若者のカルチャーをリードする街、原宿。実は多くのアウトドア用品メーカーが軒を連ねる、キャンパーの聖地としても知られています。
2016年8月にオープンしたばかりのバル、「原宿Hutte(ヒュッテ)」は、そんなコアなキャンパーたちと、未経験の人たちとの交差点を目指しています。グランピングを体験できる特設ルームは、キャンパーだけにとどまらず、若い女性客からも予約が集まっているそう。
今回は、「原宿Hutte」の支配人・磯部洋樹さんにお話を聞きながら、新進気鋭のお店の魅力に迫ります。
アウトドアの聖地にオープン。「原宿Hutte」とは
原宿駅から徒歩3分。竹下通りの喧騒からほんの少し離れたところに、「原宿Hutte」はあります。
駅前には老舗ブランド「石井スポーツ」、明治通りやキャットストリートにも多くのアウトドア用品メーカーが出店しており、買い物がてら立ち寄るには絶好のロケーション。
「Hutte」はドイツ語で「山小屋」を意味します。ロッジ風の店内は、オールドランタンや木製のインテリアに囲まれ、名前通りの雰囲気。ダッチオーブンやスキレットを使った自慢のアウトドア料理のほか、スモーキーな燻製料理も用意され、キャンプシーンを彷彿させます。
キャンプがすでに好きな方はもちろん、「未経験の方にもご来店いただいて、アウトドアに興味を持つきっかけを作りたい」(磯部さん)。「原宿Hutte」には、エントリー層からベテランまで楽しめる、魅力的な空間・食事・ヒトがそろっています。
1.オーナー自らコーディネートした「空間」
豪華なグランピングを疑似体験できる特設ルーム
最大の目玉は、グランピングをイメージした特設ルーム。頭上のタープと、ロースタイルを思わせる背の低いチェアが、視界をがらりと一変させます。ランタンの明かりに照らされながら、ジューシーなアウトドア料理に舌鼓を打っていると、都会のど真ん中にいることも忘れてしまいそう。
3~5名で利用できる特設ルームは、女子会やパーティーでの利用など、早くも人気を集めています。予約は欠かさずに!
空間デザインを手がけたのは、磯部さんご自身。こちらも自作のタープ。
よく見ると丸太を模したデザインのクッション。センスが光ります。
つい見回してしまう店内の工夫。キャンパーのハートを鷲づかみ
店内は、キャンパーや登山愛好家がふらりと探索したくなるような工夫にあふれています。そなえつけのテレビの画面には、世界各地の山々の映像が流れます。楽しげに画面を眺めているお客さまを見つけては、声をかけてアウトドア談義に花を咲かせるそう。
こちらの写真は、磯部さんの知人が実際に登山に赴いて撮影してきた一枚。「ゆくゆくは、いろんな方が撮影してきた写真で店内を埋め尽くしたい」と磯部さん。
年代物ならではの渋みをただよわせるランタン。磯部さんの私物で、おそらく半世紀ほど前のコレクターズアイテムだそう。
つい手に取りたくなるキャンプ、登山、アウトドア情報誌も自由に読めます。
2.ダッチオーブンやスキレットを使った、タフでおしゃれな「食事」
「原宿Hutte」では、キャンプの食事を再現するようなフード・ドリンクを提供します。
ダッチオーブンやスキレットを使った、季節の野菜や国産牛のグリル。自家製の燻製料理も数多く取りそろえます。ドリンクメニューには自然派ワインやイタリア産オーガニックソーダを用意し、自然派の方に愛される店作りを目指しています。
人気No1「燻製ローストビーフ」1080円
一番人気の看板メニュー。普通は焼いて調理するローストビーフを、あえて燻製して作っています。市販のローストビーフは、腐敗や変色を防ぐために添加物を注入されていますが、「原宿Hutte」ではもちろん無添加。火加減や温度管理にこだわりながら燻製されたローストビーフは、芳醇なハーブの香りも楽しめる逸品です。
キャンプで真似したい!「焼きキノコのチーズフォンデュ」980円
焼きキノコと季節の野菜を、アルプス山岳部の郷土料理であるチーズフォンデュで味わいます。キャンプでも真似できるメニューで、「お店のメニューをヒントに、実際のキャンプで作ってみてくれたらうれしいです」と磯部さん。
