LANTERNをご覧のみなさま、こんにちは。ウイケンタです。連載「何をしにソロキャンプに行くの?」ですが、第6回となる今回、いつもの内容とは毛色を変えてお届けします。まだ連載6回目なのに変化球です。
これまで「何をしにソロキャンプに行くの?」と問われれば「読書や飲酒をしたり、肉を焼いたりしに行く」と答えてきましたが、時々「不思議な体験」をすることがあるのです。
アウトドア歴15年、2021年は過去最高となる年間51泊を自然の中で過ごしました。
キャンプ場以外にも、知人が所有する山林などで野営させていただくこともありました。僕がキャンプするのはだいたい平日です。しかも人が少ない場所に好んで行くので、貸し切りになることもあります。
山の中で、たったひとりで一晩か二晩過ごす。しかも年間50泊以上。そうすると本当に時々ですが、不思議な体験をすることがあるのです。後日、冷静になって考えても、そのまま起こったことを人に話すのが憚れてしまうような体験です。
おばけなんて ないさ、おばけなんて うそさ
僕は幽霊とかそんな類のものは一切信じません。
もうずいぶん前ですが、AV業界の方が「心霊写真に映る幽霊たちはみんな顔とか、手足とか、とにかくモラルに反しない部分しか出ていない。放送禁止になるような全裸の幽霊が一度も出てきていない時点で、霊のたぐいは全部作り物なんですよね」と言っていました。
僕も完全に同意見です。この世に未練があり怨霊と言われている存在になっているのであれば、モラルを気にするとか思えないですよね。
それに、これだけスマホが爆発的に普及しているのに幽霊の画像や動画が大量に出て来ない時点で不自然です。幽霊はいないのです。でも、山や森や湖や海には、何かがいるのです。幽霊でも鹿や猪や猿でもない“何か”が。
キャンプ場にもよりますが、多くのキャンプ場は管理人さんが24時間常駐しているわけではありません。キャンプ場の規模にもよりますが、平日は夕方には帰ってしまうのが一般的です。そうすると、管理人さんが帰った後は「山の中のキャンプ場にひとりきり」という状態になるのです。
改めてこうやって書いてみると(山の中でたった一人で過ごすって、なんだかすごいことをしているなぁ)と感じますが、すっかり慣れてしまいました。
この写真は友人と平日にキャンプに行った際、サイトを離れた場所から撮影した写真です。月明りの有り無しでも変わってきますが、周囲は真っ暗です。こうやって俯瞰して見てみると「夜の山で一人」がいかに心細いものか分かります。
山で一人きりだと、普段は忘れていても時々「怖い」と感じることがあります。その原因のほとんどは「物音」です。そして、その物音の正体はいつも動物の気配です。
ここで重要なのはその物音や気配の原因を「目視する」ということ。
恐怖の原因とは「正体が分からないこと」です。幽霊も怪奇現象も、人間は「正体が分からないもの」や「予測できないこと」に対して恐怖するのです。正体さえ分かれば怖いことはありません。
だから、何かしらの気配がしたらライトで照らし、正体を目視します。それが「正体不明の気配」から「鹿やタヌキ」に変わった瞬間、恐怖は薄れるのです。
正体が見えなくても、人間の気配を物音でアピールします。動物は人間の気配がしたら近くに寄ってくることは滅多にありません。気配が消えるはずです。
しかし、それ以外の怖さが時々あるのです。その日、久しぶりに「それ以外の怖さ」を体験しました。