コテージ・パイを紹介します。
16世紀後半に南米からイギリスに持ち込まれたジャガイモは、寒い地域で育てやすく、イギリスの冷涼な気候に合ったことから広く栽培されることとなります。とくに他の作物の育ちにくい寒冷地のアイルランドでは、庶民の主食として広まりました。
このジャガイモと肉の切れ端でつくられるコテージ・パイは、食物の育ちにくい地域でも手に入る材料でつくれる料理です。暖炉の熱を利用したオーブンで焼かれるコテージ・パイが、寒い地域の庶民の味として愛されてきた様子がうかがえます。
コテージ・パイ
コテージ・パイには“パイ”という言葉が入っていますが、パイ生地は使わないオーブン料理で、肉がたっぷり入ったミートソースにマッシュポテトを重ねて焼かれます。イギリスの家庭でよく作られる定番料理で、日本でいうと肉じゃがのような位置づけでしょうか。
コテージ・パイはシェパーズ・パイとも呼ばれあまり区別はされませんが、コテージは農民の住居のことでコテージ・パイは牛肉、シェパードは羊飼いが使う犬種のことでシェパーズ・パイは羊肉を使うのが本来のレシピとなるようです。
今回は本格的に、たっぷりのナツメグとイギリス発祥のウースターソースを香りづけに使い、ひき肉の噛みごたえを残して仕上げるレシピで紹介します。
材料(4人分)
- 牛ひき肉(または合いびき肉、ラムひき肉):400g
- ジャガイモ 中サイズ:4個(600~700g)
- セロリの茎:1本(約100g)
- 玉ねぎ 中サイズ:1/2(約150g)
- マッシュルーム:1パック(約100g)
- ニンニク:1片
- トマトジュース:200ml
- 牛乳:200ml
- ウースターソース(もしくは中濃ソース):大さじ1.5
- ケチャップ:大さじ1.5
- サラダ油:大さじ1
- ナツメグ:小さじ2
- 粗塩:小さじ1
作り方
下準備
- 玉ねぎ、セロリ、ニンニクは3mmくらい、マッシュルームは5mmくらいの細かいみじん切りにする。
- ジャガイモは3-4cm角に切る。
マッシュポテトを作る
- 鍋にジャガイモとひたひたの水を入れ、蓋をして中火で15-20分くらい煮る。ジャガイモに箸がすっと通るようになったらお湯を捨てる。
- ジャガイモが熱いうちにポリ袋に入れて、やけどしないようふきんなどをかけ、ポリ袋を破らないようやさしく綿棒や手のひらで潰す。
ジャガイモが冷えてしまうとなめらかに潰れなくなりますので、熱いうちに潰しましょう。粒が多少は残ってもかまいませんので、8割ほど潰れれば大丈夫です。
ポリ袋は熱に弱いものもあります。スーパーのレジの横にある半透明の袋は熱に強い素材でできていますので、今回の用途に使用できます。
ただし、熱に強いといっても、食材を入れて電子レンジにかけたり、直接湯煎したりはしないようにしましょう。 - 鍋にじゃがいもを戻し、牛乳、塩半量(小さじ1/2)、ナツメグ1/3量(小さじ1弱)をいれ、弱火にかけながら沸騰するまで混ぜる。
ミートソースを作る
- アウトドアならダッチオーブンやスキレット、家庭ならフライパンに、サラダ油、ニンニクをいれ、冷たい状態から中火にかける。
- ニンニクから小さい泡が出てきたら、玉ねぎ、セロリを入れ中火で透明になるまで5分ほど炒める。
玉ねぎとセロリが透明になった状態 - マッシュルームを入れる、水分が出てくるので蒸発するまで7分ほど炒める。
- 野菜を周りに寄せ、ひき肉を中央に入れて強めの中火にする。ひき肉にはなるべく触らないようにして、焼き色がついたら返す。
食べ応えのある食感を残すため、ひき肉は細かくほぐさないようにします。
- ひき肉の両面に焼き色がついたら、ケチャップ、ウスターソース、塩半量(小さじ1/2)、残りのナツメグ(小さじ1強)、トマトジュースを入れて中火で10分ほど煮詰める。
- ヘラでソースを端に寄せて10秒くらい経っても、水分が出てこないくらいになったら火からおろす。
マッシュポテトとミートソースを合わせて焼く
- アウトドアなら、ダッチオーブンやスキレットの中のミートソースを平らにならす。家庭なら耐熱皿にミートソースを平らに敷き詰める。
ミートソースの上にマッシュポテトをのせて平らにならす。 - フォークを使い、マッシュポテトの表面に格子状に模様をつける。
- アウトドアでダッチオーブンやオーブンがある場合には、上下両面から加熱して焦げ目をつける。
上面から加熱ができない場合には、底を火にかけて中身を温めてからバーナーで焦げ目をつける。道具がなければ焦げ目はつけなくてもよい。
家庭ならオーブントースターにいれて、上面に焦げ目がつくまで焼く。
具材にはあらかじめ火が通っているので、全体が温まり、表面に焦げ目が付けば完成です。
コテージパイはマッシュポテトとミートソースを使った、日本人になじみあり、子どももよろこぶ味つけです。ナツメグは少し好みが分かれますので、食べる人に合わせて調整をしてください。
食べ飽きず、ついついおかわりを重ねてしまう料理ですので、レシピの分量も少し多めにしてみました。これからの寒い季節に作って、みんなで食卓を囲んでみてください。