特別な牛のミルクから作った「オーガニックチーズの盛り合わせ」1280円
珍しいオーガニックチーズを盛り合わせたメニュー。使われているミルクがオーガニックなのは、牛の育て方に理由があります。オーガニック認証を受けた飼料だけを食べて育った牛なのです。
大人数の方に向けたコース料理も展開
コース料理も用意されています。こちらは「豪華グランピングコース」(5500円)。3名以上で注文でき、2.5時間の飲み放題がついています。先ほど紹介した「焼きキノコのチーズフォンデュ」や、静岡県の隠れた名物・桜飯を取り入れた「ダッチオーブンdeさくらごはん」など、豪華メニューをいっぺんに楽しめる欲張りコースです。
ほかにも、「人気キャンピングコース」(4000円)、「女子会コース」(3500円)、「ランチ会コース」(2500円)の3種類のコースが選べます。
食器類は、あたたかみを感じさせる木製のアイテムや、アウトドア用品メーカー各社のアイテムを使用。食後の「CAMPコーヒー」(580円)は、お客さま自身がドリップし、キャンプでのコーヒー作りを体験できる仕組み。
11時から15時の時間帯はランチタイム。
3.スタッフは全員アウトドア好き。お店を活気づける「ヒト」
「募集要項は『アウトドア好きであること』でした」
和気あいあいとしたスタッフ陣は「原宿Hutte」の大きな魅力。スタッフの多くが、アウトドアをこよなく愛するキャンパーであり登山家で、お客さまとアウトドア談義をはじめることもあると言います。
さながらアウトドア好きの社交場。支配人の磯部さんは、どんな想いからお店をオープンしたのでしょうか。
小学生のころから山やキャンプに親しんでいた
「さかのぼれば、こんなに小さなころから(手をお腹の高さに掲げながら)山に登っていました。ボーイスカウトをしていて。両親ともにキャンプが好きだったので、よく連れていってもらいましたね」
キャンプ・登山歴は20年を超える磯部さん。高校時代には山岳部に所属し、大会にも出場したそう。山岳部の大会って、どんな競技内容なのでしょうか……?
「基本的には、決められた重さのリュックを背負って、コースを踏破するタイムを競います。ほかにも、いかに素早くテントを張れるか、制限時間内にカレーを作れるかなど、おもしろい競技内容で。滑りやすい山道に、審査員の先生が隠れていて、選手が体勢を崩すと減点されるんです(笑)」
相好を崩して語る姿は、生粋のアウトドア好きであることを伺わせます。
キャンプを知らない人の入り口になりたい
「お店の雰囲気や、アウトドア料理を味わった初心者の方が、『アウトドアっていいな』と思ってくれて、『じゃあ今度は実際に行ってみよう』と、都会から大自然に飛び出していく。そんな入り口になりたいですね」
だからこそ「原宿Hutte」は、キャンプや登山を疑似体験できるように工夫されているのです。
今後の展望 ベテランと初心者を結ぶ交差点を目指して
「原宿Hutte」では今後、2つの展望を掲げています。
1つはお店をコミュニティとして育てること。お客さま同士の交流会やイベントを開催し、ベテランと初心者を結ぶ場所を作っていこうと考えています。
2つ目はアウトドア用品メーカーとのコラボレーション。「食器類やバーナーなど、『使ってみなきゃわからない』アイテムを、実際にお客さまが手にとって体験できる機会を提供できれば」(磯部さん)。
キャンプをリアルに体験できる自然派グリルバル「原宿Hutte」。これからの動向にますます目が離せません。
自然派グリルバル「原宿Hutte(ヒュッテ)」
住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷3-62-14 1F MAP
電話番号:03-6434-0950
営業時間:
11:30~15:00(L.O 14:30)
18:00~0:00(L.O 23:30)
定休日:火曜日
席数:店内32席、オープンテラス4席
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